ドクターベルモンテが教えるウェルネス道

体全体のバランスを調整し子供の健やかな成長を促すカイロ

今月のテーマ:子供の成長とカイロプラクティック(Vol. 4)

不調が起きやすい今だからこそ、さまざまな体のメンテナンスが大切だ。健康でいるための生活のポイントを、カイロプラクターのドクターベルモンテが教えてくれる連載。


その昔アメリカの多くの幼稚園で、新入園児にはまず正しい座り方と姿勢を指導し、背骨(脊柱)検査まで行っていた時代があったことをご存じですか? 今はそうした教育を行う公立幼稚園は少なく、実に残念です。

「真っすぐ座る」ことを人生の早いうちから習慣付けるのは、とても大事なことです。姿勢は健康状態を表し、健康状態は学業やスポーツでの集中力に影響します。というわけで、今回はカイロプラクティック治療が子供の成長に寄与するという話題です。

姿勢を評価するアプリ「PostureScreen Mobile」で、体の中心、肩や腰の高さ、傾きを診る

成長期のカイロ治療

普段の姿勢は、成長期の子供の骨格形成に大きく影響します。私が子供たちにカイロプラクティックを勧める最大の理由はそこです。悪い姿勢や、体のゆがみを誘発する習慣を放置したまま成長すると、後に脊柱に問題を抱える可能性が大きくなります。

けがの治療も然り。局所的に痛みがある場合、そこだけに集中して治療することは、特に成長期の子供の場合は避けるべきです。どこかが痛むと、他の部位に影響が及ぶのが人間の体。それに気付かないまま放置して成長を続けると、大人になってから腰痛や慢性肩凝りなどの〝持病〟に発展することがあります。

親御さんからよく、「うちの子が首や腰を痛がる。放っておけば治りますか?」と相談を受けます。この「放っておけば」は聞き捨てなりません。親御さんは、痛みがあるのは普通ではないとの認識をまず持ってください。子供の訴えに耳を傾けましょう。

さらに言うなら、仮に子供が痛みを訴えていなくても、カイロプラクティックで体全体の成長バランスを確認し、必要に応じてメンテナンスを施すことは大事なことです。10〜13歳という年齢は急激に体が変化し、同時にスポーツなどに熱心に取り組み始めます。この年齢の子供を持つ親御さんに会うと、「一度はカイロプラクティック健診に連れてきてほしい」と話をするようにしています。

子供向けのカイロプラクティック治療は、体の成長を妨げないように、ごく軽いタッチで行う

IT時代の弊害にも

さて、子供が親に連れられて当院を訪れる理由はさまざまですが、パソコンやスマートフォンの長時間使用による首や肩の痛みも、近年特に増えました。

正常な首の骨は、横から見て緩やかなカーブを描き、重い頭を柔らかく支えています。ところが、パソコンやスマートフォンを使っている時は、画面に向かって首を突き出す姿勢になりがち。そうすると、肩や背中の筋肉で頭を支えなければならず、自然と首の痛みや肩凝り、腰痛などの症状が出るのです。通学時に重いカバンを持ったり背負ったりすることも、筋肉に偏った負担を掛けます。

カイロプラクティック治療で骨格のゆがみを調整し、背骨の関節の働きを正常に戻すと同時に、パソコンの時間を減らすなど、日常生活における悪癖の改善への取り組みには、親御さんの協力も不可欠です。

学齢期の子供だけではありません。生後数カ月の乳児にもカイロプラクティックは有効です。難産のため赤ちゃんが産道に長く留まると、頭が変形することがあり、成長への影響を心配したお母さんが当院に赤ちゃんを連れて来られることもあります。

小児科健診は内科的な健康状態を診ますが、カイロプラクティックでは体の構造全体を診ます。原始反射(特有の刺激に対して示す、中枢神経によって引き起こされる反射運動)も検査します。当然ですが、成長期の子供や赤ちゃんへのカイロプラクティック治療は、大人向けの治療よりずっと軽いタッチで行います。それで十分効果が得られるのです。この赤ちゃんは、首や背骨の構造に問題がないことを確認し、お母さんは安心して帰宅されました。

 

 

 

 

ジョン・J・ベルモンテ 先生
John J. Belmonte, DC

E. 53 Wellness院長。
カイロプラクター(Doctor of Chiropractic)。
全米カイロプラクティック協会会員、ゴルフPGAツアー・スポーツ医学チーム所属。
アスリートのけがの治療、妊娠中の痛みの緩和、成長期の子供のカイロ治療も手掛ける。

 

E. 53 Wellness
211 E. 53rd St./TEL: 212-980-4211
e53wellnessnyc.com


今月の教訓!

「子供の訴えに耳を傾けるべし」

成長期の子供を持つ親御さんたちに一言。「足が痛い」「首が痛い」「肘が痛い」「踵(かかと)が痛い」など、子供が痛みを訴えたら、真剣にその訴えを聞き、迅速に専門家の診断、意見を仰いでください。大丈夫だろう、しばらく放っておけば良くなると、希望的観測の下に“様子見”するのは禁物です。けがの痛みはもちろん、体のバランスが崩れているから起こる足や膝の痛みは、放置すると、ひいては腰の痛みにつながっていきます。

リクエスト募集中▶ドクターベルモンテへの質問や取り上げてほしいテーマについてはeditor@nyjapion.comまで!

 

               

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