日本にいる高齢の親の介護 あなたはどうする?

日本にいる高齢の親の介護 あなたはどうする?

介護のプロフェッショナルがアメリカ在住邦人に向けて、遠隔介護または親の介護とどう向き合っていくのかを紹介。


日本で離れて暮らしている高齢の親のことで、「親のことは日本の親族に任せっきり」や、「自分はアメリカにいるので何もできていないという負い目を感じる」、「何かできることはないのだろうか? アメリカに住んでいても自分にできることはないのか?」

海外在住の方からこのようなお声を多くいただきます。「日本の介護を通じて海外在留邦人を応援するサロンドハース」では、皆様の不安や悩み、疑問にお応えするため日本の介護お役立ち情報を毎月お届けしてまいります。

離れているからこそ、できることがある

アメリカで「日本の介護」をテーマに講演会をおこなうと毎回、会場に入りきらないほどの人が来られます。日本で同内容の講演会を開くと参加者は50代から70代が中心です。しかし、アメリカで講演会をおこなうと30代の方も多く参加されます。初めは驚きましたが、その理由を伺って納得しました。「私たちは日本の親に会えるのは、あと20回くらいだと思っています。日本に2年に1度帰ったとしても、親が元気なうちに会えるのは限られています。だから、今のうちにできることを考えておきたいのです。」これは30代の一人の男性の言葉です。

では、視点を変えてみましょう。私はアメリカに住んでいるからこそ、離れているからこそ、できることがあるとご相談者の対応をしていて実感しています。「高齢の親の介護」は思った以上に家族に重くのしかかってきます。自宅(在宅)での介護、又は施設入居というどちらかの選択をしても、家族にしかできないことが沢山あります。例えば、書類の準備、申請関係など、親の介護の渦中にいる家族は時間や労力が予想以上にかかり、自分の仕事や生活との両立が難しくなってくる人も多くいます。そんなときに、全体を俯瞰して情報収集、交渉、情報共有、資金面の支援などを誰かに任せることができたら、どんなに負担が軽くなるでしょう。今はオンラインやメールなどが活用できるので、これらは離れていてもできることです。

家族には家族にしかできないことがある 

離れて暮らしている日本の家族と良好な関係を築くには家族間のコミュニケーションが重要です。円滑なコミュニケーションを取るには、まずは「家族はチーム」と捉えましょう。そして、それぞれの家族の役割分担を決める。次にリーダーを決めて情報共有をスムーズにすることが大切です。家族の中で誰かにだけ負担だかからないように、その話は聞いていないということが起こらないように事前に対応しておきましょう。その上で親御さんが望むこれからの暮らしや趣味趣向など改めて確認しましょう。親御さん本人の希望を聞かずに進めると後々もめごとになります。また、親御さんの気持ちを確認しておくことで、たとえ介護度が上がって意思疎通が難しくなったとしても家族が判断するときの大きな助けとなります。

「家族の役割」は「親の懐に切り込んでいくこと」だと私は思っています。親に寄り添っていては前に進むことはできません。覚悟を決めて一度親の気持ちを聞いてみましょう。親の介護は家族だけでは無理です。親御さんにとっても家族にとっても最善の選択ができるよう、専門家のチカラを借りて一歩づつ前に進んでまいりましょう。

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サロンドハースでは、日本への本帰国や日本にいる親の老後・介護問題、変化する日本の住宅事情、資金調達など、年々増える皆様の不安や疑問を共に考え学んで、安心に繋ぐためのセミナーを月に1度レギュラーで開催しております。また、個別相談も実施していますので、ぜひ、ご活用ください。

 

 

 

横畠文美(よこばたけあやみ)

一般社団法人Hearth代表理事。国際介護アナリスト。
前職の㈱ベネッセスタイルケアにて新規老人ホームの立ち上げや広報等に携わる。
41歳の時に「世界のご高齢者の暮らし」をレポートしながら夫婦で7カ月間かけ世界一周。
訪れた高齢者施設は世界各国で200カ所以上、取材したご高齢者やご家族は2,000人を超える。
「介護を通じて日本と世界を幸せに」をモットーに活動中。


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