ドクターベルモンテが教えるウェルネス道

ヘルニアについて知ろう 正しい知識=適切な治療

今月のテーマ:椎間板ヘルニアって何?理解は予防につながります(Vol. 9)

不調が起きやすい今だからこそ、さまざまな体のメンテナンスが大切だ。健康でいるための生活のポイントを、カイロプラクターのドクターベルモンテが教えてくれる連載。


椎間板ヘルニアという病名を知らない人はいないと思います。英語では「herniated disc」「slipped disk」「intervertebral disk displacement」と言います。人間の8割がその一生で何らかの腰痛を経験するといわれ、中でも頻繁に見られるのがこの椎間板ヘルニアです。

「ヘルニア(hernia)」は、「(何かが)あるべき場所からはみ出す/突出する」という意味。いわゆる「脱腸」もヘルニアで、本来ならお腹の中にあるはずの腹膜や腸の一部が、鼠径(そけい)部の筋膜の間から皮膚の下に出てくる「鼠径ヘルニア」と呼ばれる病気です。

ところで、「椎間板ヘルニアはカイロプラクターに行けば、ポキっと元に戻してくれる」と勘違いしている人が多いのですが、それは大変な誤解です。そもそも椎間板ヘルニアはどういうメカニズムで発症するのでしょうか。何でもそうですが、病気やけがは、それについて知ることで予防につながります。

発症のメカニズム

人間の脊椎(背骨)は、頚椎(首の骨)、胸椎、腰椎から成り、それを構成するのが24個の椎骨で、椎骨と椎骨の間にある繊維質の軟骨が椎間板です。椎間板は、中心にある髄核と、それを取り囲む線維輪で構成されています。例えるなら、生卵の卵黄が髄核で、卵白が線維輪といったイメージですね。この椎間板は主に、背骨が受ける衝撃を緩和するクッションとしての役割を持ちます。

人間が横になって寝転んでいる時は、髄核は圧迫されませんが、起き上がって立ったり座ったりするとどうしても上から圧力がかかり、髄核は外に出たがります。そうならないように守るのが繊維輪です。健康な椎間板は髄核がちゃんと中央に収まっているので、外部と接触することはありませんが、繊維輪が傷つくとそこから髄核がはみ出していきます。これが椎間板ヘルニアです。

では、なぜ繊維輪が傷つくのでしょうか? スポーツのやり過ぎやけがもですが、逆に運動不足も原因になります。食生活の乱れによる栄養の偏り、加齢による椎間板の老化、そして同じ姿勢を長時間続けることも原因として考えられますし、遺伝的要素ももちろんあります。

椎間板ヘルニアの進行

椎間板ヘルニアは、背骨のどの部分にも起こる可能性がありますが、一番多いのは腰椎です。その進行は、椎間板の状態から軽度・中度・重度に分けられます。

●軽度=髄核が変形を始めた段階。痛みがない場合もあれば、軽い腰痛や、腰に張りを感じることがありますが、数日で治ります。この段階ではMRI(磁気共鳴画像)にも写らないでしょう。しかし、それを数カ月ごとに繰り返すようなら、椎間板ヘルニアの初期が疑われます。

●中度=髄核が、繊維輪にとどまっているものの、ほんの少し突出がある段階。まだ神経を圧迫してはいませんが、外部組織が炎症を起こし、熱を発するので、痛みがあります。歩くのがつらくなり、お尻が痛み、痛みをかばって体が傾くようになります。この段階ではまず炎症を抑えることが先決ですが、抗炎症剤の過剰摂取は自然治癒力を弱め、椎間板をさらに弱化してしまう可能性があります。

●重度=繊維輪が破れ、髄核が外に飛び出した状態。骨髄や神経を圧迫するので、痛みがその部分だけでなく、痛みが神経を伝って足まで届くようになります。医師から手術を勧められるのがこの状態です。ただ、手術だけが治療の選択肢ではなく、患者さんの年齢や健康状態によりますが、手術を避けられる可能性は残っています。

来月は、椎間板ヘルニアのカイロプラクティック治療についてお話しします。

 

 

 

ジョン・J・ベルモンテ 先生
John J. Belmonte, DC

E. 53 Wellness院長。
カイロプラクター(Doctor of Chiropractic)。
全米カイロプラクティック協会会員、ゴルフPGAツアー・スポーツ医学チーム所属。
アスリートのけがの治療、妊娠中の痛みの緩和、成長期の子供のカイロ治療も手掛ける。

 

E. 53 Wellness
211 E. 53rd St./TEL: 212-980-4211
e53wellnessnyc.com


今月の教訓!

「知識と理解は治療への最善の道」

「知らない」ということは、不安を増幅します。椎間板ヘルニアでも、けがでも、病気でも、何でもそうです。例えば痛みがあるときに、その原因を知るのは怖いかもしれませんが、知らないでいることの方が長期的に見てずっと恐ろしいことです。きちんと医師、専門家の診断を仰ぎ、痛みの原因を知り、それと向き合い、治療への一歩を踏み出す勇気を持ちましょう。その病気について正しい知識を得ることも大事です。

リクエスト募集中▶ドクターベルモンテへの質問や取り上げてほしいテーマについてはeditor@nyjapion.comまで!

 

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