心と体のメンテナンス

第3回 ◆ ストレス、メンタルヘルス、免疫と栄養学

免疫とメンタルを支援
抗炎症ダイエット入門

Q. メンタルヘルスと、免疫をアップをするための食材とは?

A. 

今年は春から自宅待機の生活が続き、「コロナ鬱」という言葉も生まれました。体調を崩した人や、感染から回復中の人もいるでしょう。経済再開への期待と不安もまたストレスです。免疫力とメンタルヘルスの向上には、食事で必要な栄養素を取り入れることが、何よりも重要になります。

次に挙げるのは、抗炎症作用のある食材です。基本は、植物性食品に含まれる栄養素を中心にバランスよく食べることです。

食物繊維=野菜や果物、豆類、キノコ類、こんにゃくなど。便通をよくし、腸内環境を整えるために必要。

オメガ3脂肪酸=魚介類、放牧飼育の肉、亜麻仁油、チアシードなどに多く含まれる。

プレ&プロ・バイオティクス=プレ(ネギ類、ニンニク、キャベツなど)と、プロ(納豆などの発酵食品)を合わせて取ると効果大。ヨーグルトのラベルに、善玉菌の名前と一緒に表記されている「イヌリン」がプレバイオティクスの一種。

ビタミンC=緑黄色野菜、果物。

ビタミンE=レバー、アボカド、種類、ナッツ類。抗酸化と血液サラサラに必要な栄養素。

ビタミンB群=レバーや魚介類、濃い緑の野菜、豆や穀物。神経系の健康維持に必要な栄養素。B12は赤肉に含まれ、菜食主義の人は不足しがち。

ビタミンD=肉、魚介類、乾物、キノコ類など。午前中に日光浴を10〜15分することでも摂取可能。自宅待機中は難しいので、食事から取る。干し椎茸などがおすすめ。

鉄分・亜鉛=これもレバーや赤肉に多く含まれるが、ほうれん草にも豊富。

マグネシウム=肉、魚介類、緑黄色野菜、種・ナッツ類、バナナや大豆に多く含まれる。

セレン=甲状腺ホルモンに必要な栄養素で、ブラジルナッツやひまわりのタネなど少量で十分に取れる。魚や卵にも豊富。

抗酸化物質=色とりどりの野菜と果物に含まれる。

 

抗炎症&オメガ3脂肪酸入りスイーツ「イチゴと豆腐のムース」。▶︎材料(2人分)絹ごし豆腐100g、イチゴ中5個、バナナ半分、フラックスシードオイル小さじ2。▶︎作り方: 全材料をブレンダーで混ぜるだけ。好みでオレンジやレモン、メープルシロップを加えてもOK。

 

Q. メンタルヘルスに特に有効な栄養素がありますか?

A.

マグネシウムです。コロナ禍の自粛時に不眠症になる人も多かったのですが、そういうときは、特に濃い緑の野菜と、バナナを積極的に食べると改善するので、試してみてください。バナナには、神経機能を正常に保つためのB6も含まれています。糖分が高いと敬遠する人もいますが、少量なら問題ありません。

 

Q. 抗酸化物質とは具体的にどんな役割をしますか?

A.

体の酸化を防ぎ、炎症を抑えます。赤や黄色のピーマンなど、日頃からカラフルな食材を食べることで摂取できます。ターメリック、ショウガ、シナモン、ワサビ、大根の辛味成分など、料理にちょっとだけ加えることで栄養価が倍増するスパイスにも多く含まれます。ターメリックは、多少加えても料理の味を大きく変えるものではないので、粉末状のものを常備しておき、目玉焼きに振りかけるなどして、毎日ちょっとずつ食べることをお勧めします。

 

Q. 日本食は体に良いのでしょうか?

A.

世界中の栄養学の専門家が称賛するのが、日本食と地中海食です。共通点は、魚をよく食べるので、オメガ3脂肪酸を豊富に摂取すること。日本の朝食膳には焼き魚が入っていますが、あれは実はとても理にかなっています。オメガ3を摂取でき、脳も活性化するので、朝にぴったりの食材です。豆腐、ワカメ、卵、味噌汁と、先に上げた栄養素をたっぷり取れるのが日本食です。

 

 

宮下麻子さん
(Asako Miyashita, MS, RDN, CDN)

_________________

米国登録栄養士(RDN)、ニューヨーク州認定栄養士(CDN)。
マクロビオティック料理教室リマ・クッキング師範科修了後、コロンビア大学教育大学院で栄養教育学修士号(MS)取得。
慢性疾患、体重管理、摂食障害に関する栄養指導、在米邦人乳がん患者支援団体BCネットワーク(http://bcnetwork.org)を通してのがん患者向け栄養指導など。

 

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