日本にいる高齢の親の介護 あなたはどうする?

日本にいる高齢の親の介護 あなたはどうする?

介護のプロフェッショナルがアメリカ在住邦人に向けて、遠隔介護または親の介護とどう向き合っていくのかを紹介。


意外と知らない親の主治医やケアマネージャーのこと

もし、介護が必要になったらどんな暮らしを望むのか、親の希望を聞いたことはありますか?好きなこと、趣味、大切にしていることなど、本人には若いころから培ってきたこだわりや希望があります。介護サービスには様々な選択肢がありますが、親に代わって家族が判断しなければならないことが起こります。

元気なうちから介護が必要となったときの事を考え、対応しておくことは大切な備えとなります。

要介護申請で重要な主治医の存在。「かかりつけ医」と「主治医」の違い

「かかりつけ医」とは、日頃から患者の既往歴(病歴)や健康状態をよく理解していて、特定の疾患だけでなく、健康上のアドバイスや生活の困りごとなどの相談もできる身近な医師のことです。

いざ介護が必要になったときには、介護保険の申請をします。その際、必要になるのが『主治医意見書』です。この意見書は薬や傷病に関わる項目に加えて「食事や歩行の状態」など、本人の生活にその病気がどのような支障をきたしているのかということが書かれ、要介護認定での判断基準になります。

親がまだ元気なうちに、普段の生活状況をきちんと知っている「かかりつけ医」に「主治医」になってもらえるようにお願いしておきましょう。

介護が始まったら「ケアマネジャー」に相談。アメリカから電話で相談したAさん

アメリカ在住のAさんは日本で独り暮らしをしているお父様と毎日電話で様子を確認していましたが、ある日お父様が散歩中に転んで足を痛めてしまいました。大事には至りませんでしたが、リハビリ中は杖が必要になってしまいました。既に介護保険の申請をして要支援1の認定を受けていたお父様。Aさんはアメリカから担当のケアマネジャーに電話すると、すぐに杖のレンタルを手配してくれて翌日から杖を使った歩行訓練ができるようになりました。

ケアマネジャーとは、本人や家族に代わり、「介護サービスの利用計画」である「ケアプラン」を作成する人で、介護サービスにかかる費用の計算や在宅で受けられるサービスの調整などを本人や家族の代わりに行います。

ケアマネジャーは、どのような介護サービスを利用するのが最適なのかを一緒に考え、常に本人・家族に伴走して、この先どのようなことが起こるのかを教えてくれる頼りになる存在です。電話でも対応してくれるので、何か起こったときには親のケアマネジャーに連絡しましょう。担当のケアマネジャーが分からない時には、介護サービスを利用する人(親)が住んでいるエリアの地域包括支援センターに問い合わせをすれば教えてくれます。担当のケアマネジャーと地域包括支援センターは必ず覚えておきましょう。

親のこと、これからのこと。今から家族で話し合っておきましょう

もしも、明日、親の介護が必要になったとしたら、どれくらい親のことを知っていますか?

・毎日、何時に起きて、何時に寝ているか
・習い事や趣味など、いつも出かけている所
・苦手なことや嫌いなこと
・好きな色や好きな音楽
・預金通帳や保険証の保管場所

意外と親子であっても知らないことが多いものです。急に親の介護が必要になったとき、これらのことを知っていると、物事を判断するときの助けになり、ちょっとした親の変化にも早めに気づけるようになります。

親であっても自分とは違う別の人格があり、別の人生を歩んでいます。ご家族や本人が納得できる「介護のあり方」を選ぶために、今から話し合っておくことをお勧めします。

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サロンドハースでは、日本への本帰国や日本にいる親の老後・介護問題、変化する日本の住宅事情、資金調達など、年々増える皆様の不安や疑問を共に考え、学び、安心に繋ぐためのセミナーを毎月レギュラーで開催しております。また、個別相談も実施していますので、ぜひ、ご活用ください。

 

 

横畠文美(よこばたけあやみ)

一般社団法人Hearth代表理事。国際介護アナリスト。
前職の㈱ベネッセスタイルケアにて新規老人ホームの立ち上げや広報等に携わる。
41歳の時に「世界のご高齢者の暮らし」をレポートしながら夫婦で7カ月間かけ世界一周。
訪れた高齢者施設は世界各国で200カ所以上、取材したご高齢者やご家族は2,000人を超える。
「介護を通じて日本と世界を幸せに」をモットーに活動中。


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