心と体のメンテナンス

最先端と古来の融合歯科治療(前編=最先端)

各種3Dスキャナー導入
テクノロジーで的確治療

 

Q. 歯科用3Dスキャナーとは?

A.

最新の歯科用3Dスキャナーの総称を「コーンビームCT(CBCT=Cone-beam Computed Tomography)」と言いますが、当院で導入しているのは、その1ブランドである「Rayscan」です。首から上を撮影し、その画像をコンピューターに取り込み、あらゆる角度から立体的に患者の口、あご、頭部を見ることができます。CBCTの登場で、歯科治療は一変したといっていいでしょう。

一言で言えば、CBCTで撮影した3D画像によって、骨の状態(形や密度など)が緻密に分かります。昔は、歯茎にメスを入れて初めて分かった情報を、今はスキャナーが全て提供してくれるということです。

その最たる利点は、治療計画を立てることが非常に楽にできるようになったこと。歯科治療で最も難しく、大変な作業が治療計画を立てることです。治療の全過程の90%は計画。どんなふうに治療するかが決まれば、あとは治療を実行するだけです。3Dスキャナーによって十分な患者情報があれば、的確な治療計画を迅速に立てることができます。撮影に要する時間は5分ほどです。

 

ウッドサイド・デンタルケアで導入しているコーンビームCBCTの1ブランド「Rayscan」。「撮影の所要時間は5分ほどです」と小山内先生

 

Q.患者にとっての利点はありますか?

A.

ズバリ、的確・正確な治療を迅速に受けられることです。

例えばインプラント治療で骨を作る作業が必要な場合、3Dスキャナーで頭部スキャンし、鼻腔に何もないことを確認します。時々、鼻腔に鼻水が溜まった袋や、何らかの異物が存在することがあり、その場合それらを取り除いてから骨を形成します。鼻腔の中は当然外から見えませんし、異物があっても平面レントゲンには角度によっては写りません。3Dスキャナーがなかった時代には、異物の存在を知らないままに骨を作り、インプラントを埋め込んでいました。

さらに3Dスキャナーでクラウンを作成する場合に、治療時間を大幅に短縮できます。これまでは、歯形を取ったら技工所(ラボ)に送り、模型を作ってもらい、そこからクラウン作成・治療まで2週間くらいかかっていました。今は、当クリニックで導入しているRayscanの3Dプリンティングという機能を使い、スキャンを撮ったその日のうちにクラウンを作り、治療することができるようになりました。

頭部全体を撮影するRayscanは大型の機械ですが、ハンドヘルドタイプで、口の中に入る小型3Dスキャナーがあり、インビザラインなどに使います。当院には4種類の3Dスキャナーがあり、目的に応じて使い分けています。

 

Q. 3Dスキャナーを使った治療は他に何がありますか?

A.

3Dスキャナーは神経の位置もはっきり分かるので、根管治療(ルートキャナル)にも大変有用です。

奥歯は、根管が1本ではなく、複数あることの方が多いことをご存じでしょうか。1本の歯の中で何本もの神経が、曲がりながら走っているものです。平面レントゲンだと、撮影する角度によりますが、根管が2本重なっていると1本しか見えないことがあります。ところが3Dスキャナーなら、コンピューター画面上であらゆる角度で患部を見られるので、重なった根管もはっきり見えます。

神経の位置や流れが分かる点では、親知らずの治療や、抜歯の判断にもとても役に立ちます。(以上は小山内先生に聞きました。後編はセカレアニュー先生に鍼治療の歯科分野への導入について伺います。)

 

 

 

 

 

小山内乃介先生〈右〉
Daisuke Osanai, DDS

クリスチャン・セカレアニュー先〈左〉
Cristian Secareanu, DDS

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Woodside Family DentalElmhurst Dental Care共同院長。
両医師ともニューヨーク大学歯科学校卒業。市内の病院で研修後、クイーンズ区内2カ所で歯科医院を開業。
一般歯科から、根管治療、インプラント、ホリスティック歯科、審美歯科、歯列矯正(インビザライン)まで多岐にわたるデンタルケアを提供。

 

 

Woodside Family Dental

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