─ハワイ最新情報・前編─ 国内旅行で人気再燃 ハワイを満喫しよう
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子宮の入り口(頸部)にできるがんです。日本では年間1万1000人の新規患者(上皮内がん含めると約5万人)がおり、40歳までの男女がかかるがんの約半分が女性の子宮頸がんです。原因の99%は性交渉時に感染するヒトパピローマウイルス(HPV)で、一次予防(病気にかからないようにする)が可能な珍しいがんでもあります。つまりHPVワクチンにより、90%以上を未然に防ぐことができるのです。二次予防(早期発見)のためのスクリーニング(PAPやHPVテスト)も確立されており、進行が遅いがんなので、定期検診で早期発見できれば、完治が可能になります。
HPVは、性交渉時に男性から女性に感染するイメージがありますが、それは間違いで、逆も当然あります。子宮頸がんは、男性の健康にも大いに関係することを知ってもらいたいです。男性の場合、性交渉で感染するHPVにより中咽頭がん、肛門がんなどを発症します。アメリカでは、男性の中咽頭がん患者数が、女性の子宮頸がん患者数を上回っています。HPVは男女ともに注意すべき発がん性のウイルスであり、そのためアメリカではHPVワクチンの接種対象は男女両方です。
HPVにはいくつもの「型」があり、そのうちがんを発症しやすい16型・18型、イボを作る6型・11型があり、日本ではこれらの「4価ワクチン」が主流です。米国ではこれに加え5つの型を組み込んだ「9価ワクチン」が主流です。
接種推奨年齢は、日本は主に小6〜高1(12〜16歳)の女児、アメリカでは9〜14歳の男女児。「性交渉を持つ前に接種すること」がカギです。それによって感染そのものを防ぐことができます。接種回数は、日本は3回、米国も含め世界基準は2回(半年間隔)。米国では対象年齢の約65%が少なくとも1回の接種をしていますが、日本は定期接種ワクチンに指定されているものの約1%にとどまっています。
子宮頸がんの内、頸部の奥にできるがんや腺がんはPAPテストでは見つかりにくく、予防にはワクチン接種が有効です。対象年齢の男女児がいる家庭は、90%以上の上皮がん予防効果がある9価ワクチンを、米国で接種するのが得策かもしれません。そうした意思決定には父親の意見も重要で、その意味でも、子宮頸がんは男性が無視できないことを、男性に認識してほしいと思います。
子宮の内部にできるがんです。頸がんとは対照的で、体がんの患者は40代以降に多く、特定の原因がないため予防手段がなく、定期検診も確立されていません。ただ、早期に発見されれば治りやすく、予後も良いがんです。初期症状のほとんどは不正出血。更年期の女性は不正出血があってもおかしくないので区別がつきにくいですが、閉経後に不正出血がある場合は赤信号です。
子宮体がんのうち5%は、家族性のがんが原因です。つまり遺伝的要素があるということ。「リンチ(Lynch)症候群」の一つとして、大腸がんと関連しており、家族や親戚に大腸がん患者が複数いる女性は発症リスクが高いです。知識として頭に入れておき、不正出血がある場合は迅速に医師の診察を受けることが、早期発見、治療、完治への道です。(後編につづく)
鈴木幸雄先生
Yukio Suzuki, MD, PhD
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医師、医学博士。
旭川医科大学卒、横浜市立大学大学院卒。
2021年からコロンビア大学メディカルセンター産婦人科博士研究員(Postdoctoral Research Fellow)として、がん治療のビッグデータ分析研究に従事。
日本では婦人科腫瘍専門医として子宮がん、卵巣がん治療に携わる。
低侵襲手術(腹腔鏡)、予防医療、緩和医療まで包括的な診療が信条。
米国がん患者支援団体Japanese SHAREの臨床アドバイザーも務める。
Columbia University Irving Medical Center
Department of Obstetrics and Gynecology
161 Fort Washington Ave., HIP 4th Fl.
New York, NY, 10032
※研究専任(診療対応無)
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