意外に完治ま&#
「気血」の詰まりを解消
体質改善で病気を予防
Q. 鍼灸(しんきゅう)治療で「ツボ」を刺激するのはなぜですか?
A.
東洋医学では、「気血(きけつ)」に過不足がなく全身をくまなく循環している状態が健康で、逆に流れが滞り、心身に不調を来した状態が病気と考えます。鍼灸治療では、気血を運ぶ通路である「経絡(けいらく)」に沿って体表に現れる「経穴(けいけつ)」、いわゆるツボに刺激を与え、悪くなった気血の流れを改善し、症状の緩和と解消を目指します。
「気」は「目に見えないエネルギー」のことで、血流に乗って全身に届けられる酸素のようなもの。「血(けつ)」は「目に見えるもの」を指し、血液と、血液が運ぶ栄養素などの総称です。
症状が楽になった後も鍼灸治療を継続することで、病気や症状の背景にあった体の悪循環を修正して体質を改善し、病気の再発や、新たな発症を予防することを期待できます。
Q. 鍼灸治療はどのような症状に効果がありますか?
A.
頭痛、肩凝り、腰痛など、痛みの緩和と解消に有効なことが広く知られています。
意外かもしれませんが、痛み以外の全身のさまざまな病気や症状、例えば月経痛、月経不順、子宮や卵巣の病気、不妊症など婦人科系の問題や、過敏性腸症候群、下痢、便秘など消化器系の問題にも鍼灸治療は使われており、当院でも高い効果を上げています。
Q. 同じ症状でも、患者によって治療方針が違うのはなぜですか?
A.
症状が同じでも、原因や体質は人によって異なるからです。
症状だけを見て治療をすると、一時的に楽になることはあっても、時間がたつと再発するケースが多々あります。なぜかというと、症状は体の中で起きたこと・起きていることの結果であり、そもそもの原因を解消しなければ、本当の意味での治療にはならないからです。
同じ痛みでも、痛みの背景に何があるかを理解した上で、患者ごとに最適な治療方針を決めることが大事です。
Q. 治療方針の決定で重視することは何ですか?
A.
気血の流れと、個人の体質、体力、症状の現れ方などを表す「証(しょう)」という概念です。
「虚実(きょじつ)」は、代表的な「証」の一つです。「虚(きょ)」は体に必要な気・血・津液(しんえき=体を潤す水分)が不足した状態で、気が足りない状態を「気虚(ききょ)」、血が十分でない状態を「血虚(けっきょ)」などといいます。対照的に、「実(じつ)」は気・血・津液があり余った状態です。「虚」は慢性疾患の場合に、「実」は急性疾患や風邪、インフルエンザなどの場合に多く見られます。
「虚」でも「実」でも気血の流れが悪くなる可能性があります。「虚」の場合は気・血・津液の不足を補い、「実」の場合は余計なものを減らす治療を行い、気血の流れを改善します。
「証」としては他にも、「陰陽」「寒熱」などがあります。例えば「陰が強く、寒が生じる」とは、寒気、冷え性など、体が冷えた状態のこと。「陽が強く、熱が生じる」とは、発熱、ほてりなど、体が熱くなった状態です。これらは全て、症状の現れ方に関係しています。
当院では、初診時に問診と、腹部を中心とする触診を行い、気血の流れがどこで、どういう風に詰まっているか(虚か実か)、体質や症状の現れ方はどうか(証)、どの臓腑(ぞうふ=内臓)が関係しているかなどを判断します。問診では、来院の理由、既往歴、家族の病歴、食生活、生活習慣にいたるまで、詳しく聞きます。
Q. 鍼灸では治療の継続が大事とされるのはなぜですか?
A.
辛い症状が解消すると、それで治療を止める人がいますが、体質改善のためには数カ月に1回程度、体の調子を整えるメンテナンス治療をお勧めします。病気予防に役立つだけでなく、健康への意識が高まり、体の変化や異常に気付きやすくなるという利点があります。
治療によって体を本来の健康な状態に戻してやることで、通院理由以外の気になっていた問題が「いつの間にかなくなっていた」ということはよくあります。痛みや不調から解放されるだけでなく、肌や髪の毛がきれいになり、毎日が楽しく生活に活力が出たという人も多いです。
※次回は、婦人科系と消化器系疾患の治療例についてお聞きします。
木村・ガルジーナ・留美子先生
Rumiko Kimura-Galzina, MS, LAc
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鍼灸師(LAc=Licensed Acupuncturist)。
ニューヨーク・ニュージャージー州鍼灸免許。
全米鍼・東洋医学認定委員会(NCCAOM)認定鍼灸師。
トライステート・カレッジ・オブ・アキュパンクチャーで修士号取得。
中医学(TCM)式、日本式(松本岐子氏が開発した腹診中心のKM式)、トリガーポイントの筋膜治療に重点を置く鍼灸物理医学(APM)式の3スタイルを習得。
ニューヨーク鍼灸学会会員。
Kimura Acupuncture, P.C.
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