巻頭特集

まもなく開催!映画の祭典アカデミー賞

ノミネート作品紹介1

作品賞にノミネートされた10作品の中から、筆者注目の3作品をトークイベントで語った内容も含め紹介していく。

 


『哀れなるものたち(原題: POOR THINGS)

【ストーリー】不幸な人生を苦に自ら命を絶った若い女性が、天才外科医によって赤ちゃんの脳を移植され蘇った。ベラと名付けられた女性は、脳が幼児から成人女性へと進化する過程の中で世界へと冒険の旅に出る。

【出演】エマ・ストーン、マーク・ラファロ、ウィレム・デフォー、他

【監督】ヨルゴス・ランティモス

〜見どころ〜

スコットランドの作家、アラスター・グレイの小説『哀なるものたち』を映画『ロブスター』『女王陛下のお気に入り』で知られるギリシャ出身のヨルゴス・ランティモス監督が映画化。作品賞、監督賞、主演女優賞を含め、11部門でノミネートを果たした。

衣装、美術、音楽どれもが独特の世界観で創作されており、主人公ベラの人間としての成長を滑稽さと美しさの絶妙なバランスで描いている。

本作でプロデューサーも務め、体当たりの演技を披露したエマ・ストーンは、イベントで「今まで演じたキャラクターでベラが一番気に入っている」と言い、撮影は時系列に撮影されず、最後のシーンは冒頭のシーンだったとも証した。「あの日の撮影では午前中から泣いていました。ベラとの4カ月の撮影での旅を手放すのが悲しかったからです」と複雑な心境だったそうだ。

また、傲慢で癖のあるダンカン役を演じたマーク・ラファロも、「出演者らにオスカー・アイザックが自分の代役を演じると冗談で言われていたら、ある日、本当にオスカーが現れてびっくりした」と面白いエピソードを披露した。

劇中の一番印象的なシーンともいえるベラとダンカンのダンスシーンは、ぜひ劇場で観てほしい。

劇中のベラとダンカンの冒険の旅は、ベラの成長過程で重要なシーンとなっている

イベントでは2人の仲の良さが伝わってきた


『オッペンハイマー(原題:OPPENHEIMER)

【ストーリー】第二次世界大戦下、米国で立ち上げられた極秘プロジェクト「マンハッタン計画」に参加したロバート・オッペンハイマーは、優秀な科学者たちを率いて世界で初となる原子爆弾の開発に成功する。しかし実戦で投下された後、その威力や被害の結果に深く苦悩してしまう。

【出演】キリアン・マーフィー、ロバート・ダウニー・Jr.、エミリー・ブラント、他

【監督】クリストファー・ノーラン

〜見どころ〜

最多13部門でノミネートとなった本作は、「原爆の父」、ロバート・オッペンハイマーの伝記映画。各授賞式で作品賞を軒並み受賞しており、監督を務めたクリストファー・ノーラン、助演男優賞候補のロバート・ダウニー・Jr.の受賞は確実といわれている。

映画館ではIMAX、70mm上映など、フィルムにこだわるノーラン監督らしい上映方法で映画館が未だに週末は満席になっているというのも驚きだ。ラッキーだったのは、『バービー』と公開日が重なったことだろう。作品のターゲット層よりも若い客層がきていたことも興収に影響した。

オッペンハイマーの妻を演じたエミリー・ブラントも助演女優賞で今回初ノミネートとなった。イベントで彼女は「3時間の上映でも観る価値のある映画。友人に5回観に行った人もいた」と話していた。

また役柄について、映画では3度離婚歴のあるキティーという妻を演じたエミリーの実生活とは異なるが、「妻や母親としての役割、なりたかった自分と現実との違いに怒り葛藤する姿に共感できた」と語っていた。

エミリーの次回作は5月公開『フォールガイ』。『バービー』のライアン・ゴズリングと共演する

ピンクのパンツスーツ姿で登場したエミリー


『マエストロ: その音楽と愛と(原題:MAESTRO)

【ストーリー】ある日、代役として指揮を務めたレナード・バーンスタインは、公演で絶賛される。パーティーで知り合ったフェリシア・モンテアレグレと運命的な出会いを果たし結婚するのだが、バーンスタインには若い男性との噂が絶えなかった。

【出演】ブラッドリー・クーパー、キャリー・マリガン、マヤ・ホーク、他

【監督】ブラッドリー・クーパー

〜見どころ〜

『ウエストサイド物語』の作曲家で、米国の偉大な指揮者、音楽家として知られるレナード・バーンスタインと、ピアニスト、ブロードウェイ女優として活躍していた妻フェリシア・モンテアレグレ・コーン・バーンスタインの夫婦愛を描き、7部門でアカデミー賞にノミネートされた。

『アリー/スター誕生』で監督デビューを果たしたブラッドリー・クーパーが、今回も製作・監督・脚本・主演と4役をこなしていて、バーンスタインを演じるにあたり、6年の歳月を掛けて指揮を学び準備したという。実は、マーティン・スコセッシが企画に着手できず、スティーブン・スピルバーグが代わりに撮る予定だったが紆余曲折あり、ブラッドリーが引き受けることになったそうだ。そのため、同作品のプロデューサーには、スコセッシ、スピルバーグもブラッドリーと共に名を連ねている。

また、『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』『スキャンダル』でアカデミー賞メークアップ&ヘアスタイリング賞の受賞歴があるカズ・ヒロが、ブラッドリー演じるバーンスタインの20〜70代までを特殊メークで見事に変身させたところもチェックしてほしい。

昨年開催されたニューヨーク映画祭の記者会見で話すカズ・ヒロ。3度目の受賞なるか

感謝祭のシーンがお気に入りと話す主演女優賞ノミネートのキャリー

 

関連記事

NYジャピオン 最新号

Vol. 1248

この春はちょっと贅沢なピクニックを体験しよう

ようやく気温も安定してきた5月。晴れた日は芝生の上でピクニックするのが気持ちいい季節。ピクニックといえども時には一つおしゃれに盛り上げたいもの。ここ2、3年で急成長しているピクニックビジネスの実態を覗いてみた。ランチやスナックを用意して、さぁ公園へいこう。

Vol. 1247

我らのドジャース

大谷翔平選手の一挙手一投足から目が離せない。スポーツ報道でLAドジャースの名前を見ない日はない。5月1日現在の勝率・621でナ・リーグ西部地区トップ。そのドジャースが、5月末には対NYメッツとの3連戦、6月には対NYヤンキースとの交流戦で当地にやって来る。NYジャピオン読者としては憎き敵軍なるも大谷選手の活躍に胸が熱くなる複雑な心境。だが、LAドジャースの「旧姓」はブルックリン。昔はニューヨークのチームだったのだ。

Vol. 1246

人気沸ピックルボールを楽しもう

あちこちに花も咲き乱れ、4月に入りニューヨークにも春が到来した。本号ではこれからの季節、屋外でも楽しめるピックルボールを紹介する。テニスよりも狭いスペースで出来るピックルボールはここ数年、ニューヨークでも人気だ。