究極の疲れないカラダ

カラダの老化ってどういうこと?

誰でも年齢とともに疲れやすくなります。人間のカラダはどんどん衰えていくものです。これを老化と呼びます。英語ではエイジング(Aging)、年を経るという意味です。日本語で「老い」とは古くなって悪くなるイメージがあります。

みんな嫌だし避けたいものですから、「老化を止める」というフレーズは受けがよく多くの人に響きます。しかし、エイジングは生まれた瞬間から、すべての人に進行する自然現象です。

よく「もう年だからあちこち調子が悪くって…」と言います。しかし、実際は加齢により不調になったのではなく、元々悪くなっていた部分があって、自己治癒が追いつかなくなったことが原因です。

年齢とともに筋肉量や筋肉につながる神経量が落ちます。すると、筋肉の中にあるグリコーゲンの量が少なくなってパワーが出なくなります。当然、カラダも動きにくくなります。血液循環も悪くなり、細胞の回復も遅くなっていく。これが老化です。誰にも止めることはできません。

もちろん、運動、食事、ストレスマネジメント、睡眠などさまざまな方法で老化を遅らせることはできます。元々、長寿遺伝子をもっている人もいます。

ご年配の患者さんにトレーニングを指導すると「今からでも間に合いますか?」とよく聞かれます。わたしは「みんなつねに老化しているのです」と答えます。毎日機能障害を起こす動きをしていれば正す。加えて、将来の機能障害を防ぐトレーニングをする。これは20歳にとっても90歳にとっても大切なことで、実践すればいくつの方でも必ず効果が出るものです。

世の中で老化をもっとも実感する人はアスリートでしょう。最高のパフォーマンスを出せるよう、機能運動性を極限まで高めるので、トップレベルになればなるほど新記録を出すこと、もしくは落ちはじめた記録を戻すことは困難です。

反対に運動していない人ほど、衰えを自覚したときにはかなり機能運動性が落ちていると言えます。

ニューヨークのマラソンコミュニティで有名人の馬二郎さん(仮名)は、驚くべきことに、50歳を超えてからはじめてサブスリー(フルマラソンを3時間以内に走ること)を達成しました。30年以上フルマラソンを続けてきて、さすがに昔と同じ練習をしても3時間を切ることができなくなったと話してくださいました。

マラソンは30代前半がピークで、それを過ぎればタイムは落ちていく一方と言われる競技です。馬二郎さんのように60歳を超えたいまも3時間台を出せる人間 は地球上でもあまりいないのではと考えてしまいますが、ご本人にとっては3時間を切らなければ納得いかないそうです。

わたしにとっては、いくつになってもトレーニングの価値があることを教えてくれるお手本のようなアスリートです。

※この記事は「究極の疲れないカラダ」(仲野広倫 著)からの抜粋です。

 

 

 

仲野広倫
Hiromichi Nakano, DC

創業大正15年、仲野整體4代目。
幼少の頃から自然医療に触れて育つ。
日本の実家で修行を経て、単身渡米。
南カリフォルニア健康科学大学(SCUHS)卒業。
2019年パンアメリカン競技大会、2021年東京オリンピックにアメリカオリンピックチーム(TEAM USA)に正式帯同した唯一の日本人。
カイロプラクティック認定スポーツ医(CCSP)、認定学位(DACBSP)、ストレングスコーチ(CSCS)等の学位を所持しそれらスポーツ医学の知識とトップアスリートの診療経験から筋肉骨格系の症状を根本的に治す『機能運動医学』を考案。
カイロプラクティック、整体等の様に姿勢、骨盤のズレなどの見た目問題ではなく根本的なカラダの『機能運動性』を自分自身で理解、改善することで健康を維持できると書いた出版書籍の『世界の最新医学が証明した 究極の疲れないカラダ』『根こそぎ疲れがとれる究極の健康法』は累計16万部を突破。
アメリカトップレベルのアスリート、著名人の診療にもあたり、現在もミッドタウンにて自らのクリニックTAI NYCにて日々の診療にあたる。


著名人からのコメント

・「仲野さんにはぼくもニューヨークで何度も救われました」坂本龍一さん(音楽家)

・「ピードを落とさず働くために最高のアドバイスが詰まった本」南壮一郎さん(株式会社ビズリーチ 代表取締役社長)

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