ドクターベルモンテが教えるウェルネス道

寝る前は軽くストレッチ 体がポカポカする程度に

今月のテーマ:よく眠るためのあれこれ(前編)(Vol. 17)

不調が起きやすい今だからこそ、さまざまな体のメンテナンスが大切だ。健康でいるための生活のポイントを、カイロプラクターのドクターベルモンテが教えてくれる連載。


皆さん、夜はよく眠れていますか? 朝起きて、夜寝るという我々の日々の営みは、シンプルなようで非常に複雑な要素が絡み合っています。カイロプラクターの立場から言うと、睡眠の質と、ストレス、体の痛みは、相互に絡み合っています。体の痛みを訴えて来られる患者さんも、よくよく話を聞くと、「眠れない」という人はたくさんおられます。

交感神経と副交感神経

まず、眠りのメカニズムについておさらいです。「交感神経」と「副交感神経」について聞いたことがある人は多いと思います。簡単にいうと、仕事や勉強でアクティブな昼間は交感神経が優位になり、それを終えて休憩する夜は副交感神経が優位になります。普通は無意識のうちに行われるこの昼夜の切り替えが、さまざま理由でうまくいかない場合に不眠につながることは、よく知られていますね。体に痛みがある場合も、体が自然に防御体制(緊張状態)に入るため、夜になっても交感神経が優位に立ち、リラックスできず、不眠につながります。

カイロプラクターとして何ができるかと考えてみました。まず、手技がもたらすリラックス効果が大きいことが挙げられます。個人差はありますが、人間は誰かに直接体を触ってもらい、マッサージしてもらうとリラックスするものです。血行もよくなります。その意味で、マッサージ全般もおすすめです。

寝る直前に避けることは、飲酒、刺激物(コーヒーやチョコレートなど)の摂取、コンピューターやスマホの使用、そして激しい運動です。逆に、寝る前にやってほしいことが、軽いストレッチです。

寝る直前のストレッチ

以下は、当院の理学療法士・城戸あきえが勧めるものです。「必死でやらないこと。できる範囲で、体が少しポカポカする程度に」がカギです。左上の写真と照らし合わせて、寝る前にベッドの上でやってみてください。

肩甲骨と背骨ストレッチ=膝を組んで座り、両手を組んで前に伸ばす。手の甲が外側。左右の腕を交互に、外より前方に出すと、出した方がより伸びます。

股関節90度尽くしストレッチ=座った状態で、、片方の腿を股関節から真っすぐ前方に、もう片方は真っすぐ横に。左右の腿が90度、両膝も90度になるように。その体勢で前屈する。股関節には大きなリンパ節が流れているので、ここをストレッチすることでリンパの流れを促進します。前方に出した腿側のお尻が〝つる〟ことがあるので、その場合は痛くないところまで体を傾けましょう。できる範囲でやってください。10秒ずつを3回くらい。

ヨガのチャイルドポーズ腕縦バージョン=左右の手を縦に並べてのチャイルドポーズ。前に置いた方の脇の下が伸びます。膝は合わせても離してもOK。

骨盤ストレッチ=仰向けに寝て、腰幅に両膝を立てて一方に倒す。倒した側の足をもう片方の膝に乗せる。左右30秒程度。骨盤が柔かくなります。

片脚上げ=仰向けに寝て片方の脚を上げ、膝を伸ばし、足首を伸ばしたり、曲げたり、回したりして、脚の裏側を走るリンパの流れを促します。下ろした脚は伸ばしても、膝を立ててもOK。タオルを使って、上げた脚を支えてもいいので、膝を伸ばすことが肝心。
手足のホールド&リラックス=仰向けに寝て、手足の指を同時にギューっと5秒くらい握り、10秒くらい緩める。数回。手足を温めます。最後に深呼吸。

これら6つを、全部でも、一部だけでもいいので、頑張らず、無理なくやってください。

肩甲骨と背骨ストレッチ

 

股関節90度尽くし
ストレッチ

 

ヨガのチャイルドポーズ
腕縦バージョン

 

骨盤ストレッチ

 

片脚上げ

 

手足のホールド&
リラックス

来月は、睡眠のツボと、漢方薬についてです。お楽しみに。

 

 

ジョン・J・ベルモンテ 先生
John J. Belmonte, DC

E. 53 Wellness院長。
カイロプラクター(Doctor of Chiropractic)。
全米カイロプラクティック協会会員、ゴルフPGAツアー・スポーツ医学チーム所属。
アスリートのけがの治療、妊娠中の痛みの緩和、成長期の子供のカイロ治療も手掛ける。

 

E. 53 Wellness
211 E. 53rd St./TEL: 212-980-4211
e53wellnessnyc.com


今月の教訓!

「寝る前に頑張らない」

今回は、睡眠を促すための寝る前ストレッチを紹介しました。注意してほしいのは、「必死でやらないこと」「頑張らないこと」。運動は、朝から夕方にかけて頑張り、寝る前はリラックスすることが肝心です。昼間の運動、スポーツは、夜疲れてよく眠るためにプラスになりますが、それらを寝る直前にするとアドレナリンが出過ぎて逆に眠れなくなります。寝る前ストレッチは、できる範囲で、体が少し温まる程度に、軽くやりましょう。

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