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ペスト(ペスト菌)、コレラ(コレラ菌)、結核(結核菌)、肺炎(肺炎球菌)、扁桃腺炎(溶連菌)、梅毒(梅毒トレポネーマ)、破傷風(破傷風菌)、食中毒(腸管出血性大腸菌O157、サルモネラ菌他)など、挙げたらきりがありません。
ペストとコレラは、北米で感染するリスクは低いと考えられますが、結核、肺炎、破傷風は、北米在住者も要注意。子どもの頃に受けた結核の予防接種BCGはそもそも効果に疑問があり、成人後の予防効果はほぼないと考えられています。ニューヨーク市でも結核患者はまだまだいます。治療薬はありますが副作用が強いので、感染しないことが第一です。
肺炎球菌のワクチンは、65歳以上(持病によりもっと早く)に接種が奨励されており、破傷風ワクチンは10年に1回の奨励です。
今回の新型コロナウイルス、インフルエンザ、B/C型肝炎、子宮頸がん(ヒトパピローマウイルス)、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)、麻疹、百日咳などがあります。身近ではないですが、黄熱病やエボラ、ポリオ(小児麻痺)、ジカウイルス感染症なども。天然痘は世界的に根絶に成功した感染症です。今話題のサル痘は同類のウイルスで、天然痘ワクチン接種者には感染はほぼないと考えられます。
身近なウイルス感染症には、ワクチンがあるものが少なくありません。インフルエンザは毎年1回、新型コロナウイルスのワクチンについても前編で説明した通りです。近年は自己免疫疾患や、がん治療などで免疫が低下している人が多く、ワクチン接種は自分だけでなく、周りのへの感染リスクを優先的に考えることが重要です。
C型肝炎は、ワクチンはありませんが極めて有効な治療方法が確立されており、2、3カ月の投薬で完治可能です。B型肝炎には安全・有効なワクチンがあり、アメリカでは母子感染を防ぐために妊婦さんに必ず検査をし、生まれた赤ちゃんにはすぐに接種することが義務付けられています。未接種の大人は、今からでも接種されることをお勧めします。B/C型肝炎は肝がんに発展するリスクが高く、特にB型は慢性化した場合に完治が難しいので、予防接種を強くお勧めします。
子宮頸がんを引き起こすヒトパピローマウイルス(HPV)は、ワクチンで90%以上の感染を未然に防ぐことが可能です。日本の接種率が世界最低レベルであることは、感染症専門医としてとても残念です。
接種開始当初、日本では大手メディアがレアな副反応を取り沙汰しました。世界保健機関(WHO)、米疾病管理予防センター(CDC)をはじめ、世界的に安全性が確認されているのに、誤情報により日本国民に悪いイメージが植え付けられ、いまだに正確な情報が拡散されていません。厚労省のフォローも十分だとは思えません。結果として、子宮頸がんは罹患率・死亡率ともに、日本は他国に比べて圧倒的に高いことは、恥ずべきことではないでしょうか?
子宮頸がんは感染症です。不確かな情報に自分と周りの人の命を懸けていいのか、今一度考えてほしい。そして子宮頸がんの原因HPVは、性交渉時に男女間で感染するので、アメリカではHPVワクチンの接種対象は男女両方です。
斎藤孝先生
Takashi Saito, DO
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感染症専門医。
DO=Doctor of Osteopathic Medicine。
MDと共に米国の医師学位。
東京外国語大学フランス語学科卒業後、住友商事入社。
米国駐在員を経て、米国医科大学院入学。
ニューヨークで内科レジデンシーと感染症フェローシップ修了。現在ニュージャージー州Hackensack Meridian Healthで感染症指導医、同医科大学院(Hackensack Meridian School of Medicine)助教授。
Hackensack Meridian Health
19 Davis Ave., Fl. 6
Neptune, NJ 07753
TEL: 732-897-3995
hackensackmeridianhealth.org/en
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