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近年、ニューヨークのミシュランガイドを賑わすようになったコリアンレストラン。ミシュランのみならず、ファインダイニングと呼ばれるハイエンドでモダンなスタイルのものが増えている。韓国のエンタメ人気も後押しし、勢いを増すコリアンレストランをレポートする。(取材・文 / 菅 礼子)
トレンドの背景を分析
ハイエンドなコリアンレストランがニューヨークで注目を集めている背景についてフードインフルエンサーの@restaurantgroupieさんに話を伺った。
──近年、ハイエンドなコリアンレストランが増えてきている理由は?
日本食の寿司や天ぷらをみんなが知っているように、タイ料理や中華料理も米国人にとって馴染みがあるのに対し、韓国料理は比較的新しい料理ジャンルです。昔は、ロサンゼルスにしか大きなコリアンコミュニティーがなく、東海岸にはコリアンレストランがニューヨークに一軒しかありませんでした。それがフラッシング地区やKタウン地区、フォートリー地区などにコリアンコミュニティーが出来てきて、徐々に韓国料理が有名になっていきました。
昔は、カジュアルな大衆コリアンレストランには韓国人のみが行っていました。今まで韓国料理と言えば多くの人が韓国式焼肉をイメージしたと思いますが、ニューヨークにはデリがたくさんあって、そのオーナーは韓国人も多かったのでデリでビビンバを売るようになり、ビビンバも有名になっていきました。キムチやフライドチキンなど、韓国料理の味をみんなが楽しむ機会が増え、そうした流れからここ10年でハイエンドなコリアンレストランも増えてきたと思います。ファインダイニングと言われるハイエンドなレストランには韓国人はもちろん、韓国人以外のフーディーたちが足を運ぶようになりました。
──なぜ、ニューヨークでそれらのレストランが増えていると思いますか?
アジア人は食に対する意識が高いと思います。「Per Se」で働いていたシェフがフレンチの技術を持ってコリアンレストランを開いたり、「Jungsik」のシェフはカリナリー・インスティテュート・オブ・アメリカで学び、「ブーレイ」で修行するなど〝コリアンフレンチ〟の分野を確立しています。
有名な料理学校を卒業し、フレンチや和食など、異なる料理のジャンルを学んだシェフがコリアンレストランをオープンするなど、シェフのバックグラウンドが多様化しています。ファインダイニングの多いニューヨークに比べ、ロサンゼルスはもっとクラシックなコリアンレストランが多いので、コリアン・ファイン・ダイニングが増えているというトレンドはニューヨークの特徴でもあります。
「Jua」や「Atomix」の他に、少しカジュアルめなレストランも多く展開しているのがハンドホスピタリティーグループです。オーナーが日本人と韓国人のミックスで、トレンディーなレストランを展開しています。
──高級韓国料理店の特徴は?
前述したように、さまざまなバックグラウンドを持ったシェフが作る料理なので、韓国料理と言ってもさまざまなテクニックや食材が使われていることが特徴だと思います。
<話を聞いた人>
@restaurantgroupie
フードインフルエンサー。年間300軒以上のレストランを訪問。ジェームズ・ビアード・ハウス・プログラミング委員会メンバー、サンペレグリノ・アドバイザー。日本政府主催のイベントにも頻繁に参加している。