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婦人科腫瘍専門医の鈴木幸雄です。今回は発見が難しいといわれる卵巣がんについて、前編後編に分けてご説明します。
卵巣がんは、卵巣にできる悪性の腫瘍のことで、日本では毎年1万3千人、アメリカでは2万人が新たに診断される病気で、40歳頃から増え始め、ピークは50、60代です。いわゆる検診(スクリーニング)では発見されにくい病気のひとつで、ステージ3以上の進んだ状態になってから見つかることがほとんどです。卵巣がんのステージ3とは、腹水がたまる、リンパ節に転移がある、腹膜に播種(大小さまざまな病変が散らばった状態)が見られるような状態です。
卵巣は左右にあり、エストロゲンという女性ホルモンや、アンドロゲンという女性にも必要な男性ホルモンを産生する大切な臓器です。卵巣では、月経が始まる思春期から月経が終わる50歳前後まで月に1回程度、定期的に排卵が起こります。この排卵により卵巣の表面が傷付きますが、皮膚にできた傷と同様に、自然に修復されます。しかし、こうした傷の修復過程でがんが発生しやすいと言われています。その証拠に排卵の回数が少ない人、つまり出産経験の多い方や低用量ピルなどで排卵を止めていたことがある方は、卵巣がん発症のリスクが低いことがわかっています。
卵巣がんと似たがん
それから、卵巣がんと似た特徴を持つがんに、卵管がんと腹膜がんがあります。これまでの研究から、これらはほとんど同じ性質を持つことがわかっており、同じ内容の治療を受けることになります。ちなみに、卵管は卵巣から出た卵子をキャッチする吸い込み口のような臓器です。腹膜は、お腹を部屋にたとえると、壁紙のように全体を覆っている薄い膜のことを言います。腹膜に播種が多くできると、腹水を調節する壁紙としての腹膜の機能が狂ってしまい、腹水がたまります。
どうして検診では
見つけにくいの?
年単位でゆっくり進行する乳がんや子宮頸がんなどとは違い、卵巣がんはそのほとんどが数カ月単位で大きくなってきます。卵巣はもともと非常に小さい臓器で、月経がある年代では親指の先程度、閉経後では小指の先ほどの大きさです。仮に卵巣が大きく腫れたとしても5〜6センチの鶏卵くらいのサイズにとどまり、伸縮性の高いお腹の中に納まっているために、自覚症状はほぼ出ません。15〜20センチくらいの大きさになって初めて、「なんだかお腹が出てきた」、「急にジーンズが入らなくなった」などの兆候で異変に気付く方もいますが、自分で見つけることがとても難しい病気なのです。
数年前にイギリスで、20年の歳月をかけて卵巣がんスクリーニングの有効性を検証した研究の結果が出ました。超音波検査とCA125という卵巣がんで変化が出やすい腫瘍マーカーの一種の組み合わせで早期発見を試みましたが、死亡率を下げる効果を証明することができませんでした。みなさんの中には「卵巣がん検診を受けた」「子宮頸がん検診のついでに超音波で卵巣も大丈夫と言われた」という方もいるかもしれませんが、残念ながらこれは卵巣がんの二次予防(早期発見)を意味しているものではありません。
さて、ここまでで卵巣がんの発見が難しいこと、進行してから見つかることが多いこと、卵巣がん以外にも卵管や腹膜からも同じ病気が発生することを解説してきました。次回は、卵巣がんに進展するリスクのある良性の病気と遺伝的素因(生まれつき持っているリスク)について解説していきます。
今週の執筆者
鈴木 幸雄
婦人科腫瘍専門医
医学博士。
婦人科腫瘍専門医、産婦人科専門医・指導医、細胞診専門医、腹腔鏡技術認定医。
Japanese SHARE臨床アドバイザー。
これまで多くの子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん患者の手術、化学療法を担当。
現在は、コロンビア大学メディカルセンター産婦人科博士研究員として臨床研究に従事。
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