ドクターベルモンテが教えるウェルネス道

靴底敷きをカスタムメード 骨盤と脚の長さの関係とは

今月のテーマ:カイロプラクターが作るインソール(靴底敷き)(Vol. 14)

不調が起きやすい今だからこそ、さまざまな体のメンテナンスが大切だ。健康でいるための生活のポイントを、カイロプラクターのドクターベルモンテが教えてくれる連載。


カイロプラクターは治療の一環として、靴底に敷くインソールをカスタムメードすることをご存じですか? インソールを作る主な理由は、骨盤の左右前後のバランスを矯正することです。読者の中にも、左右の脚の長さが違うと感じている人は多いと思います。しかし実際には、成長期に大きなけがでもしない限り、左右の脚の長さは同じです。違うように感じる(見える)のは、骨盤が左右または前後に傾いてしまっているから。

例えば、骨盤の右側が後ろに回転している場合は右脚が短く見え、前に回転していれば長く見えます。骨盤の高さが左右で違う場合も、左右の脚の長さが微妙に違って見えます。

骨盤が傾く原因には、扁平足や、足首・アキレス腱の炎症、脊柱側湾症(スコリオーシス)などがあります。扁平足の場合、足が不安定になり、骨盤がそれを補おうとして前後左右に傾いてしまいます。

スコリオーシスで脊柱が左に曲がっている場合は、骨盤は左側が低くなり、右側が高くなります。インソールを使うことによって、スコリオーシスの改善と、腰痛の緩和を助けることができます。

カイロプラクティック治療では、手技によって一方に傾いた骨盤を矯正すると同時に、インソールをカスタムメードすることで治療効果をサポートしていきます。インソールを作るには、脊柱と骨盤のレントゲンを撮り、骨盤のバランスがどのくらい崩れているかを、ミリ単位で測ります。インソールで矯正できる左右前後のギャップは、最高7、8ミリです。

「これは私が毎日履く靴と、そのインソール。靴のタイプ、目的などによって、素材や構造など細かくカスタムメードすることが可能です。女性用のパンプスなら薄く作ります」とベルモンテ先生

スポーツや仕事用にも

インソールは必ず両方の足用にペアで作ります。いわゆるヒールリフトと言われるものと、インソールは別物。カイロプラクティックで作るインソールは、足と足首全体をサポートするためのもので、必要に応じてインソールの下にヒールリフトを施し、左右の骨盤の高さを調整します。かくいう私自身、インソールの愛用者です。左右の足に共通してアーチサポートを施しているほか、左足だけに3、4ミリのヒールリフトを入れています。

また、カイロプラクティックで作るインソールは「functional ortho」と呼ばれ、足の動きとともに曲がるフレキシブルなタイプ。目的によって、実にさまざまなインソールを作ることが可能です。

大きく分けると日常生活用とスポーツ用があり、子供向けによくサッカー用、ランニング用(長距離と短距離では別のインソールになります)、野球用など、異なるスポーツ、目的に合わせたものを作ります。スポーツ用インソールは、体をサポートするだけでなく、パフォーマンスを伸ばす一助にもなります。

他に、レストランの厨房などで長時間の立ち仕事をする人や、営業マンなど一日中歩き回る仕事の人には、それ相応のインソールを作ります。

いつも履く靴用に作ろう

毎日同じ靴ばかり履くわけではないので、一体いくつインソールを作ればいいのでしょうか。よく聞かれる質問で、日常いつも履いて歩く靴にまず作るといいでしょうとお勧めしています。同じタイプの靴(例えばスニーカー)なら、同じインソールを併用できます。

インソールを入れるために、大きめのサイズの靴を買うのかとの質問もよく受けますが、その必要はありません。スニーカーなら中敷を取り外してインソールを入れられます。

それと、インソール料金は保険がほとんどカバーしないので、ファーマシーで売られている安価な商品をまず試して、どうしても合わなければカスタムメードするようにともアドバイスしています。

 

 

 

ジョン・J・ベルモンテ 先生
John J. Belmonte, DC

E. 53 Wellness院長。
カイロプラクター(Doctor of Chiropractic)。
全米カイロプラクティック協会会員、ゴルフPGAツアー・スポーツ医学チーム所属。
アスリートのけがの治療、妊娠中の痛みの緩和、成長期の子供のカイロ治療も手掛ける。

 

E. 53 Wellness
211 E. 53rd St./TEL: 212-980-4211
e53wellnessnyc.com


今月の教訓!

「整えよう、骨盤のバランス」

骨盤の傾きと、その原因である扁平足、足首・アキレス腱の炎症、脊柱側湾症(スコリオーシス)は、「卵とニワトリ」です。スコリオーシスがあるから骨盤が傾くのか、またはその逆で、骨盤が傾いたからスコリオーシスになるのか。いずれにしても、無視して放置しないことです。カイロプラクティックによる検査を受け、適切な治療を受け、インソールなどで骨盤のバランスを矯正するだけで、日常生活が楽になることがあります。

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