今年のバレンタインデーはどうする?
1年の中で2月は一番冷え込むニューヨーク。そんな2月にあるバレンタインデーはカップルにとって大事なイベントの一つだ。しかし、シングルの人にとってはどうだろうか。本号ではカップルや、いい出会いを待っている人、友達との時間を満喫したい人にとっても楽しめるバレンタイン情報をまとめてみた。
友人宅を訪ねたりインテリアショップに行くたび、この街には素敵な家具が溢れていると思う。最先端のデザイナー家具から、歴史的背景を持つアンティーク家具、はたまたDIYのものまで幅広い。
同時にニューヨークは、家具より前に住む場所の確保すら困難なほどお金がかかる。家賃はじめ住宅価格高騰やジェントリフィケーションは大きな問題であり続け、ゆえに引越しが多く人の出入りも激しい。
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循環を意識し、まずは中古で探す
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そんな中、私は家具を揃える上で、「まずは中古で探す」を念頭に置いている。多くの人々がきっとそうであるように、限られた予算内で「良い」ものに出会いたいし、生活環境に合う「好き」なものを、「長く」使いたい。それに加えて循環を意識すると、「古い」ものに惹かれるのだ。
これは、呼び名がつくほど付加価値が高かったり、それに伴い価格も上がるようなアンティークやビンテージの家具を選ぶことと同じではない。そういった家具に付与される、あたかも普遍的かのように見える価値は、市場と、家具やデザインに明るい誰かが決めたもの。その客観的価値は、必ずしも自分の理想と合うわけではなくて。斜に構えているようだけれども、これはとても本質的なことだとも思っている。自分の生活の一部となる家具一つ一つの評価は、ある程度の客観性を持ちつつも自分でするべきだから。そう考えると、あまたある中で出会う、すでに存在し機能している家具そのものの「価値」と、受け継がれることで続く「ライフ」を、私は重視したいのだと思う。
実際に私の暮らしは、「古い」家具に囲まれている。地域型ビンテージマーケット、フリーマーケット、不要品などを個人間で売買できるアプリ、近所の人からの譲り受けなど、様々な機会を活用してきた。特に元の持ち主や過去が見える出会いだと、誰かから自分の手に渡る瞬間もその家具の「ライフ」に刻まれるようで、私にとってそれもその家具の「価値」の一つになる。
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ファストファーニチャー問題
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さらには、古家具を地域で回収・販売し、環境問題の啓蒙もする、RemixMarket (クイーンズ区ロングアイランドシティー地区とブルックリン区インダストリーシティー)やBigReusue(ブルックリン区ゴワナス地区)を利用すると、家具とその廃棄についても考えるようになる。
特に、革命的に「速い」「安い」「新しい」家具が当たり前になって久しく、実にファストファーニチャーという言葉もあると聞く。読者の頭に浮かぶファストファーニチャーの例は、いくつかあると思う。多様な暮らしを考え設計された家具が手軽に手に入り、非常に合理的で便利。しかし場合によっては、長持ちしにくかったり、修理が難しかったり、飽きたり不要になった際に捨てられてしまいがちだったりと、家具のあり方と考え方を大きく変えてしまった側面もある。すると同時に、埋め立て地送りや焼却の処理も増え、ゴミ問題と気候変動に影響する。スピードと量を重視するゆえ、原料採取や製造・流通過程の環境負荷と労働環境も気にかかる。
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過大評価も過小評価もせず、引き継ぐ「価値」
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冒頭で述べたように、住むだけでお金がかかり、引越しや人の出入りが多いこの街では、「古い」家具はどうしても生まれやすい。ならば、それを家から家へ、部屋から部屋へ、人から人へ、循環することがもっと容易になるべきだと思う(もしそれがファストファーニチャーであっても)。市場価格や誰かが決めた客観性で「特定の古さ」を過大評価することも、新品ではない「おさがりの古さ」を恥ずかしいと過小評価することもなく、家具が持つ等身大の「価値」と「ライフ」を引き継ぐという、本来とてもシンプルなことである循環こそ、もっと普遍的に受け入れられたらいい。
急を要するわけではない家具の購入や、今ある家具を手放す予定がある際、ぜひ循環を意識した方法を検討してみて欲しい。時間と手間はかかり、誰しもにとって可能な現状ではないけれど、循環の輪をもっと増やせば、その持続可能性を促すことができると願っている。
COOKIEHEAD
東京出身、2013年よりニューヨーク在住。ファッション業界で働くかたわら、市井のひととして、「木を見て森を見ず」になりがちなことを考え、文章を綴る。ブルックリンの自宅にて保護猫の隣で本を読む時間が、もっとも幸せ。
ウェブサイト: thelittlewhim.com
インスタグラム: @thelittlewhim
本文中に登場&#
大統領就任式&#
12月のとある金
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