Page 14 - NY Japion
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番外編  特別インタビューで、そうした知識先導のや になると思っています。 ̶̶日本向けにローカライ り方よりも現場に一緒に来   また皆に共通するのは、  前回に続き、当コラムの 聞かせてください。 著者、中村武彦さんに、昨   まず一つは新設の同機関 年立ち上げたブルーユナイ でスポーツ経営学を教える テッドの業務について聞い こと。そして、海外でスポー た。 ツ経営学において優れてい□ □ □る教育機関、例えばマサチ ューセッツ州立大学、マドリ ッドのロースクール、IS  僕が2002年に米国 増やしています。現在は米 に来たのは、当時日本には、 国、欧州は僕が引き受け̶̶Jリーグの一部門から 来年4月に法人として独立 する、クラブ経営の人材育 成機関、スポーツヒューマン キャピタルで、国際事業開 発を任されたという話をDE(Instituto Superior de Derecho y Economía)などスポーツ経営学を学べる場 所がなかったからです。た だこの 年間を見るだけで も業界は大きく成長し、ス ポーツ経営学の知識を持っ た人材の需要は伸びてま す。また、日本は少子化で モノが売れないといわれる 中で、「スポーツ業界が日 本の基幹産業にならないと いけない」という意見も出 てきています。昨年、スポー ツ庁ができましたし、鈴木 大地長官が先頭に立ち、産 業を大きくしようという 動きにはなってますね。2 019年にはラグビーW 杯、2020年に東京オリ ンピックもありますから ね。 ̶̶業界で今、求められる のはどんなことでしょう?て、アジアは日本、カンボジ アにもスタッフを置いて、各 Jリーグクラブの海外進 出を手伝っています。実は スタッフのほとんどが元選 手なんです。アメリカのプ ロリーグでプレーした奥田 哲也くん、カンボジアには マリノスはじめ9カ国 チ ームでプレーした経験を 持つ深澤仁博くん、そして 来年からは元なでしこジャ パンの山口麻美さんをイン ターンとして迎えます。 ̶̶元選手の皆さんは何か 特徴はあるのですか?と提携して教材を作成す るほか、講師、教授を招いて スポーツヒューマンキャピ タルのコンテンツにしてい  日本で何かを変えるに は、前例がないと難しいと 言われます。ただ、今、まさ に日本のスポーツ業界が変 わるために、新しい価値を 作り出す、未知の領域に踏 み出す瞬間だととらえてい て、弊社も一緒に踏み出す ところかなと思っています。 ̶̶今後の展開は?くのが任務です。未来を担う人材育成を ズする必要もありますね。 て、一緒に手足を動かして、 現役を引退後、指導者以外   翻訳が必要ですし、取り 一緒に汗を流してくれる人 の可能性を探りたいというスポーツ経営を伝える上げている事例も、日本で を欲しています。そのため は非現実的なものは省き 僕は、毎月日本に出張して ますし、ブリーフィングと いますが、みんなと机を並 ディレクションを担当して、 べて仕事するのが、今は一 実際の授業に落とし込んで 番大事だなと感じてます。 いくのが業務ですね。 ̶̶ブルーユナイテッドも ̶̶日本のスポーツ経営は 同様に成長していく時期に 黎明期。業界ではどんな動 入っていますね。 きがありますか?   今、スタッフを少しずつ思いを持っていることです。 米国では大学スポーツが盛 んですが、どんなに優秀な 選手でも単位を取れないと 卒業できないし、部活もさ せてもらえない。引退後は、 ファイナンスの学位を持っ ているから、金融業界に進 むなんていう話も普通に出 て来ます。プロ選手の引退 後のキャリアも含め、スポ ーツへの考え方が日米では まだ差があります。  まだ予算がそこまでない ので、リサーチや調査に膨 大なお金をかけられないの  マネジメントなどを通し て、彼らの芯の強さや人柄 を見てきました。巷ではス ポーツ選手は競技しかして いないから社会で通用しな いなどと言われますが、絶 対にそうではない。物事は 教えられるものと教えられ ないものがあると思うんで  これから 歳で引退す るとしてあと 年。一つのこ とを達成するのに3年と考 えると、あと六つです。夢は まだいろいろとあるので、 少し焦りますが、まずはブ ルーユナイテッドとしては、 自分や社員の今までの国 際経験を生かして日本サッ カーの国際化をサポート できる一番の会社を目指し ていきたいと思います。す。素晴らしい選手は、そ れぞれの素質がある上に新 たに学んだり、経験を積み より良い選手になる。声を 掛けた人たちは、海外でプ レーした経験を持ち、外国 語にアレルギーがないし、 海外で遭遇してきた苦境 での打開能力も高い。また 海外でプレーするために は、行く先々で絶対に多く の人に助けられるわけで す。そこから人柄の良さも 分かりますし、人とのいい 関係も築く工夫をしてき たことも分かります。そう した素地の上に仕事の技 術と経験を与えれば、すご く優秀なビジネスパーソンコロンビア大学で招待講師として授業を行った。同校のほか青山学院大学 では非常勤講師を務めるなど、スポーツ経営学の教育に力を注いでいるFriday, December 9, 2016|Vol. 894|14 BUSINESS中村武彦の プロスポーツから見る世界でも一歩進んだスポーツビジネスが展開さ れるアメリカ。多くのプロスポーツの本部がある ニューヨークでは日々、新たな考えやビジネスモデ ルが生まれている。最先端のプロスポーツビジネ スの現場に携わっている中村武彦が解説する。中村武彦マサチューセッツ大学アマースト校スポーツマ ネジメント修士取得、2004年、MLS国際部 入社。08年アジア市場総責任者就任、パン パシフィック選手権設立。09年FCバルセロ ナ国際部ディレクター就任。ISDE法科大学 院国際スポーツ法修了。FIFAマッチエージェ ント。リードオフ・スポーツ・マーケティングGMを 経て、15年ブルー・ユナイテッド社創設。20 601014


































































































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