日本にいる高齢の親の介護 あなたはどうする?

日本にいる高齢の親の介護 あなたはどうする?

介護のプロフェッショナルがアメリカ在住邦人に向けて、遠隔介護または親の介護とどう向き合っていくのかを紹介。


親のちょっとした変化にアンテナを張る

遠く離れて暮らしていると親の老いや変化には気づきにくいものです。高齢になると身体能力の衰えは急速に進み、思わぬ事故やケガにつながります。できれば早めに気づいて手を打っておきたいもの。今回は親のちょっとした変化への早期発見・早期対応についてご紹介します。

一時帰国で帰省する家族は「お客さん」。親の心理と行動を理解する

海外在住の方にとっては、日本に住む高齢の親に、何かあった時すぐ駆け付けられないという心配が付きまといますよね。大きな事故やケガになる前に、できれば早めに対処しておきたいもの。ここで覚えておきたいのが親の心理です。家族が実家に帰省したときには、「足が痛い」、「手が上がらない」など、親は普段の様子を家族に見せません。なぜなら、「子どもに心配をかけたくない」、「迷惑をかけたくない」という心理が働くからです。

久しぶりに帰省した家族と過ごす時間は親にとって嬉しく楽しい時間なので、自分の老いや衰えは家族に見せようとしません。年に1~2回帰省する家族は親にとっては「お客さん」と同様です。

帰省時に親のちょっとした変化に気付けなかったAさんのケース

Aさんは東京、80代のご両親は九州で暮らし、現在は2拠点生活で遠隔介護をしているAさん。以前は九州のご両親の家へ帰省するのはお盆とお正月の2回。それぞれ1週間ほど実家で過ごしていました。帰省した時にお母様がぽつりと言いました。「最近、坂道がしんどいのよ。」「お父さんが夜中にごそごそするのよ。」Aさんは「そうよね、坂道は80代になるとしんどいよね。」「お父さんは夜中にお菓子でも食べているのかな。」と思ったそうです。それから1カ月たったとき、ご両親に立て続けに事件が起こりました。お母様は足腰の筋力が弱っていたので階段を踏み外して転倒。お父様は認知症状のため夜中にテーブルに上がり、電球を変えようとして転倒・打撲。Aさんはすぐに東京から九州の実家に駆け付け、ご両親の対応とこれからの暮らしへの整備を行いました。「あの時に母の言葉の意味を深く理解していたら、事故を防げたはず。」とAさん。現在は実家をバリアフリーに改修して介護保険サービスを利用することでご両親は安全に暮らしているそうです。

困ったときには「地域包括支援センター」へ相談

親の介護は突然やってくるものではありません。必ず前触れがあります。子どもの気持ちとして「親の老いを認めたくない」という心理が働き、ちょっとした親の変化を見逃しがち。ただ、注意深くアンテナを張っておくと早めに対応することができます。例えば、日々の生活の中で次のような変化が現れてきます。

・階段の昇り降りが怖い
・ゴミ出しなど重い物が持ち上げられない
・天井の電球の取換えや換気扇の掃除ができない
・ナッツやお煎餅などの硬いものが食べられない
・早口で話すとすぐ聞き取れない
・カーペットのヘリなど、ちょっとした段差でつまずく

高齢になると身体能力の低下により「できないことが増えていく」のは自然なこと。上記のような変化に気づいたら早めに専門家に相談しましょう。日本では、高齢者の暮らしを支えるサービスが多くあります。その中で覚えておきたいのが「地域包括支援センター」。それは、各市区町村などの自治体が設置している高齢者のための各種相談ができる機関です。親御さんがお住まいの市区町村・地域包括支援センターで検索すると出てきますので、ぜひ活用してください。

遠く離れて暮らしていても、少し意識するだけで「親のちょっとした変化」に気づくことはできます。早めに手を打つことで、慌てずに最善の方法を選択していきたいですね。

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サロンドハースでは、日本への本帰国や日本にいる親の老後・介護問題、変化する日本の住宅事情、資金調達など、年々増える皆様の不安や疑問を共に考え学んで、安心に繋ぐためのセミナーを月に1度レギュラーで開催しております。また、個別相談も実施していますので、ぜひ、ご活用ください。

 

 

横畠文美(よこばたけあやみ)

一般社団法人Hearth代表理事。国際介護アナリスト。
前職の㈱ベネッセスタイルケアにて新規老人ホームの立ち上げや広報等に携わる。
41歳の時に「世界のご高齢者の暮らし」をレポートしながら夫婦で7カ月間かけ世界一周。
訪れた高齢者施設は世界各国で200カ所以上、取材したご高齢者やご家族は2,000人を超える。
「介護を通じて日本と世界を幸せに」をモットーに活動中。


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