知っておきたい女性のヘルスケア

第19回 子宮頸がんの『予防』していますか?

女性のがん患者に寄り添うジャパニーズ・シェアがお届けする連載。アメリカで暮らす女性に役立つ最新医療情報を発信する。


産婦人科専門医の鈴木幸雄です。1月は子宮頸がん予防啓発月間ですので、予防について、女性も男性も知っておくべき内容をまとめました。

「がんにならない」ことを目指すことができるがん

 通常のがん予防とは、胃がん、大腸がん、乳がん、肺がん、子宮頸がんのように、決められた間隔で検診を行うことでがんを早期発見し、進行する前に対処できる可能性を高める、健康で長生きするためのがん検診といっても過言ではないでしょう。一方、子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を防ぐことで、がんの発症自体を防ぐことができる数少ないがんの一つです。

予防方法は?

HPVワクチン(がんの発症率自体を大きく下げる):HPVワクチンとはHPVの感染を予防するワクチンです。HPVは、主に性交渉によって感染し、がんの発症や性感染症につながります。ほとんどの人は一生に一度感染し、一部で持続感染状態(基本的に無症状)となり健康に影響を及ぼします。がんを発症しやすい16型、18型、尖圭コンジローマというイボを作る6型、11型があり、現在日本では、これら4種を予防する「4価ワクチン」が主流ですが、この4月からは、9種類を予防する、さらに効果の高い「9価ワクチン」が無料(公費による定期接種)になります。すでに多くの国で普及しており、米国もほぼ9価ワクチンです。

子宮頸がん検診(がんが発症していたとしても早期発見):パップテスト(パップスメア)と呼ばれる子宮頸部細胞診や、HPV検査という二次予防(早期発見)のためのスクリーニングが確立されており、定期検診で発見できます。しかし、検診で見つかりにくいタイプも3割弱ほどあるため、ワクチンと検診のコンビネーションがポイントです。

予防でがんが減少?

 2010年頃から各国で始まった子宮頸がん検診とHPVワクチンによる予防プログラムによって、今では多くの国で前がん状態の減少が示され、がんの予防効果もきちんと示されるようになりました。こうしたプログラムをいち早く始めた豪州は2028年までに子宮頸がんの制圧が見込まれることを発表しました。

男性にも影響がある?

 あります。アメリカでは女性の子宮頸がん患者よりも男性の中咽頭がんの患者数が上回っており、男性にとっても切実な健康問題となっています。他にも肛門がんなどもHPVが原因です。HPVは男女ともに無視できない発がん性のウイルスであり、米国をはじめ多くの国では男女共に接種の対象です。

子宮頸がんとは?

 子宮の入り口(頸部)にできるがんで、日本では年間1万1千人が新たにかかります。前がん状態である「上皮内がん」を含めると毎年約5万人がかかり、これを含めると40歳までの若い世代の男女がかかるがんの約半分が子宮頸がんです。原因の99%はHPVなので、ワクチン接種による一次予防(がんの発症を予防)が可能です。

ワクチンはいつ打つ?

 日本では主に12〜16歳の女児、アメリカでは9〜14歳の男女児が対象で、「性交渉を持つ前の接種」が大切です。接種回数は、日本は3回ですが、米国も含め世界基準は2回です。米国の最新データでは対象年齢の約77%が、少なくとも1回の接種をしています。「接種については、本人に決めさせる」という親御さんの意見も聞きますが、リスクベネフィットの意思決定を委ねるのは簡単ではなく、親の考え方が大切になってきます。子宮頸がんは、ワクチンと検診の2本柱でほぼ心配がなくなるがんであるということを、ぜひ覚えておいてください。

 

 

 

今週の執筆者

鈴木 幸雄

婦人科腫瘍専門医

医学博士。婦人科腫瘍専門医、産婦人科専門医・指導医、細胞診専門医、腹腔鏡技術認定医。Japanese SHARE臨床アドバイザー。これまで多くの子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん患者の手術、化学療法を担当。現在は、コロンビア大学メディカルセンター産婦人科博士研究員として臨床研究に従事。

 

 

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