知っておきたい女性のヘルスケア

第1回 女性のがん患者を日本語でサポート

女性のがん患者に寄り添うジャパニーズ・シェアがお届けする連載。アメリカで暮らす女性に役立つ最新医療情報を発信する。


私たちJapanese SHAREは、アメリカの非営利団体SHARE Cancer Supportを母体とし、2013年よりアメリカ在住の乳がん、卵巣がん、子宮がんの患者さんとサバイバーさんとそのご家族を、がん経験者が日本語でサポートしています。

また、患者さんとサバイバーさんのサポートだけでなく、アメリカの医療システムについてのセミナーや、女性のがんについての知識を深めていただくための啓発活動も日本語で行っています。

日々進化する
がん治療の選択肢

私が活動を始めたばかりの頃と比べると、多くの新薬の研究が実を結び、次々と認可され、患者さんは治療の選択肢が増えています。たとえば、乳がんに関しては化学治療だけでなく分子標的薬が開発され、ステージ4のがんは転移がんと呼ばれるようになり、末期がんとは区別されています。今では多くの方がサポートミーティングなどに参加することで、お互いを支え合いながら毎日を明るく過ごしています。

また、遺伝子の研究が進み、早期発見のがん患者さんが化学療法を受けた方がいいか否かまで、わかるようになりました。このように、現在のがん治療は、昔のテレビドラマのような恐ろしいイメージを持ったものではなくなっています。それに伴い、私たちもその変化を知る必要があります。

私たちはこれまで「医師に言われるがままの患者」ではなく「自分のために自分の健康を自分で守れる患者」になれるよう、セミナーや勉強会を実施し、最新医療情報の発信などをしてきました。しかし、たとえ日本でがんと診断されたとしても、すぐにその現実を受け入れることはとても困難で、医師が治療方針を説明してくれても、その場で全てを理解するのは難しいことだと思います。

異国でがんと向き合う
不安をサポート

アメリカに住む私たちは、さらにその「受け入れがたい」という感情や「理解の難しさ」を日本語で吐露できる相手がいないということとも向き合わねばならないのです。自分が思っていたよりもアメリカの生活に対応できていなかったと落ち込むかもしれませんし、一人で向き合っていかなければならない不安は募るばかりで、「自分は外国で独りぼっちだ」と孤独感を覚える方もいます。

そんな時は、どんなに長く外国生活をしていても消えることのない日本人としての価値観や気質を共有できる人が、自分の思いを聞いてくれたらどれだけ心強いでしょう。

私たち日本人は他のアジア人とは違い、家族と離れて単身で来米するケースが多いように感じます。留学、起業、結婚など理由はさまざまですが、家族全員で移民してきたという人はまれではないでしょうか。

私たちは、アメリカで病気になった時、一人で辛い治療に向き合わなくても済むようなネットワークを作る活動をしています。これまで多くの方々をサポートする中で、皆さんに共通する悩みも見えてきました。

たとえば、病院や医師の決め方、医療保険について、想定外の請求書の扱い、支払いができない時の対処、仕事と家庭との両立の問題、まだ小さい子供や日本にいる高齢の親にどのように自分の病気を伝えればよいのか、そんな中で自分は病気とどう向き合えばよいのか、などです。

がん治療に
必要な情報を共有

私たちはこれまで、それぞれの方に合った答えを出すためのお手伝いをしてきました。皆さんの経験は、これからの患者さんを助けるための貴重な情報源にもなります。

今後はこの連載を通して、乳がん、卵巣がん、子宮がん治療の選択肢や日米での医療制度の違い、抗がん剤治療の乗り越え方のヒントなど、役立つ情報をお届けしていく予定です。病気が回復して元気になるまでお互いに助け合えるように活動を広めていきたいと思います。

 

今週の執筆者

ブロディー 愛子
Japanese SHARE 代表

2001年に乳がんを経験。
13年より米国非営利団体「SHARE Cancer Support」に日本語プログラムを設立。
これまでにサポートした日系人の数は900人を越える。
ICF認定ライフコーチ/アーキタイプ・コンサルタントとしても活躍中。
alliswellcoaching.com

 

 

●セミナー情報●

もっと知りたい骨粗鬆症
~女性の健康の秘訣~

7月24日(土)
午後8時〜9時30分開催!

Japanese SHAREの臨床アドバイザーで産婦人科専門医の鈴木幸雄先生を招いたウェビナーを開催。参加者からのリクエストも多い女性の「骨粗鬆症」についてお話しします。参加費は無料です。参加方法と詳細は、以下のウェブページをご覧ください。

URL: sharejp.org/schedule/2021/7/24

 

 

 

Japanese SHAREは、アメリカに住む、乳がん、卵巣がん、子宮がん患者さんを日本語でサポートする非営利団体です。

TEL:347-220-1110(日本語ヘルプライン)
Email: admin@sharejp.org
Web: sharejp.org

 

 

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