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俗に「ピル」と呼ばれる経口避妊薬は、文字通り「避妊薬」ですが、実は過多月経や月経不順、月経痛、PMS(月経前症候群)、多のう胞性卵巣症候群(PCOS=英単語コーナー参照)の治療に用いられることも多いのです。
経口避妊薬には、エストロゲンとプロゲステロンを組み合わせたものと、プロゲステロン単独のものがあります。その種類は何百とあり、治療の目的、服用する人の体質などを考慮して処方します。
経口避妊薬の利点は、自分に合ったものが見つかれば、毎月生理が始まる日時がほぼピンポイントで分かり、規則正しい月経サイクルで体も安定することです。排卵を抑えるので排卵痛もなく、生理痛や出血量も最小限に抑えられます。5年間服用した人は、服用していない人に比べて卵巣がん発症リスクが50%減るという研究結果もあります。ただ、「自分に合ったもの」というのが鍵。副作用や体の反応を踏まえ、自分に合ったピルを見つけるまでに2、3回違うものを試すケースがほとんど。勝手に服用をやめず、自分に合わないと思ったら、婦人科医師に相談して下さい。
皮膚に貼るパッチや、膣内に装着するリング、3カ月おきの注射剤から、数年間効果が続く皮下に埋め込むタイプや子宮内に装着するIUDまでさまざまです。副作用の違いは多少ありますが、ほとんどのものがピルと同様、過多月経やPMSなどの治療に有効です。その人のライフスタイルやニーズに合わせ、医師と患者が相談しながら一緒に決めます。子宮内に装着するホルモン入りのIUDは、他の方法に比べホルモンの量も格段に少ないので副作用もほとんどなく、毎日決まった時間にピルが飲めない忙しい女性や、ピルの副作用が不満だった人に勧めています。
更年期は一般に40代半ばから始まり、この時期は月経の間隔が空き、徐々に閉経に向かいます。これは生理不順というよりは、この年代の正常なパターンです。ですので、頻度や出血量が減ったという減少傾向は心配いりませんが、逆にこの時期に出血量が増えた、ひと月に2回も月経が来るなどの増加傾向は要注意。更年期は子宮体がんが増える年齢でもあり、その最初の兆候が不正出血です。増加傾向にある出血があれば、すぐに婦人科医師に相談し、検査を受けてください。
ただ皮肉なことに、更年期にはホルモンバランスの乱れによる過多月経も増えます。正常か異常か分かりにくいこの時期こそ、自己判断せず婦人科に相談してほしいです。
更年期症状はエストロゲンが減ることで起こります。火照りが酷い、膣が乾燥して出血を起こすなどの場合には、ホルモン補充療法が有効な場合もあります。しかし、副作用として乳がんや子宮体がんのリスクを上げることも事実なので、最近は非ホルモン系の薬でも更年期症状に効果のあるものが活発に使われています。ホルモン補充療法をする場合は、最小限の量で最短期間の使用がモットーです。
また、この時期はエストロゲンの減少による骨密度の減少という問題も出てきます。主治医、婦人科とコミュニケーションをとり、定期検診を受け、健康管理に徹することが鍵です。
澤井未央先生
Mio Sawai, MD
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産婦人科医師。
大阪出身、関西医科大学卒業。
日本で臨床研修終了後に来米し、米国の医師免許取得。
コーネル大学NYプレスビテリアン病院の産婦人科感染症部門での研究を経て、コネティカット州ブリッジポート病院でレジデンシー修了。
現在「NY Midtown OB/GYN」で一般産婦人科医として勤務。ニューヨーク市内レノックスヒル病院で分娩、腹腔鏡/ロボット手術を行う。
NY Midtown OB/GYN
800 2nd Ave., Suite 815
(bet. 42nd & 43rd Sts.)
TEL: 646-292-3030
nymidtownobgyn.com
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