究極の疲れないカラダ

私たちのカラダは毎日怪我をしている〈その2〉

カラダのやわらかい人は、筋肉が伸びるように思います。しかし、筋膜や関節もよく動かなければ開脚はできるようになりません。筋肉、筋膜、関節の動きの総合点数で柔軟性は決まりますし、カラダのやわらかさは、筋肉よりも関節の動きのほうが大切です。たとえば、股関節自体が変形してしまえば、どれだけ筋肉が伸びても絶対に180度開脚はできません。

機能運動医学から見れば、柔軟性において大事なのは、20歳前後の自分と比べて今はどうかです。昔は前屈で地面に手がついたのに、今は全然つかない人は、筋膜や関節の動きが制限されているので、ほかの部位に負担がかかっており、いつか故障を起こす可能性が高いと言えます。

しかし、前屈や開脚ができるから痛みのリスクが小さいというのは誤解です。そもそも足が短く腕が長い人なら手の指が足のつま先につくような前屈動作は簡単にできますし、その逆なら難しいでしょう。さらに股関節の形には個人差があるので、解剖学的にも前屈が得意な人とそうでない人がいるのは当然です。

小学生のころから開脚ができない、前屈が苦手な人は、おそらく一生その動きは苦手でしょう。ただ、前屈できる人と比べて、将来カラダが動かなくなるわけではありません。

カラダはどれだけやわらかいか、伸びるかではなく、支える力の不足や左右差が原因となって壊れることが多く、たとえば、昔と違って最近は足を組んだほうがラクになってきたのであれば、腰まわりの筋肉が衰えているサインとなります。両足を同じ位置に維持できないので、足を組むことで腰の一部を休ませているのです。

そこでカラダが歪んでいるのかなと思ってマッサージを受けたり、整体へ行って座れるようになると「治った」と勘違いしてしまいます。

整体などでカラダをボキボキと鳴らしながら施術をしてもらうと、ズレている骨が元の位置に戻ったと思いがちです。

しかし、骨はそれほど簡単にズレないし、曲がりません。人間のカラダは8割が筋肉を含む軟部組織によって支えられています。指をポキッと鳴らすのと同じで、徒手治療は普段動かしていない角度まで軟部組織を伸ばしているだけです。ボキボキというのも関節が鳴っている音です。骨のズレを直しているわけでも、骨が鳴っているわけでもありません。そんな音が骨から鳴ったとすれば骨折を意味します。

骨には靭帯がついていて、特定の位置から動かないようになっています。もし骨が大きくズレて位置する場所が変われば、医学的には脱臼と言います。関節面の接触を残して少しズレれば亜脱臼です。レントゲンなしでその判別はできません。矯正などの徒手治療で動いているのは骨ではなく関節です。「私たちカイロプラクターもアジャストメントという治療方法で、カラダをバキバキと矯正することがあります。本人が自分のカラダを扱いやすくするために、トレーニングできる状態にもっていくための処置で、関節可動域を回復させるのには非常に有効な治療法です。しかし、そこから筋肉を治療し、将来の機能運動性を高めるトレーニングをすることが何より大切なのです。

腰や肩、カラダのどこでも痛みが出るとは、筋肉や靭帯、関節といった軟部組織が負荷により疲労し、壊れて炎症を起こしている状態です。修復がうまくいかないと脂肪組織に置き換わってしまい、しだいに癒着を起こします。

癒着した筋肉は血液循環などをすべて止めてしまいます。そこで軟部組織のリリースをします。怪我にはマッサージやストレッチをするというのは間違いで、リリースすれば元の血液循環に戻り、筋肉や関節の動きも出ます。(次号につづく)

※この記事は「究極の疲れないカラダ」(仲野広倫 著)からの抜粋です。

 

仲野広倫
Hiromichi Nakano, DC

創業大正15年、仲野整體4代目。
幼少の頃から自然医療に触れて育つ。
日本の実家で修行を経て、単身渡米。
南カリフォルニア健康科学大学(SCUHS)卒業。
2019年パンアメリカン競技大会、2021年東京オリンピックにアメリカオリンピックチーム(TEAM USA)に正式帯同した唯一の日本人。
カイロプラクティック認定スポーツ医(CCSP)、認定学位(DACBSP)、ストレングスコーチ(CSCS)等の学位を所持しそれらスポーツ医学の知識とトップアスリートの診療経験から筋肉骨格系の症状を根本的に治す『機能運動医学』を考案。
カイロプラクティック、整体等の様に姿勢、骨盤のズレなどの見た目問題ではなく根本的なカラダの『機能運動性』を自分自身で理解、改善することで健康を維持できると書いた出版書籍の『世界の最新医学が証明した 究極の疲れないカラダ』『根こそぎ疲れがとれる究極の健康法』は累計16万部を突破。
アメリカトップレベルのアスリート、著名人の診療にもあたり、現在もミッドタウンにて自らのクリニックTAI NYCにて日々の診療にあたる。


著名人からのコメント

・「仲野さんにはぼくもニューヨークで何度も救われました」坂本龍一さん(音楽家)

・「スピードを落とさず働くために最高のアドバイスが詰まった本」南壮一郎さん(株式会社ビズリーチ 代表取締役社長)

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