巻頭特集

NYCで注目のハイエンドなコリアンレストラン

NYで勢力を伸ばす韓国系レストラングループとは?

ハイエンドなコリアンレストランがニューヨーク市内で増えてきていることは前頁でも既報の通りだが、現代のトレンドを抑えたレストランを次々とニューヨークにオープンさせているグループが「ハンドホスピタリティー」だ。

同社は2011年に伝統的な韓国料理とストリートフードを融合させたカジュアルでモダンなコリアンレストラン「take31」をKタウン地区にオープンし、23年までに韓国系を中心に19店舗を展開している。その中には日本人にもお馴染みの「Izakaya Mewや「Nonono」「Towa」などの日本食レストランもある。もちろん同社のメインはコリアンレストランで

「世界のベストレストラン2023年」8位/ミシュラン2つ星の「atomix」やミシュラン1つ星の「Jua」、〝食べられるアート〟をコンセプトに創作的なスイーツを提供する「LYSEE」など、話題のレストランを抱えている。他にも「Her name is Han」「Atoboy」「LittleMadなど、韓国料理をモダンにアレンジしたレストランが揃っている。

また、22年にはスピークイージーのカクテルバーGeorge Bang Bang」や、昨年には社交クラブをテーマにした「Seoul Salon」などをオープンし、幅広いジャンルに勢力を広げている。「ハンドホスピタリティー」に共通するのは伝統的な韓国、日本スタイルの料理にモダンなアレンジを加えている部分にある。あらゆる人種の入り混じるニューヨークにおいてさまざまな文化を取り入れ新たなスタイルを確立するセンスが光っているようだ。

ハンドホスピタリティーグループのレストラン一覧(アルファベット順)

• AriAr(i コリアン)

• Atoboy(コリアン)

• Atomix(コリアン)

• Cho Dang Go(l コリアン)

• George Bang Bang(コリア

ンカクテルバー)

• Hakata Ton Ton(ジャパニ

ーズ)

• Her name is Han(コリアン)

• Hojokban(コリアン)

• Izakaya Mew(ジャパニーズ)

• Jua(コリアン)

• LittleMAD(コリアン)

• Lysee(コリアンペストリー)

• Moono(コリアン)

• Nonono(ジャパニーズ)

• Okdongsik(コリアン)

• Samwoojung(コリアン)

• Seoul Salon(コリアン)

• Take31コリアン

• Towa(ジャパニーズ)


注目レストランが目白押し

Atomix

〜世界のベストレストラン8位に輝く注目の一店〜

2016年にオープンした「Atoboy」の系列店でシェフのジョンヒョン・パークさんと妻のエリア・パークさんが営むレストラン。ミシュラン2つ星をはじめ、各賞を受賞するトップレストランだ。新しいスタイルの韓国料理を提案するシェフズカウンターはオープンキッチンが目の前に見える臨場感のあるカウンター席で料理を楽しむことができる。伝統的な韓国料理をベースに、美しいプレゼンテーションでコース料理が運ばれてくる。

104 E. 30th St./atomixnyc.com

 

Jua

〜薪を使った伝統手法で表現するモダン料理〜

「Jungsik」のエグゼクティブ・シェフだったキム・ヨホンさんが手がける韓国の伝統手法でもある薪を使った料理を提供するレストランだ。薪火を使いこなし、さまざまな手法で提供する7品のコースのテイスティングメニューは深みのある味わい。薪火というと肉料理を想像しがちだが、テイスティングメニューの中にはシーフードもふんだんに登場する。クラシックな韓国料理のプレゼンテーションも楽しめる。

36 E. 22nd St./TEL: 646-590-1598/juanyc.com


新感覚のコリアンレストラン「Little MAD」のシェフを直撃

韓国料理ブームの勢いに迫る

ハンドホスピタリティー・グループ傘下の同店は韓国生まれ、米国育ちのソル・ハンさんが指揮を執る。トレンディーなハイエンドレストランを体現する同店のソルシェフにモダン韓国料理のブームの背景などをシェフの視点から伺った。

「Little Mad」とはどのようなコンセプトの レストランですか?

メルティングポットを体現しているレストランだと思います。ニューヨークという場所はさまざまな異なる文化や人種が入り混じっている場所。「Little MAD」は韓国料理からインスパイアされたニューアメリカンスタイルのレストランです。伝統的な韓国料理の技術にアメリカ料理などの新たなツイストを加えてモダンに仕上げています。私は韓国で生まれ米国で育ちました。両親は日本食レストランを営んでいて、私自身も日本食、イタリアン、フレンチなど、さまざまなレストランで修行を積んできました。そういった背景からもメルティングポットを体現していると思います。

「Little Mad」の強みは?

料理に対するテクニックが際立っていることと、料理のジャンルの境界線を超えていく新しい料理を生み出していることです。また、最高のチームがおもてなしします。

人気メニューの「SIGNATURE YELLOW TAIL POND」14ドル

 

得意な料理ジャンルは?

イタリアンは素材を活かしたシンプルな手法、フレンチレストランではフレンチのテクニックを学びました。日本食レストランでは伝統的な日本食の技術を学んだので、さまざまなテクニックが強みだと思います。

近年ハイエンドなコリアンレストランが増えている理由は?

日本食と言えば寿司、韓国料理と言えば韓国式焼肉と頭に浮かぶ人は多いと思います。10年以上前からモダンな高級日本食レストランがニューヨークで増えてきて、10年経った今、その波が韓国料理に来ていると思います。韓国のエンタメ人気なども後押ししてモダンなコリアンレストランが増えてきたのではないでしょうか。

定食のように盛り付けられたボリューム満点のプレート

 

なぜ、ニューヨーク市でそれらが人気なのでしょうか?

SNSの影響も大きいのではないでしょうか?カジュアルなコリアンレストランも増えてきていると思いますが、モダンでハイエンドなコリアンレストランはSNS映えするので、そこからみんなが目にすることが増えたと思います。また、ニューヨークは裕福な人も多いので、ハイエンドなレストランが受け入れられるのだと思います。

ハイエンドな韓国料理の特徴とは?

さまざまな食材や味わいが組み合わさって出来ていると思います。例えばユニークな米国の食材を使ってごま油や韓国の調味料を合わせたり、「Little MAD」ではフレンチの食材と韓国の食材を合わせたり、日本の調味料を合わせたりしてコンビネーションを楽しんでいます。

Little MAD

110 Madison Ave./TEL: 917- 261-4969

littlemadnyc.com

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