心と体のメンテナンス

ペットロス〜後悔しないためにできること(後編)

「ペットの命は私が握る」
「全ての責任は私が持つ」

 

Q. 悲しみのプロセスとは?

A.

悲しみ(grief=今週の英単語参照)のプロセスには5段階あるといわれます。①否定・否認(起こったことを受け入れられない)、②怒り(自分、関係者、状況などに怒りを覚える)、③取引(こうすれば何とかなるんじゃないかと、状況との交渉を始める)、④認識・抑うつ(現実を受け入れないまでも、起こったことを認識し落ち込む)、⑤受け入れ(悲しみは残るが、起こったことを受け入れる)――必ずしもこの順番になるとは限りませんし、これを何周もする人もいれば、飛び越してジグザグ行く人もいます。

ペットロスをこれに当てはめた時、この5段階で注意したいのは②の怒りです。例えば「友達があの獣医さんがいいと言ったから診てもらったのに」というように、誰かに自分の決断のコントロールを渡してしまうと、ペットを救えなかった時にその怒りがその人に向けられてしまい、その部分を自分の中で処理しきれなくなってしまうので危険です。

必ずしもこの順番になるとは限らず、これを何周もする人もいれば、飛び越してジグザグ行く人もいる

 

Q. ひどいペットロスで、ペットを飼えなくなる人もいますか?

A.

この秋NPOジャパニーズシェア主催で、ペットロスを考えるウェビナーが行われ、モデレーターの女性が体験を語っていました。苦しい闘病生活の末に小型犬を亡くし、長いこと立ち直れなかったそうです。でも、フォスターボランティアを始め、最初に預かった皮膚病の小型犬を無我夢中で看病。回復していく様子を見て、またペットを飼う勇気が湧いてきたと話しておられました。

 

Q. ペットロスについてご自身の体験から感じることは?

A.

これまで3匹の猫をシェルターからもらい受け、看取りました。2匹目は病気がわかった時、約2万ドルの手術をしても回復する保証はなく、延命して半年と言われ、私には経済的に無理だと判断し緩和医療を選び、結果的に安楽死させることになりました。振り返ってみて、何が悔やまれるかと言えば、経済的に治療ができなかったことでも、安楽死させたことでもなく、病気じゃないかなと思いながら、獣医さんに診てもらうタイミングが遅れたことです。

前後しますが1匹目は突然死で、3匹目ももらってきて1年半で死にました。私がもらうのはいつも長い間もらい手がなかった猫や高齢猫なので、リスクも高いのかもしれませんが、落ち込みました。でも、3匹目の猫が死んだ時に、もらい受けた先のシェルターの女性に、「あなたはこの子に最高の1年半を与えてくれた。ありがとう。3年の命より今日のアイスクリームよ」と言ってもらえたことで、救われました。

この経験から、ペットを飼う時は覚悟を決めることが大事だと思っています。私は「この子の命は私が握る。いつかは看取る。全ての責任は自分が持つ」と決めています。前編で添田晋吾先生が話しておられた「腹をくくる」ということですね。これは飼い主の気持ちの持ち方として大事だと思います。

ペットの死後、「あの治療選択は正しかったのか」と自分を責める人も多いと思います。でも、仮に別の選択をしていたとしても、きっと同じように思ったのではないでしょうか。自分の選択がいつも最善ではないかもしれませんが、飼い主として愛するペットのために決めたことは、結果と共に受け入れ、その経験を次のペットのケアに生かすことも一つの考え方だと思います。私も今、2匹の猫をかわいがっています。

 

 

 

 

 

 

橋本暢子さん
Masako Hashimoto, M.S., NCC, LMHC
_________________
NY州認定メンタル・ヘルス・カウンセラー。
コロンビア大学公衆衛生大学院勤務。
キャリア開発を中心に個人/グループカウンセリング、ワークショップ、セミナーを実施。
実存主義のアプローチを基に、クライアント自身が持つ「自分のチカラ」に焦点を置く。
ケニアの動物孤児院で20年以上ゾウの里親として登録する動物好き。
3匹の猫を看取り、現在2匹の猫と暮らしている。

•Columbia University Mailman School of Public Health
publichealth.columbia.edu
•Comprehensive Counseling
NY Licensed Mental Health Counselor
comprehensivecounselinglcsw.com

 

 

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