大学進学を考える 日本と米国、二つの国で学び暮らす選択
コロナ禍を経験して社会は大きく変わった。日本社会も例外ではない。未来を見据えて、グローバルな大学進学の選択肢の一つとして、米国と日本で自分たちのルーツを生かす学びについて掘り下げる。
米保健福祉省(HHS)によると、2017年は8082例、18年は8250例でした。
肝移植には、健康な人(生体ドナー)から肝臓の一部を摘出して患者(レシピエント)に移植する「生体肝移植」と、亡くなられた人(脳死ドナー)から提供された肝臓の一部または全部を移植する「脳死肝移植」があります。アメリカでは脳死肝移植が圧倒的に多く、17年は7715例、18年は7849例と、両年とも全症例の約95%でした。
対照的に、日本では生体肝移植が主流です。日本移植学会の最新データによると、17年の肝移植症例数は416例で、そのうち生体肝移植が347例と全体の83%を占めました。
生体肝移植は健康な人から健康な臓器を部分的に摘出する手術であり、ドナーの負担を考えると、肝移植はすべて脳死肝移植で行われることが理想です。しかし、日米ともに脳死ドナーは不足しており、生体肝移植はいまだ不可欠な治療選択肢です。米臓器調達移植ネットワーク(OPTN)によると、アメリカでは今年8月時点で1万3000人超の肝移植希望者が待機しています。
日本ではこれまでに延べ9000例以上の生体肝移植手術が行われてきました。肝臓は再生能力が高く、例えば生体ドナーの肝臓が術後に本来の30〜40%しか残っていなくても、3〜6カ月後には元の大きさ近くまで再生し、機能もほぼ正常に回復します。
生体肝移植手術はドナーの安全性に十分配慮して行われますが、術前から術後に合併症が起きる可能性があり、残念ながらこれまで日本で1例のドナーの死亡が報告されています。生体肝移植は30年前から行われており、長期的にも安全だと考えられますが、今後も継続した調査が必要です。
また、生体肝移植は肝臓を部分的にしか移植できないことから、レシピエントにもリスクを伴います。例えば、ドナーとの体格差にもよりますが、レシピエントには正常の40〜60%の大きさの肝臓が移植されます。肝臓は本来の大きさ近くに再生しますが、それまでの一定期間、小さいサイズで生体維持に必要な機能を担う必要が生じます。
一方、脳死肝移植と比べたときの生体肝移植の利点は、手術の予定を組めることです。生体ドナーとなる人が決まっていれば、緊急手術を要する急性肝不全や肝がんで、脳死ドナーが現れるのを待つ必要がなくなり、生体肝移植が有効な治療になる場合があります。
大きな違いとして、アメリカの医療機関は脳死ドナーとなる可能性のある患者を全て、臓器調達組織(OPO)という非営利組織に報告する必要があることです。報告を受けたOPOが、脳死ドナーとしての評価から、臓器提供に対する本人の生前の意思、および家族の意思確認を行います。こうした仕組みなしでは、我々医療者は治療に専念するあまり、脳死ドナーとしての可能性に気付かないこともあろうかと思います。
年齢や健康状態に関係なく、希望すれば誰でもドナーになる可能性があります。例えば肝臓に病気がある人も、ほかの臓器や組織を提供できるかもしれません。
臓器ドナー登録は、日米でさまざまな方法が用意されています。例えば、アメリカの場合、各州のウェブサイトから登録できますし、運転免許証または運転しない人向けのIDカード「ノンドライバーID」の申請時に登録することもできます。
ドナーとして臓器を提供するかどうかの判断は、簡単なことではありません。特に家族の命にかかわる緊急時に突然判断を求められると、動揺して困惑する人がほとんどだと思います。アメリカでは移植医療が一般医療として根付いていると感じますが、それはおそらく一般の人が健康なときに臓器移植や提供について考える機会を設け、自分の意思を周囲に伝えていることが一つの理由だと考えます。この記事が、ドナー登録について考える機会になれば幸いです。
※次回は、林美香先生に足の健康と転倒についてお聞きします。
別城悠樹先生
Yuki Bekki, MD, PhD
マウントサイナイ病院移植外科臨床フェロー。
九州大学医学部卒業後、沖縄県立中部病院勤務(研修医)、
九州大学医学部博士課程修了(博士号取得)、
福岡市民病院勤務(医員)を経て2018年7月来米。
日本外科学会外科専門医、日本肝臓学会肝臓専門医、日本消化器病学会消化器病専門医。
ニューヨーク州医師免許所持。
The Recanati / Miller Transplanta-tion Institute
at The Mount Sinai Hospital
5 E 98th St., 12th Fl. (at Madison Ave.)
TEL: 212-241-8035(成人)
212-659-8060(小児)
https://www.mountsinai.org/care/transplant/services/liver
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