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水道詰まり、ネズミ被害、家賃交渉——他の人が経験してい るあれこれ、自分に降りかかった時のことは考えてる? 今号 は、住居にまつわる意外と忘れがちな自衛対策を紹介。 (取材・文/南あや)
不動産エージェント・キシロさんに聞く!
入退居時のトラブル回避講座
日本が思慮と協調の文化なら、アメリカは交渉の文化だ。当地での暮らしぶりは、いかに交渉の機会を設けるかが鍵を握る。
「交渉することは『欲張ること』ではありません。例えばガスの臭いや窓の締まりの悪さなど、物件に関して気付いたこと、特にそれが安全に関することであればぜひ尋ねてみてください」と、キシロ・ヒロシさんは力強くアドバイスを送る。
特に最近は不景気で、家賃の支払いが厳しくなったり、契約満了前に引っ越しせざるを得なくなったりした人は数多い。オーナーにできるだけ早く、正直に状況を伝えて相談し、最善の解決法を模索しよう。キシロさんいわく、「交渉が苦手であれば、まずはメールからで構いません。正直に状況を伝えることが何より大切です」。
リース契約の更新意思を伝える締め切りは、建物によって異なっており、中には、入居時の契約書に明記されている期日までに「リース更新なし」の意図を伝えないと、入居時に預けたセキュリティーデポジットが全額返されないケースもある。自動で更新される/切れると思わず、しっかり念押ししていこう。
日本では、壁紙に残った傷やシミが退去時の問題になることがある。ただ、アメリカでは次のテナントの入居までに清掃や壁の塗り直しが行われるケースが多く、故意や悪意の伴わない軽い傷・汚れは問題にならないことがある。
もし心配なら「入居前」に、部屋のコンディションや破損の状況を写真に残しておくと、後々トラブルになった時に役立つ。
またトイレや下水の詰まりなどは自分で解決できない場合も多い。度々起こるようであれば、問題が深刻化する前に速やかにオーナーもしくは管理会社に連絡、相談すること。
新居ではここに注意
「ニューヨークには、築100年を超えた建物も多くあります。就眠中に突然、天井の一部が頭に落ちてきた、なんて話も実は珍しくありません」とキシロさん。
住まいの脅威は、決して目に見えるものだけではない。ニューヨーク市では塗装に鉛(幼児が剥がれたペンキを口にすると障害を起こす危険性がある)が含まれている場合や、アパートでベッドバグの発生があった際は、オーナーがテナントに通知することが義務付けられている。
またネズミや虫の問題があるか、駆除サービスを定期的に行っているかも、内見の際に聞くと良い。
ペット好きにもアドバイス。ニューヨークではペットOKの表記がある物件でも、犬種や体重によって規制している場合がある。必ず事前に、オーナーに確認すること。
「アパート側がOKを出していないビルで、入居後に犬をこっそり飼い、共用スペースで他人にかみ付くといったトラブルが起きたら、飼い主に責任が問われます。ご注意下さい」
なお猫については、あまり問題ないことが多い。
キシロ・ヒロシさん
ニューヨーク州公認不動産セールスパーソン。1999年よりニューヨーク在住。飲食業界でのデザイン・広報などを経て、現在はBRP Associatesに勤務している。不動産に関する相談・問い合わせは、以下の連絡先まで。
TEL: 212-518-6638
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