巻頭特集

まもなく開催!映画の祭典アカデミー賞

ノミネート作品紹介2

前ページで紹介した作品以外の残り6作品を紹介していく。

 


『パスト ライブス/再会(原題:PAST LIVES)』

【ストーリー】ソウルに暮らす12歳の少女ノラと少年ヘソン。しかしノラが家族と海外移住してしまい離れ離れに。12年後、2人はSNSを通じて再会するがニューヨークとソウル間の遠距離が障害となり、再びすれ違ってしまう。そしてさらに12年後、ヘソンはノラに会うためにニューヨークを訪れるのだった。

【出演】グレタ・リー、ユ・テオ、他

【監督】セリーヌ・ソン

〜見どころ〜

主人公たちが12年ごとに再会とすれ違いを繰り返す運命を切なく描いた作品。昨年のサンダンス映画祭で絶賛され、作品賞と脚本賞の2部門でノミネートを果たしている。ヘソン役のユ・テオは、本作で英語が話せない役を演じているが、実はドイツ出身で韓国語、英語、ドイツ語が話せるバイリンガル。

忘れられない恋がある人に必見の映画


『関心領域(原題:THE ZONE OF INTEREST)』

【ストーリー】アウシュビッツ強制収容所の所長、ルドルフ・ヘスとその妻ヘドウィグは、収容所の隣に建つ自宅で理想的な生活を送ろうとしていた。隣の収容所からは悲鳴や銃声が絶え間なく聞こえる中で、夫婦の関心事は、理想の屋敷に住み続ける事だった。

【出演】クリスティアン・フリーデル、ザンドラ・ヒュラー、他

【監督】ジョナサン・グレイザー

見どころ〜

第76回カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞。本作は、『落下の解剖学』で主演女優賞にノミネートしたザンドラ・ヒュラーが、所長の妻、ヘドウィグを演じている。平和と恐怖の境界線を独特の映像手法を用い、観客の心理に不安を助長させて恐怖心をあおる演出で、各メディアから2023年のベスト映画に選出された傑作。


『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(原題:KILLERS OF THE FLOWER MOON)』

【ストーリー】20世紀初頭の米国で、先住民のオセージ族は石油を発見した。莫大な富を手に入れた彼らの土地にやってきた白人たちは、富を奪おうとオセージ族を操り、彼らを次々と殺害していく。そこへ連邦捜査官が街に現れる。

【出演】レオナルド・ディカプリオ、ロバート・デ・ニーロ、リリー・グラッドストーン、他

【監督】マーティン・スコセッシ

〜見どころ〜

10部門でノミネートとなった本作は、FBI発足の契機となったといわれた1921年から5年間で少なくとも60人のオセージ族が殺された事件が基になっている。3時間26分の上映時間を、ディカプリオやデニーロといった、巨匠スコセッシ監督の常連組が熱い演技合戦を繰り広げ飽きさせない。

80歳になったデニーロの熱い演技にも注目


『ホールドオーバーズ(仮)(原題:THE HOLDOVERS)

【ストーリー】1970年代のマサチューセッツ州にある全寮制の寄宿学校で、生真面目で皮肉たっぷりな教師のポールは、同僚にも生徒にも嫌われている。その彼が、クリスマス休暇に家に帰れない学生たちの監督役を務めることになるのだが…。

【出演】ポール・ジアマッティ、ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ、ドミニク・セッサ、他

【監督】アレクサンダー・ペイン

〜見どころ〜

アレクサンダー・ペイン監督が、『サイドウェイ』(2003年)でもタッグを組んだポール・ジアマッティを久々に主演に迎え、作品賞、主演男優賞など、5部門でノミネート。ポールと寮の料理長メアリー、母親の再婚で居場所のない生徒アンガスの3人が、休暇を通して友情を深めていく心温まるドラマ。


『アメリカン・フィクション(原題:AMERICAN FICTION)

【ストーリー】売れない作家のセロニアス・“モンク”・エリソンは、別名のペンネームを使用して出版した小説が、大ベストセラーとなってしまう。

【出演】ジェフリー・ライト、トレイシー・エリス・ロス、他

【監督】コード・ジェファーソン

〜見どころ〜

作品賞を含むアカデミー賞5部門にノミネート。HBOのテレビシリーズ『ウォッチメン』の脚本家として知られるジェファーソンが、本作で初めてメガホンを撮った。世間が思っている黒人の印象を風刺的に描いている。


『落下の解剖学(原題:ANATOMY OF A FALL)

【ストーリー】雪山の山荘で、ベストセラー作家サンドラの夫が転落死する。当初、事故と思われていたが、サンドラに殺人容疑がかけられ状況が一変。現場に居合わせた目撃者は、視覚障がいのある11歳の息子と飼い犬だけだった。

【出演】ザンドラ・ヒュラー、ミロ・マシャド・グラネール、他

【監督】ジュスティーヌ・トリエ

〜見どころ〜

作品賞、主演女優賞など5部門にノミネート。昨年のカンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールに輝いた。事件の真相を追ううちに疑問が深まる傑作ミステリーとなっている。


ここにも注目!日本初の快挙となるか!

ゴジラ-1.0(英題:GODZILLA MINUS ONE)

日本映画初となる視覚効果賞にノミネートを果たした山崎貴監督による怪獣映画。戦後間もない日本を舞台に、突然現れたゴジラと戦争で生き残った人々との激しい戦いを描いている。

昨年12月より北米公開されスマッシュヒットとなった本作は、日本と同様にモノクロ版も公開された。

なお、北米公開された日本映画としては歴代1位の興行収入を記録。同部門にノミネートした他作品には『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』をはじめ、ハリウッドの大作ばかり。低予算の日本映画が受賞となるか注目したい。

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