心と体のメンテナンス

食生活改善から始める美肌生活 体の内側からきれいに(前編)

バランスよく栄養摂取
体の内側からきれいに

Q. 美肌作りのための食事とは?

A.

日々の食事を大切にし、栄養をバランスよく取ることです。基本は体の中からきれいになることで、食事を変えない限り、美肌や、肌トラブル解消は期待できません。

食生活改善に加え、血行と肌の新陳代謝を高めるため、適度な運動もしたいところです。ただし、運動もやり過ぎは逆効果。活性酸素が体内で過剰に産生され、肌の老化を早めます。食事をおろそかにして運動するのも問題で、細胞が栄養不足に陥り、新陳代謝に支障を来します。

十分な睡眠も大切です。紫外線や大気汚染、強いストレスなどによって損傷した細胞が寝ている間に修復されるためで、修復のためにも食事からの栄養が欠かせません。

 

バランスの取れた食事が美肌の基本。「動物性たんぱく質はできるだけ良質の物を」と宮下さん(写真提供:宮下さん)

 

Q. 細胞の生まれ変わりに必要な栄養とは?

A.

どの栄養素もバランスよく取りたいですが、特に大事なのはビタミン、ミネラル、アミノ酸です。アミノ酸は、たんぱく質が分解されて作られる物質です。ビタミンは種類がたくさんありますが、それぞれ役割が異なるので、全てをまんべんなく摂取するのが理想です。

例えば、ビタミンAと亜鉛は肌の傷の回復に重要な栄養素として知られ、ニキビの改善に効果があります。亜鉛は皮脂の産生をサポートするミネラルで、肉や魚などの動物性食品、中でも牡蠣(かき)に豊富に含まれます。

同じミネラルでもナッツ類、特にブラジルナッツに多いセレンは、顔のむくみ、ドライスキンなど、甲状腺機能低下に伴う症状の改善に有効です。また、鉄分が不足した人や貧血の人は、鉄分摂取によって顔色が改善し、肌にはりが出てくる場合が多いです。

繰り返しますが、大切なのは栄養素をバランスよく取ることです。例えばビタミンが不足していると、たんぱく質がうまく分解されず、アミノ酸を摂取することができません。肉や魚などのたんぱく質を食べるときは、ビタミンが豊富な緑黄色野菜を付け合わせにするといいでしょう。

ミネラルの一種であるマグネシウムが足りない人は、ビタミンDの吸収が悪く、肌はもちろん体全体の機能や骨の健康に影響が出ることがあります。濃い緑の野菜、果物、ナッツや豆類、魚介類、全粒穀物などを食生活に積極的に取り入れ、マグネシウム摂取に努めましょう。

栄養バランスの取れた食事は、腸内環境を整えるためでもあります。腸内環境の乱れは、肌トラブルに直結します。

 

Q. 肌とコラーゲンの関係は?

A.

肌の潤いや弾力アップに効果があるとされるコラーゲンは、皮膚や骨、軟骨などの主成分で、人間の体を作るたんぱく質の約3割を占めるとされています。コラーゲンは肉や魚など動物の脂質に多く含まれますが、いったん分解されて体内に吸収され、コラーゲンとして再合成されるためにはビタミンCが必要です。肉や魚の付け合わせに緑黄色野菜を食べたい理由は、ここにもあるわけです。

参考までに、鶏肉のコラーゲンは、関節炎の改善や免疫力向上にも効果があるといわれます。

 

Q. たんぱく質とニキビの関係は?

A.

たんぱく質は筋肉、骨、ホルモン、血液の合成などに欠かせない栄養素ですが、調理から時間がたち脂質が酸化した肉類やその他食品を食べ過ぎると、体内で炎症が起きやすくなります。過度の炎症はニキビやアトピー性皮膚炎など肌トラブルの原因になる他、全身の病気や血糖値、コレステロール値の上昇につながります。

炎症を抑えるにはオメガ3脂肪酸が有効です。オメガ3脂肪酸は、天然のサーモンやイワシ、サーディンなど、脂が乗った魚に豊富に含まれます。

たんぱく質、特に肉類の大量摂取は腎臓に負担をかけることも知られます。腎臓機能が低下すると、たんぱく質がエネルギーとして利用された後にできる老廃物が血中や皮膚組織に蓄積し、肌に痒みや肌色の変化が現れることがあります。どんな食べ物も食べ過ぎはよくありません。

ここでお話ししたことは、健康な人への一般的な助言です。病気治療中の人、気になる症状がある人は、食事を変える前に医師や栄養士に相談してください。

※次回は、シワ対策や肌に悪い食べ物などについてお聞きします。

 

 

 

宮下麻子さん
(Asako Miyashita, MS, RDN, CDN)

_________________

米国登録栄養士(RDN)、NY州認定栄養士(CDN)
マクロビオティック料理教室リマ・クッキング師範科修了後、コロンビア大学教育大学院で栄養教育学修士号(MS)取得。
生活習慣病、甲状腺疾患、糖尿病、体重管理、摂食障害に関する栄養指導、子供の栄養教育など。
ホルモンバランスに着目したスキンケア・ブランド「La Iride」共同創業者。

 

Japanese Medical Care

315 Madison Ave., 17th Fl.
(42nd St. bet. Park & Madison Aves.)
TEL: 212-365-5066
jmedical.com
asakonutritionsalon.com
ameblo.jp/foodfortruebeauty

 

関連記事

NYジャピオン 最新号

Vol. 1244

オーェックしよ

コロナ禍で飲食店の入れ替わりが激しかったニューヨーク。パン屋においても新店が続々とオープンしている最近、こだわりのサワードウ生地のパンや個性的なクロワッサン、日本スタイルのサンドイッチなどが話題だ。今号では、2022年から今年にかけてオープンした注目のベーカリーを一挙紹介。

Vol. 1243

お引越し

新年度スタートの今頃から初夏にかけては帰国や転勤、子供の独立などさまざまな引越しが街中で繰り広げられる。一方で、米国での引越しには、遅延、破損などトラブルがつきもの、とも言われる。話題の米系業者への独占取材をはじめ、安心して引越しするための「すぐに役立つ」アドバイスや心得をまとめた。