日本にいる高齢の親の介護 あなたはどうする?

日本の実家 ・ 持ち家の対応について

介護のプロフェッショナルがアメリカ在住邦人に向けて、遠隔介護または親の介護とどう向き合っていくのかを紹介。


超 ・ 超高齢化社会となった日本では、 高齢者の独り暮らしも増えて、 社会との接点が少なくなる 「閉じこもり」 や 「緊急時の対応」 などが社会問題にな っ ています。 今回は高齢者を取り巻く住環境について、 実際のケースを取り上げながら実家が持ち家の場合についてご紹介します。

高齢による身体能力の衰えで住み替え

家族との大切な思い出が詰まった持ち家。2階への階段の昇り降りや、段差やお風呂場での転倒リスクなど、バリアフリー対策をしていなけれ、 マンシ ョンへの住み替えを検討したり、高齢者向けの施設(以下、老人ホーム)への住み替えを選ぶ人も多いでしょう。

持ち家を売却して 「老人ホームへの入居」 という選択をしたAさんの場合

代々受け継がれてきた実家をし っ かりと守っ てきたけれど夫に先立たれ、10年以上独り暮らしをしていたAさんのケースをご紹介します。Aさんは当時80歳。 嫁いでからずっと静岡県で暮らし、 夫に先立たれてからもその家に独りで暮らしていましたが、 認知症の症状も出始めて火の始末や戸締り、 お金の管理などに不安を感じていました。 二人のお子さんは独立して、 娘さんはアメリカ在住、 息子さんは神奈川県在住。 それぞれのご家族もお母様の認知症の症状がこれ以上進む前に老人ホーム への入居を望んでいました。そこで、 娘さんが日本へ 一時帰国したときに息子さん家族が住む神奈川県の老人ホームをお母様と 一 緒に数件見学して、 希望にあっ た老人ホームを見つけることができました。 しかし人気のあるところのため空室がなく、 キャンセル待ち状態。 よ っ て、 空室が出る前に実家の 一 部を売却して老人ホームの入居金や老後資金に充てるため、 先ずは実家の売却から進めることにしました。

このケースでは、 実家の売却は不動産会社、 老人ホームの入居は紹介会社、そして、公的介護保険の申請を状況に合わせて同時進行で進めて いきます。

Aさんの場合は無事に実家の売却先も見つかり、介護保険の要介護認定も間に合い、 老人ホームの空室が出たタ イミングで家族の希望の老人ホームに入居することができました。実家を売却して住み替える場合には、 それぞれ全体のスケジ ュ ールを把握しながら進めていくことが大切なポイントです。

意外と多い家族の役割。各自の分担を決めておく

高齢になると身体機能が衰え、 持病による通院や服薬管理をはじめ、 転倒や脳疾患での入院、 認知症などにより介護が必要になるケースが増えます。 その際に医療や介護のサポートなどはプ ロに任せたとしても、 家族の役割は意外と多いものです。 介護が必要になったとき、 次のような事柄を各分野の専門家と相談しながら進めていくのは家族の役割です。

・ 介護保険の申請準備

・ケア マネジ ャ ー へ の対応

・かかり つけ医 へ の対

・入院した場合の医療機関とのやりとり

・介護をする場所は?自宅か、施設か

高齢の親の日々の暮らしを支えていくことは、 短期 的なことではありません。親本人の希望を聞きながら、 それぞれの事柄を決定するのは家族の役割です。家族の誰かにだけ負担がかからないよう、 事前に家族の中で 「誰が、 何をするのか」 、 役割分担を決めておきましょう。

親には 「親の人生」 があり、 家族には 「家族の生活と人生」 があります。 普段から家族間のコミ ュ ニケーシ ョンを円滑にして、 それぞれが納得できる 「よりよい暮らし」 を つく っ ていきたいですね。

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サロンドハースでは、日本への本帰国や日本にいる親の老後・介護問題、変化する日本の住宅事情、資金調達など、年々増える皆様の不安や疑問を共に考え学んで、安心に繋ぐためのセミナーを月に1度レギュラーで開催しております。また、個別相談も実施していますので、ぜひ、ご活用ください。

 

 

 

横畠文美(よこばたけあやみ)

一般社団法人Hearth代表理事。国際介護アナリスト。
前職の㈱ベネッセスタイルケアにて新規老人ホームの立ち上げや広報等に携わる。
41歳の時に「世界のご高齢者の暮らし」をレポートしながら夫婦で7カ月間かけ世界一周。
訪れた高齢者施設は世界各国で200カ所以上、取材したご高齢者やご家族は2,000人を超える。
「介護を通じて日本と世界を幸せに」をモットーに活動中。


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