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ブルックリンのガイドブックの著者が、本で書ききれなかったことやまだまだあるお気に入りスポットを紹介します。「大切な友人に紹介するとしたら?」という目線で選んだとっておき。今週はサウス・ウイリアムズバーグの「Peter Luger Steak House」の紹介です。
Peter Luger Steak House
(ピーター・ルーガー・ステーキハウス)
屋内飲食が許可されたものの、閉店した名店も数多くあります。そんな中でも1887年創業のステーキ老舗店「Peter Luger Steak House」は元気に営業中。この半年を振り返ってもらいました。
133年の歴史を誇る
市内にいくつかある別の人気ステーキ店はもとを辿れば、ピータールーガーで経験を積んだスタッフが独立して立ち上げた例が多いんです。いわば近年の熟成肉ブームの本家といっても過言ではありません。
同店は3~6月末までデリバリーとテークアウトのみで切り抜けるなど、試練の年でした。本来はものすごい活気が魅力の一つです。テーブル同士の間隔が狭く、ジュージュー音を立てる熱々のステーキを抱えたウエイターと、何度ぶつかりそうになったことか…。
10月に入り、久しぶりに訪れたこの店から、観光客が消えていました。テーブル同士の間隔は6フィート開けられ、まさに「まばらな状態」です。
「本店だけで100人の従業員がいましたが、この3カ月間はほとんどの従業員を一時解雇せざるを得ない状況に。しかし彼らの健康保険も提供し続けながら乗り越えました」と言うのは、同店のダニエル・ターテルさん。
「本店は4ダイニングルームに220席ありますが、現在は25%に縮小しています。『出来立てのこのステーキを食べられる日を待っていたよ』と、顧客が戻って来てくれています」
配達に感謝の声
熟成ステーキといえば、高温ブロイラーで一気に焼き上がったジューシーさが美味しさの秘訣(ひけつ)の一つですが、デリバリーでは魅力が半減しそうです。
「品質の低下を心配しましたが、状況にアダプトして乗り越えようと、デリバリーサービスを苦渋の決断で始めました。おかげさまで顧客からは『こんな時期に配達ありがとう』という言葉や励みが寄せられました」と感謝しきり。
実は今年、初の海外進出で東京店が開店予定ですが、パンデミックで時期などは検討中だそうです。1日も早く世界中がノーマルに戻りますように!
※次回以降、連載を一時休止させていただきます。
All Photos © Kasumi Abe