巻頭特集

ブルックリン・ サンセットパーク 八大道味巡り

ニューヨーク3大チャイナタウンの1つ、ブルックリン区サンセットパーク8アベニュー(八大道)は別名グルメ通り。ぽかぽか陽気に誘われて食べ歩きに出かけてみよう。(取材・文/加藤麻美)


コミュニティー密着型で発展 フラッシングに次ぐ規模

ブルックリン区南部、北をパークスロープ地区とグリーンウッド墓地、東をボローパーク地区、南をベイリッジ地区、西をアッパーニューヨーク湾に囲まれたサンセットパーク地区は、ヨーロッパ人入植前は先住民レナべ族の交易路として形成。1893年に5アベニューの高架鉄道が延長され1915年に4アベニュー沿いの地下鉄が開通すると、中産階級向けの低層住宅と工業施設が開発され、スカンジナビア、アイルランド、イタリアからの移民が大挙して押し寄せた。特にノルウェーからの移民が多く、「リトルノルウェー」とも呼ばれた。第二次世界大戦後は住民の郊外流出や臨海工業の衰退から衰退したが、1950年代からは非白人(プエルトリコ、メキシコ、エクアドル、ドミニカ系)の移民が定住。ラテン系色の濃いエリアとして知られるようになった。

広東省出身の中国系移民が流入し始めたのは1980年代初頭。その頃の8アベニュー(八大道)には小さな商店が数十軒しかなく、それ以外は荒れるに任せた状態だった。83年にブルックリン区初となる中国系米国人の食料品店がフォート・ハミルトン・パークウェーにオープン、2年後には初の広東式シーフードレストランが8アベニューの55丁目と56丁目の間に、さらにその翌年にはスーパーマーケットも開店した。88年にはサンセットパーク地区の中国系移民を対象とした初の非営利の互助団体(ブルックリン中国系米国人協会=BCA)が創設され、90年代から2000年にかけて福建省福州からの移民が流入し一気に拡大、ニューヨーク市内5行政区にある3大チャイナタウンの1つになるまで発展した。

サンセットパーク地区の中国系米国人の人口は約20万6000人とクイーンズ区フラッシング地区の約23万7500人に次いで2位(マンハッタン区のチャイナタウンは約11万人。2017年のデータ)。8アベニューを中心に発展したのは、中国人にとって8は幸運と繁栄をもたらすラッキーナンバーであることも影響していたのかもしれない。

最も歴史が古いマンハッタン区のチャイナタウンが広東省にルーツを持ち、住民も同地区出身者やその子孫で占められているのに比べて、サンセットパーク地区は、中国系、韓国系、東南アジア系、ヒスパニック系、非ヒスパニック系白人、黒人などさまざまな人種が共生する多文化的地域であることが特徴。マンハッタン区のチャイナタウンの商業施設の主要なターゲットは観光客だが、サンセットパーク地区はフラッシング地区と同様、コミュニティーのニーズに応えることのみで現在の繁栄を築いてきた。

八大道への行き方▶︎地下鉄Nラインの8アベニュー駅下車、8アベニュー側出口。商店が密集しにぎやかなのは60丁目から48丁目周辺まで。

 

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