巻頭特集

新学期向けて 文具にこだわる

米国は9月から新学年がスタート。8月後半ともなると子供たちは学用品や通学バッグなどの新調に躍起になる。学習でも仕事でも毎日使う文具だから、やはりこだわりたい。円安の恩恵で、直輸入の日本製文具が求めやすくなった。ニューヨーク市内で入手できる良質な文具の最新事情をまとめてみた。(取材・文/中村英雄)


全米最大級の日系文具店で聞いてみた

筆記用具、紙製品、ファイル、定規、下敷き…どれをとっても日本製の文具は品質が良い。できれば品揃えの豊富な専門店で選びたい。そんな願いを叶えてくれるショップがマンハッタンにある。

 

 ミッドタウン地区、六番街のブライアントパーク前にある紀伊國屋書店だ。地下の文具フロアは平日でもお客さんでごった返す。小中学生から勤め人、アーティストまで、人種性別を問わず誰もが日本製文具に目を輝かせている。「ニューヨークの皆さんはクォリティーの違いに気がついています。ノートの紙質やペンの書き心地など実際に触って、書いて、体験して改めてその良さを痛感してくださるのです」というのは同フロア主任の水野美佳さん。120平米の売り場で扱う3000点を超える日本からの直輸入商品をキュレートしている。

 「日本には定期的に足を運び、メーカーや展示会を頻繁に訪問して、常に新しい商品を導入するよう心がけています」と水野さんだが、定番の人気アイテムは決して切らさない。例えば、私たちの誰もが学生時代から世話になっているコクヨのキャパスノートシリーズ。「特にソフトリングのノートのプラスチック製リングの手触りが良いと人気です」。同じく、コクヨから出ているカラフルな半透明ファイルは、開いた片面にプリント用紙を挟んでクリップボードとして使うこともできる。「プリントを保存して、後でノートのように見返して書き込みできるので学生にもビジネスマンにも便利なのです」と水野さん。このような小さな気配りや工夫と機能性が日本製文具の最大の魅力だ。

 

1975年の発売以来、進化し続けるコクヨのキャンパスノート。

とじ方や罫線、材料品質にこだわりのあるノートだ

 

 筆記用具コーナーの充実ぶりも壮観だ。ボールペンではゼブラ、パイロット、トンボなどの各スタイル、全色、全芯サイズが揃っているし、ユニ、モノ、など伝統の高品位鉛筆の濃度別ラインアップも完璧だ。「パソコン全盛の米国ですが、鉛筆やペンで書く人の数は意外に多く、特にシャープペン(英語でmechanical pencil)の人気は衰えません」。水野さんは続ける。「シャープペンのハイテク化は目覚ましいですね。特に筆記中にノックが要らない自動芯出し機能が備わった新製品が最近の流行です」

 

自動芯回転機構「クルトガエンジン」搭載のシャープペン。

手が小さい方でもしっかり握り込め、幅広い方に対応した細身のデザインが特徴

 

 いずれも1本40ドル以上でかなり高価だが、それぞれに特徴があり目を見張る。例えばクルトガというタイプでは芯が回転して芯先を鋭角に保つ機能を備える。一方、パイロットS30ではペン先のガイドパイプに沿って常に芯が送り出されるシステム。オレンズネロは0・2ミリの極細芯でも折れにくい芯出し機構で、先端パイプに保護されながら芯を浮かすたびに少しずつ滑り出す。10分の1ミリの世界で技術を競い合うモノ作りジャパンがこんなところにもあるのだ。

 

バインダーやファイルは、用途別や紙のサイズなどに対応し種類やカラーバリエーションも豊富

 

 新学年、新学期で生活を改めてオーガナイズしたい人には、様々な日記帳、手帳類も用意されている。MDノート、スタロジーの365デイズノート、旅の記録や日常記録を自分らしく編集できるトラベラーズノートなど、見ているだけで明日が楽しくなりそうな予感がする。

 

<お話を聞いた人>

水野美佳さん

紀伊國屋書店ニューヨーク店 文具フロア主任

2007年以来、同店の文具販売に携わる。近年、日本文具へのニューヨーカーの関心は急激に高まっているという。コンピュータ文化に対する反動による「手触り回帰」とアニメなど日本のサブカル人気の影響かもしれない、と語る。

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