今年のバレンタインデーはどうする?
1年の中で2月は一番冷え込むニューヨーク。そんな2月にあるバレンタインデーはカップルにとって大事なイベントの一つだ。しかし、シングルの人にとってはどうだろうか。本号ではカップルや、いい出会いを待っている人、友達との時間を満喫したい人にとっても楽しめるバレンタイン情報をまとめてみた。
在米日本人の健康と医療をサポートする「FLAT・ふらっと」がお届けする連載。アメリカで健康な生活を送るために役立つ情報を発信します。
アドバンス・ケア・プランニングとは?
皆さんはアドバンスケアプラニング(ACP)というのをご存知ですか?日本では人生会議と呼ばれてもいます。
私は緩和ケア医として大学病院で働いていますが、具合が悪くなって入院してくる患者さんをよく診察します。中にはもうどうやっても助からないいわゆる終末期の患者さんもたくさんいます。そういうときに自分で自分がどういう治療を受けるかを決められればいいのですが、あまりに具合が悪いと、まともにコミュニケーションもとれないので、医師は家族や近しい人と相談しながら治療方針を決めなくてはなりません。そういったときに備えて、あらかじめ話し合っておきましょう、というのがACPです。
具体的には以下の3つが含まれます。
①本人の人生観、価値観をシェアする会話
②意思決定代理人の指定
③具体的な治療に関する希望の決定、事前指示書(リビングウイル)の作成
この中で一番大切なのは①です。米国で生活している場合は②も重要です。例えば子供が3人いる場合、あらかじめ意思決定代理人(Health Care Agent)を決めておかないと、3人の子供が全員合意しないと、物事が進みません。しかし、その中の誰か1人を指定しておけば、その1人が同意するだけで物事を進めることができます。日本と違って米国ではHealthCare Agentは法的な決定権を持つので、これをあらかじめ決めておくことは重要です。
問題は③です。よくACP=③、つまり「万が一の時は延命治療を望みますか?」とか「食べられなくなったら胃ろうを希望しますか?」といった質問に答えることがACPであり、答えられないと③が完了しない。言い換えると、治療に関して何らかの決断を下さないとACPをしたことにはならない、と考えている医療者をよく目にします。これが大きな間違いです。
確かにそのように将来受ける治療について決断して、書類に残しておけばいいような気がすると思います。でも、実際には①がしっかりと共有されていない中で③の書類だけあっても、あまり役に立たない(家族がそれに従って治療の方針を決めることはできない)ということがいくつもの研究で示されています。
私は何か決めておくのは1年後の夕食に何を食べるのかをあらかじめ決めることに似ている、と考えています。1年後の今日は暑いかもしれないし、寒いかもしれないし、そのときに何を食べたいか、なんて決められないですよね?それよりも、その手前の例えば「洋食よりも和食の方が好き」とか「夕食に麺類はありえない」という大まかな好みを知っているほうが、実際には役に立つのです。それに当たるのが①です。
家族に贈ることができる最大のプレゼント
ただ、人生観、価値観、といっても何を話していいのかよくわかりません。私がよくおすすめするのは次の4つの質問です。
1)自分が楽しみにしていることって何ですか?
2)自分の生きがいって何ですか?
3)今後状態が悪くなったときに、一番気がかりなことって何ですか?
4)「〇〇になったら生きていたくない(死んだほうがまし)」という考えはありますか?
皆さん、この4つの質問に答えられますか? もし答えられるのであれば、それを自分の大事な人と共有しておくことは非常に大切です。
私はこれは自分のため、というよりもむしろ自分の周りの人のためにこそ大切だと思っています。あなたの生死がかかった決断をくださなくてはいけないときに、何も手がかりなしでそれをするご家族の気持ちになってみてください。そのプレッシャーたるや生半可なものではありません。一生に渡って残る深いキズを家族に刻むことだってあるのです。
なので、私はこのACPで自分の思いを共有することは「自分が周りに贈ることのできる最大のプレゼントである」と思っています。仮に、あなたが家族と仲が悪くて、家族を一生にわたって苦しめてやりたい、と思うのであれば、この会話はしない方がいいです。ただ、逆に少しでも家族を思う気持ちがあれば、この会話は絶対にしておいたほうがいいです。例外はありませんし、異論も認めません。これを読んだら今日からでも、この会話をしてみてください。
今週の執筆者
中川 俊一
内科医、老年医学医、ホスピス・緩和医療医
北海道大学医学部卒業後、クリーブランドクリニックの肝移植フェロー、同クリニック内科レジデント、マウントサイナイ老年内科フェローなどを経て、現在はコロンビア大学医学部で緩和医療科入院部門のディレクターを務める。
cancer.columbia.edu/profile/shunichinakagawa-md X: @snakagawa_md
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乳がん、婦人科がん、その他のがん、女性限定転移がん患者さんのためのサポートミーティング、女性のがん患者さんカフェ、シニアカフェ、スペシャルニーズの療育支援ミーティング、介護者さんカフェをオンラインで定期開催中。参加費は無料。
スケジュールや詳細は、FLATのウェブサイトをご参照ください。この他にも、一般の方にもご参加いただけるセミナーなども企画中。
「FLAT・ふらっと」は、乳がんと婦人科がんの患者、がん患者全般、高齢者、特別支援が必要な子どもを持つ保護者、介護者など、在米日本人の健康を、広い範囲でサポートする団体です。
Website: www.flatjp.org
Email: info@flatjp.org
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