古くて新しい、とっておきのブルックリンへ

市内初のノンアルコールバー (古くて新しい、とっておきのブルックリンへ 043)

ブルックリンのガイドブックの著者、安部かすみが、本で書ききれなかったことや、まだあるお気に入りスポットを紹介します。「大切な友人に紹介するとしたら?」という目線で選んだとっておき。

今週はグリーンポイントにある「Getaway」です。



Getaway
(ゲッタウェイ)

私はこれまで禁酒をしたことがあります。取材で会った占い師のお告げがきっかけでしたが、禁酒は「気付き」をたくさんもたらしてくれました。そんな私に「ぜひ試したい」と思わせる新形態のバーがオープンし、話題になっています。

 

酒なしで夜を
楽しみたい人に

市内初のノンアルコールバー「Getaway」です。共同オーナーのレジーナとサムは、あくまでも「アルコール0%のバー形態」にこだわっています。2人はエキサイティングなアイデアで、よりローカルに寄り添ったタンジブル(実体的)なものを提供できないか考え、2年かけてオープンしました。

ノンアルコール・バーやコミュニティーセンターがポップアップ形態で行っているものは、カリフォルニア、テキサス、ロンドンにあるそう。ニューヨーク市内には月に1回、スペースの一部がノンアルコール形態になる店も。しかし常設のフルタイム・ノンアルコール・バーは、「Getaway」が市内初です。

アルコールゼロに注目したのには、もう一つ理由があります。サムのお兄さんが、以前アディクション問題を抱え、克服するための「AAプログラム」に参加。

「兄は4年前、お酒をスッキリやめることに成功しました。そんな兄を見て思ったのは、断酒した人や下戸の人も、夜に友人らと出掛けて、楽しみたいのだということでした」

 

(手前から)酢の風味が爽やかなリンゴのコーディアルで作られた、秋の新作カクテル「Autumn In New York」と、甘めのカクテルが好きな人にオススメの、ココナツとパイナップルの「Coconaut」(各13ドル)

 

バーカウンターでシェーカーを振るレジーナ

 

飲まない若者が増加

店を訪れるのは、断酒した人や下戸のみならず、妊娠中、マラソンやダイエット中の人、宗教上飲めない人、アルコールなしのデートを楽しみたい人、ノンアルコールへの好奇心が高い人など。サムによると、アメリカでは飲まない若者が増えている実感があるそう(節酒含む)。親世代を反面教師として、「ちょっとお酒を断ってみて、効果を見てみよう」という実験的な試みへの意欲が高まっているのが理由なのだとか。

話を聞きながら試飲したら、不思議と少しホロ酔いのような気分に。「皆さん同じことを言うんですよ」とレジーナ。「でもうちのカクテルが通常のものと違うのは、二日酔いが一切ないということです!」

 

店内にはテーブル席と、通常のバーのようなカウンターもある

 

共同オーナーの(左から)レジーナとサム

 

 

All Photos © Kasumi Abe

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