知っておきたい女性のヘルスケア

第18回 〈特別編〉 お正月は要注意! お餅などによる窒息事故

女性のがん患者に寄り添うジャパニーズ・シェアがお届けする連載。アメリカで暮らす女性に役立つ最新医療情報を発信する。


今回は特別編として老年医学専門医の山田悠史が、のどに食べ物を詰まらせる「窒息」について執筆。ホリデーシーズンが到来し、そろそろお正月の準備を始めている方もおられるでしょう。日本ではお正月になると、高齢者がお餅を詰まらせて亡くなるというニュースが後を絶ちません。ニュースで聞いている分には他人ごとのように感じるかもしれませんが、実は誰にでも起こりうることなのです。お餅は誰もが想像しやすい窒息の原因になる食品だと思いますが、アメリカではどんな食べ物に注意すべきだと思いますか?

注意すべき食べ物は?

基本的には大きくて、空洞のない食べ物には窒息のリスクがあります。ステーキやホットドック、飴などでも窒息は生じえます。よく噛まず、飲み物などと一緒に一気に飲み込んでしまうとそのリスクは高まるといえるでしょう。

また、パンにも窒息のリスクがあります。パンは空洞だらけではないかと思われるかもしれませんが、ミルクやコーヒーなどの水分と一緒に摂取することで、水を含んだスポンジのように膨れ上がり、窒息のリスクが高まります。ケーキとコーヒーでも同様です。

食べ物の通り道である食道へ正しく送り込まれていれば、窒息が起こることはありません。しかし、食道の前方には空気の通り道である気管が繋がっており、そこに誤って食べ物が入り込んでしまうと、窒息が起きるのです。この気管の入り口には蓋がついており、飲み込みの際にはこの蓋がきっちりと閉まり、窒息や誤嚥を防いでいるのですが、蓋の閉まりが悪かったり、スムーズに閉められなくなったりすると、窒息や誤嚥が生じてしまいます。

窒息を防ぐには?

それでは、どのようにすれば窒息を防げるのでしょうか。これまで例に挙げた食品を食べないというのは、必ずしも正解ではありません。「リスクが高い」とはいえ、それらを全て避けてしまっては、食の楽しみが薄れてしまいますよね。

まずは、どのような食べ方がリスクになるのかを知っておくことから始めましょう。前述の通り、あまり噛まずに飲み物で一気に流し込む食べ方は窒息のリスクを高めます。よく咀嚼をして、食べ物と飲み物は別々に摂取する食べ方が安全です。飲み物に関しては、アルコールも要注意。「お餅を食べながら日本酒」というのは、高齢者にとっては高リスクだといえます。

また、前のめりになってかき込むような食べ方もリスクが高まります。なぜなら空気の通り道は食べ物の通り道の前方にあるので、重力が誤嚥を助けてしまうのです。姿勢良くゆっくり食べましょう。

おしゃべりをしながらの飲食もリスクが高まります。話をしている間は空気の通り道を塞ぐための蓋が開いているからです。窒息を防ぐためにも、一旦食べ物を飲み込んでから、会話をするのは大切なことなのです。

それから、食事の時にむせることが多い高齢者には、食べ物を細かく切って咀嚼しやすいようにするなどの工夫も有効です。

窒息事故に遭遇したら

いざ、窒息事故のシーンに出あってしまった場合には、すぐに救急車を呼んだ上で、いくつかの応急処置が必要となります。

もし本人が咳き込むことができるようであれば、詰まらせた物が出てくる可能性があるので、咳を続けてもらうようにします。それができなければ、「Five and Five」と呼ばれる処置が有効であると考えられています。

当事者の背後に立ち、前かがみにした上で、背部から連続で5回ほど叩打するか、背後からお腹に手を回し、握り拳を作った手で腹部に5回ほど圧を加える方法ですが、できない場合は、急いで応援を呼ぶことも大切です。レストランであれば、講習を受けたスタッフがその場にいる場合があるからです。

リスクの話になりましたが、身近な窒息の可能性を知り、しっかりと防いだ上で、楽しいお正月を迎えられることを願っています。

 

 

 

今週の執筆者

山田悠史
米国老年医学専門医

マウントサイナイ医科大学、老年医学・緩和医療科所属。
臨床医として活躍する傍ら、ニュースメディア「NewsPicks」のコメンテーターや音声コンテンツ「医者のいらないラジオ」など多岐にわたって活動中。
著書に「最高の老後『死ぬまで元気』を実現する5つのM」(講談社)他。
Twitter: @YujiY0402

 

 

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