大学進学を考える 日本と米国、二つの国で学び暮らす選択
コロナ禍を経験して社会は大きく変わった。日本社会も例外ではない。未来を見据えて、グローバルな大学進学の選択肢の一つとして、米国と日本で自分たちのルーツを生かす学びについて掘り下げる。
ご存じのように、日本とアメリカでは度数の表し方が違います。日本から来られた人がよく混乱されるのがこの視力表記です。日本では「1・2」とか「0・5」というふうに表しますが、アメリカは分数表記です(左表参照)。アメリカ表記の分子を分母で割ると、日本の表記に変換されます。例えば、「20/100」は「20÷100=0・2」となります。
アメリカでの「正常視力」は「20/20」で、日本の「1・0」に相当します。アメリカでは検眼時に正常視力なら、それ以上は測定しません。余談ですが、1978年から続いている米テレビ局ABCの報道番組「20/20」は、「(報道するトピックに)フォーカスする」という意味で、視力度数の正常値「20/20」から命名されたものです。
関連ですが、コンタクトレンズやメガネの度数を表すときの単位は「ダイオプター(diopter)」で、頭文字の「D」で表記されます。そして、「+(プラス)」が遠視用で、「―(マイナス)」が近視用。左上の表はあくまでも目安で、この通りに処方されるわけではありませんが、視力が日本表記で0・1の場合は、コンタクトレンズの度数は「D―(マイナス)4」となります。
生まれたばかりの赤ちゃんの目は、まだ十分に見えていません。生後3カ月くらいから物にピントが合うようになり、4~6カ月くらいで色が分かるようになります。4、5歳までは、ほとんどの子供は遠視です。なぜかというと、子供は体も頭も小さい分、眼球のサイズも小さく、外から眼球(水晶体)を通して入る光の焦点が網膜の裏に合うため、遠くは見えますが近くはボヤッとか見えないのです。焦点が網膜に合うようになるのが、4、5歳くらいからです。この時期に、大体みんな「正常視力」になります。
近視になり始めるのは小学校に入るくらいの年齢から。小3~6年生で進行が速まり、16、17歳で少し減速します。20代半ばで進行は止まるといわれますが、30代になっても進行する人もいます。LASIKなどの近視矯正手術を受ける場合は、考慮が必要です。
以前は、近視の原因は遺伝要因だけだと思われていました。確かに遺伝要因は大きく、両親または親のうち一方が近視の場合、子供も近視になる可能性が高いことは事実です。しかし、現在は遺伝に加えて、生活環境なども影響しているという認識に変わっています。遺伝要素は全く同じはずの一卵性双生児182組の視力の変化を調べた研究で、双子の視力に「D3・5~5・5」の違いがあることが示されました。
さらに、日本を含む東アジアは、全年齢層で他の地域より近視の比率が高まっています。東アジア諸国では、今の子どもたちが成人する頃には、近視の比率が80~90%になると考えられています。2020年の世界の近視人口は約25億人(世界人口の3分の1)でしたが、2050年までには推定50万人(世界人口の約半分)になると推定されています。
なぜ東アジア諸国で近視が多いのかは明らかになっていませんが、遺伝要因、社会環境要因、生活習慣要因など、さまざまな要因が関係していると報告されています。(後編につづく)
遊馬吉右衛門先生
Kichiemon Asoma, MD
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眼科専門医師(Board Certified)。
ニューヨーク州立大学(SUNY)ダウンステート医療センターで眼科研修を修了。
専門は、白内障、緑内障、糖尿病網膜症、網膜剥離、加齢黄斑変性症、ドライアイ、アレルギーなどの目の病気と症状の治療、メガネ、コンタクトレンズの処方など。
レーザー照射による近視矯正手術(LASIK、PRK、LASEK)、角膜移植、角膜内皮移植(DSAEK)の特別訓練を修了。
SUNY臨床助教授。
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