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2024年も気づけばもう3月と思うと、驚いてしまう。今月は、ジャピオン読者にはおそらく馴染みが深い桃の節句が3日にあり、そしてそのすぐあと8日には国際女性デーが控えている。
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国際女性デーとは
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国連によると、国際女性デーの目的の一つは「国や民族、言語、文化、経済、政治の壁に関係なく、女性が達成してきた成果の認識」。ちなみに20世紀初頭には、国際女性デーの前身とも言われる全米女性デーがあったそうだ。これは、ニューヨークシティーで縫製業に就く女性労働者たちが賃上げと労働環境改善を訴えた、1908年の大規模ストライキに由来すると言われる。今もまだ課題はあるとはいえ、女性や移民の労働者が多い縫製業で広く見直しが進むきっかけとなった運動だ。私たちが暮らしたり学んだり働いたりしているこの街にも、マイルストーンとなる「女性が達成してきた成果」がある。
そして今では、国際女性デーはその名の通り、国際的(かつグローバル)に、いわゆる先進国だけでなく発展途上国と呼ばれる国(や地域)も含め、ジェンダーによるあらゆる差別や格差をなくし、個人の生き方や選択、尊厳が守られ、生きやすい・働きやすい社会をつくることを今一度話し合う機会にもなっている。この日には世界各地で多様なイベントが開催される。
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もっとよくしていける、というリマインダー
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米国やニューヨークは、個人の思いや背景が理解・尊重される側面を多く持つ。それでも、不適切な言動や待遇は見受けられ、自ら経験したり周りの誰かに向けられるのを目撃する場面は往々にしてある。そういった出来事の裏側で、例えば私個人の場合、この地では女性であるだけでなく、人種マイノリティーであることも併せて影響している可能性は、排除できない。
しかし、目の前で起きたことにモヤっとしたり、悲しくなったり、悔しさや怒りが芽生えても、困惑しとっさには反応できなかったり、状況がかえって悪くなるのを懸念し行動を抑えたことがある方々は、これを読む中にきっといるだろう。少なくとも私はその一人。「やっぱりちゃんと話せばよかった」「とはいえ、一体どうやって何をしたらよかったのだろう」それは記憶としてだけでなく答えがうまく出せない疑問として残り、積み重なっていく。
国際女性デーという日が、今存在する課題を解決したり、何かを革新的に変えるわけではない。一年にたった一日、この日を設けるだけでそれらが実現するならば、そもそも国際女性デーはとうに要らなくなっているはずだ。むしろ私は、3月8日を迎えるたび、私たちにはよくしていけることがまだまだたくさんある、とリマインドされるように思う。成果を振り返りつつ、自らの経験をまじえて課題の整理もするいい機会になるけれど、それを実際に解消や解決するのは、個人だけのタスクではない。ジェンダーを超え他者とテーブルを囲み、日常的に取り組んでいく必要性も一緒に思い出される。
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自分からは遠いことにも目を向ける
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身の回りのジェンダー不平等や格差を話し合い、連帯し、変えていくことはとても重要であると同時に、自分からは遠くとも間違いなく存在する不条理にも、同様に目を向けることを忘れないようにしたい。世界では、生命を脅かしたり生活を破壊する軍事攻撃、性暴力、SRHR(セクシュアル・アンド・リプロダクティブ・ヘルス・アンド・ライツの略。訳:性と⽣殖に関する健康と権利)の侵害、環境・気候不正義などが、至るところに存在する。女性やジェンダー・性的マイノリティーは特に被害を受ける傾向が高いことも、ここに記しておきたい。
生きやすい環境を整えるのは、身近な範囲だけでも容易ではないのに、世界のことなんて…怖気づきそうになる。けれども、小さな範囲と大きな範囲のどちらも見据えることで、相互に働きかける動きを生むこともできる。どちらも無駄ではない、むしろどちらも大事だと改めて胸に刻む。じきにやってくる8日も、それ以外の日も、今まで成し遂げてきたことを祝福するとともに、私たちは未来をもっとよくしていく力を秘めていると信じて。
COOKIEHEAD
東京出身、2013年よりニューヨーク在住。ファッション業界で働くかたわら、市井のひととして、「木を見て森を見ず」になりがちなことを考え、文章を綴る。ブルックリンの自宅にて保護猫の隣で本を読む時間が、もっとも幸せ。
ウェブサイト: thelittlewhim.com
インスタグラム: @thelittlewhim
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