ドクターベルモンテが教えるウェルネス道

坐骨神経痛って何? 病気? 症状?(前編)

今月のテーマ:坐骨神経痛って何?病気? 症状?(前編)

(Vol.25)

現代に生きる老若男女が健康でいるための生活のポイントを、カイロプラクターのドクターベルモンテが教えてくれる連載。


腰→爪先まで伸びる人体最長の末梢神経

新年が明けて早いものでもう1カ月が経ちますが、皆様いかがお過ごしですか。1、2月は、坐骨神経痛についてお話をしようと思います。そもそも坐骨神経痛とはそれ自体は病名ではなく、さまざまな原因によって生じる神経痛などの諸症状のことです。坐骨神経は、腰から足の爪先まで伸びる、人間の体の中で最も太く、長い末梢神経です。まずはその構造についてご説明しましょう。

腰から足先の太い神経

脊柱(背骨)は、椎骨(ついこつ)と呼ばれる骨が積み重なってできています。上から「頸椎(けいつい・7個)」「胸椎(きょうつい・12個)」「腰椎(ようつい・5個)」「仙椎(せんつい・5個)」「尾骨」という順番です。それぞれの背中側に「椎孔(ついこう)」という空間があり、連なってトンネルのようになった部分を脊柱管(せきちゅうかん)といい、脳の延長として伸びる神経の束(中枢神経)の一部である脊髄(せきずい)がその脊柱管を通っています。

この脊髄から、末梢神経である脊髄神経が、各椎骨の間から各所に伸びるわけですが、そのうち腰椎の一部と仙骨の一部から伸びる神経がまとまって、一つの太い神経となって、腰から足先まで伸びています。これが坐骨神経です(イラスト参照)。

そして一般にいう坐骨神経痛とは、この坐骨神経が何らかの原因で刺激を受けることで、神経そのものや周辺筋肉に炎症が起きることで痛みが生じる状態を言います。参考までに、坐骨神経痛は英語で「sciatica/ sciatic neuralgia」と言います。痛みや痺(しび)れは、主に腰から足先に向かって流れます。

最初は腰痛から始まることが多く、その後お尻や太ももの裏、ふくらはぎ、足、指先と、坐骨神経の通り道に沿って症状が出てきます。痛む場所は個人差もあり、進行速度もあっという間に腰から足先まで痛みが走る人もいれば、徐々に悪化する人とさまざまです。

痛みの原因は主に二つ

坐骨神経の痛みは、痺れるような感覚だったり、ヒリヒリ疼(うず)く感じだったり、氷を当てたようにヒヤッと冷たく感じたり、電気が走るようにビリビリと痛みが走ったりといったようなものです。結果、長時間座っていることが辛くなることもあれば、座った状態から立ち上がる時に痛むこともあります。重症になると、足の筋肉が弱くなり、足を動かすことが困難になることもあります。体の片側だけに痛みが現れることもあれば、左右両方に生じることもあることを知っておいてください。

原因はいろいろで、腰椎と仙骨(坐骨神経が始まる部分)に問題がある場合と、事故などによる外傷で神経が損傷する場合の、二つが主な原因となります。中でもよく知られる原因として、椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、腰椎すべり症があります。そのほか、椎骨の関節炎、臀部・足の筋肉の炎症で坐骨神経にストレスがかかることが痛みの原因となることもあります。

注意したいのは、症状が似ているために坐骨神経痛と間違われやすい病気があること。たとえば末梢神経の伝達障害が原因で、痺れや麻痺が起こることがあります。糖尿病や血栓、筋肉・神経の炎症、腫瘍などが原因でも、痺れや麻痺が起こるので、痛みが整形外科的な症状に起因するのか、もしくは神経系、内科系のものなのか、その判断が重要になります。

我々カイロプラクターは、それらを見極めるための訓練を最も積んでいる医療専門家です。下肢に気になる痛みや痺れがある人は、早めにご相談ください。次回は坐骨神経痛の予防と治療についてお話ししましょう。

 

ジョン・J・ベルモンテ 先生
John J. Belmonte, DC

E. 53 Wellness院長。カイロプラクター(Doctor of Chiropractic)。全米カイロプラクティック協会会員、ゴルフPGAツアー・スポーツ医学チーム所属。アスリートのけがの治療、妊娠中の痛みの緩和、成長期の子供のカイロ治療も手掛ける。

E. 53 Wellness

211 E. 53rd St./TEL: 212-980-4211
e53wellnessnyc.com


今月の教訓!

「自己診断は禁物です」

坐骨神経痛というと、何となく漠然としたイメージがあります。実際、これは病名ではなく症状を指すと本文でも説明しました。でも、ちょっとした痺れや痛みを自己診断し、鎮痛剤だけに頼っていると、悪化して苦しむことになります。まずは正確な診断が早期治療を可能にするので、腰から下、お尻や腿やふくらはぎ、足先などに痺れや痛みを感じる人は、この分野の専門家であるカイロプラクターの診断を仰ぐことが先決です。

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