ドクターベルモンテが教えるウェルネス道

私のカイロ治療の原点 患者中心のチーム医療

今月のテーマ:カイロプラクティックは人間丸ごとケア(Vol. 15)

不調が起きやすい今だからこそ、さまざまな体のメンテナンスが大切だ。健康でいるための生活のポイントを、カイロプラクターのドクターベルモンテが教えてくれる連載。


春の予感がしてくる頃です。読者の皆さまはいかがお過ごしですか。今回は、私のカイロプラクターとしての原点に立ち返って、私が初めて勤務したカイロ・プラクティック・クリニックのことや、当院の理念であるチーム医療についてお話ししてみたいと思います。

「人間丸ごとケア」

私がカイロプラクターになって30年以上になります。私にとってのカイロプラクティック治療は「人間丸ごとケア」、この一言に尽きます。

私がカイロプラクターの資格を取り、最初に勤務したカイロ・プラクティック・クリニックでは、カイロプラクターを中心に足病専門医、医師、ラボ技術者が集結し、それぞれがそれぞれの分野の専門知識と技術を提供することで、チームとなって患者の総合ケアに当たっていました。私の原点はまさにそこにあります。当院に「ウェルネス」という単語を冠したのも、最初に勤務したクリニックの理念や、ビジネスモデルを目指してのことです。

当院にはさまざまな痛みを抱えた患者さんが来院されます。腰痛、首の痛み、頭痛、肘の痛み、膝や足首の痛みなど。それぞれの痛みは、その原因、痛む場所、痛みの程度、どんな痛みか、その他の周辺症状、ひいては患者の年齢や性別、ライフスタイルなど、実にさまざまなファクターが関与してきます。ケース・バイ・ケースで、カイロプラクティック、理学療法、マッサージ、鍼と、どの治療法が適切か、またはこれらを組み合わせるべきかなど、治療方法も千差万別。場合によっては、まずは投薬により痛みや炎症を鎮めなければ治療ができないこともあります。

そんな基本的なニーズに対応するために、私はどうしてもチーム医療を提供できるクリニックを立ち上げたいと思いました。それを実現したのが、今の私のクリニックです。カイロプラクターである私を中心に、リハビリテーション専門医、理学療法士、マッサージセラピスト、そして昨年からついに念願の鍼灸師も加わり、個々の患者のニーズに応じて、みんなが連携を取り、協力しながら治療をしています。私はこの体制を構築できたことを大変誇りに思っています。

カイロプラクターを中心に、理学療法士、鍼灸師、リハビリ専門の医師、マッサージ師がチームとなって患者の治療に当たる。アットホームな待合室もベルモンテ先生の自慢

増える医師とのコラボ

カイロプラクティックに対する患者や社会の認識も変わってきました。一昔前に存在した、医師とカイロプラクターの間の溝が近年は埋まり、両者の距離が縮まったことを実感しています。

以前は痛みとあれば鎮痛剤を処方していた医師らが、今は薬を避け、痛みの原因に目を向け、自然治癒を選択するようになったため、カイロプラクターに患者を紹介するケースが増えました。処方箋鎮痛剤には依存性が高いものが多く、社会問題になっていることも背景にあります。それが医師の考えを変え、自然治癒による人間丸ごとケアを実践するカイロプラクティック治療が、改めて注目されるきっかけになったのかもしれません。カイロプラクターが米国オリンピックチームの医師団を率いるなど、我々が目指すチーム医療のコンセプトを生かす機会も増えました。

高まる患者の意識

さらに言えば、近年は患者さんの意識そのものが高まっています。薬に頼りたくない、対症療法ではなく、原因を突き止めた上で根本的に治療したい、自分が持つ治癒力で治したいと訴える患者さんが増えたことも、医師とカイロプラクターの間の溝が埋まった大きな理由だと、私は思っています。

つまり、私が言うチーム医療の中心にあるのは、実は患者さん自身だということですね。

 

 

 

ジョン・J・ベルモンテ 先生
John J. Belmonte, DC

E. 53 Wellness院長。
カイロプラクター(Doctor of Chiropractic)。
全米カイロプラクティック協会会員、ゴルフPGAツアー・スポーツ医学チーム所属。
アスリートのけがの治療、妊娠中の痛みの緩和、成長期の子供のカイロ治療も手掛ける。

 

E. 53 Wellness
211 E. 53rd St./TEL: 212-980-4211
e53wellnessnyc.com


今月の教訓!

「痛みの治療はまず原因を知ること」

ちょっと前まで、例えばぎっくり腰の患者さんに対し、医師は筋肉弛緩剤や強力な鎮痛剤を処方し、痛みの緩和だけに対応していたものですが、近年はそうした医師はほぼいないと言っていいでしょう。現代医療は、なぜぎっくり腰になったのかに着目します。どんな時に、どんな姿勢で、日々どんな食事を取っているのか、運動量は? ──ライフスタイルを見直し、原因を追究することで、今後の予防対策も講じることができます。

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