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13|Vol. 894|Friday, December 9, 2016 BUSINESS阪本が選ぶ読めば分かる この一冊動物と人間の世界認識 日高敏隆109共 感 マ ー ケ ティン グは自分のハンカチを使う。 店の人への注文は丁寧 に。「ハイボール!」ではな〝共感〞をキーワードに独自のマーケティング理論を 展開するブランディングコンサルタント・阪本啓一のく「ハイボールください」。「マーケティング力アップ講座」。ドリンクを持ってきた人が 「梅酒ソーダの人!」と声を 上げる前に、さっと自分か ら手を挙げて受け取る。食第 回 日常実践が商人を磨くべ終わった料理の皿は、持っ ていきやすいように重ね る。テーブルは気付いたと きに紙ナプキンで拭く。 経営は実践です。お題目 や壁に貼った理念では経営 できません。「そりゃそうで しょう、期首に決めた計画 通り実行してますよ」とい うあなたの声が聞こえてき そうです。もちろん、経営 計画に基づいて実行するこ とは大切だし、基本のキで はあります。今日お話した いのは、もっと日常のことで す。私の経営者塾で実践す るように指導していること をご紹介します。す。自分が相手の立場に立 てば早く人数をつかみたい と願うのは明らかです。間 違っても「興味あり」などの ボタンを押してはいけな い。君の興味なんかどうで もいい。行くのか、行かない のか、秒速で返答するべき 宴会当日、来たときより も店をきれいにしてから帰 る。一番そのグループの本 性が現れるのがトイレで す。汚したら、きれいにして 出る。自分の前の人が汚し ていたら、自分がきれいに する。洗面台の鏡などに水 がはねていたらペーパータ オルできれいに拭っておく。 て、考えています。幹事として学ぶ塾では懇親会も講義の一環である、と出席を義務付けています。つまり、単なる飲み会ではないよ、経営者としての勉強の場だよと。では何が勉強になるのか。 今度は宴会参会者の反 懇親会幹事は塾生の持 応速度が問われます。私が ち回りです。やった人が次 常々言っているのは「懇親 を指名する。この指名が簡 会参加の可否は秒速で返 単ではありません。まず前 答しなさい」。理由は、第一 回幹事の人は、次の幹事が に幹事を楽にさせるためで遠方(全国から塾に参加してくれています)から来ている人か、近隣からの参加者かを知る必要があります。また、 人と人数が多いので、全員収容できる店を選択しなければなりません。そうなると「土地勘のある人を人選したい...」 です。そして、「参加」とした など、指名業務一つ取って ら、絶対に変えてはいけな も、考慮しなければならな い。這ってでも参加する。 いことや意思決定しなけれ 第二にお店を楽にする ばならないことが山ほどあ ため。 人の予約となる ります。むしろ、山ほど気 と、店側は他のお客さまの 付ける人でなければ良い経 予約を断らなければなり 営はできません。店を確保 ません。場合によっては店 したら今度はフェイスブッ のスタッフシフトを変える クのイベントを立ち上げ、 必要があるかも。そして何 参加の可否を問います。 より仕入れ。確定した人数 これらの気付きと実行 が、そのまま日常の仕事で の気付きと実行の基礎体 力になるのです。繁盛して いる会社や店の経営者は、 自分が客になったときも、 店の立場に立ってものを見を早く知らせてあげるの 参加者として考える が、店の立場に立ったとき に順当でしょう。友人に飲 食店を経営している人が 何人かいますが、口をそろ えるのが「予約キャンセル が痛い」。前日ならまだし も、当日来ない。電話番号 もウソだったりする。寒い季節のキャンセルあるある は「部内でインフルエンザ が流行っていて...」こう言 われるとどうしようもな い。人間、「店か客か」という 二者択一の属性はありませ ん。ある場合には「店の、ま たは客の立場」になるもの です。いい商売をやろうと 思うなら、相手が楽になる ように考えるのが筋です。ペーパータオルがない場合 人間も含めすべての生物 が自社の商品を待ち望んで は、周りの環境の中から自 いるわけではないこと(笑)、 分にとって意味のあるもの ターゲット顧客が本当に正 だけを認識し、自分なりの しいわけではないこと...。 世界(環世界)を構築してい その時に頼りになるの ます。逆に言うなら、存在し は、数字です。出た結果が現 ていても、その存在に気付 実。仮説が現実になった姿 かないこともある。 が、数字なのです。販売数 よく聞く言い回し「金づ 量、粗利益、顧客数など、全 ちを持った人は、全てのも て数字をベースに経営する のがくぎに見える」だから 習慣をつけましょうね。人 こそ、商売人は、「分かった 間力豊かな人が、数字をベ 気にならない」心構えが必 ースに意思決定をする。こ 要です。世の中の人みんな れぞ理想の経営です。「いろいろな動物たちの 環世界をよくよく探って みると、そのような具合 になっていることが 分 か る 。す る と 、現 実 と い うものがなんであるの か?(」本文から引用)35ちくま学芸文庫35言うことより、やっていること阪本啓一■ブランディングコンサルタント。大阪大学 人間科学部卒業後、旭化成入社。2000年に独立し 渡米、ニューヨークでコンサルティング会社を設立。 06年、株式会社JOYWOW創業、現在取締役社 長。地球と人をリスペクトする、サステナビリティ経営 の実現に取り組む。『ブランド・ジーン~繁盛をもたら す遺伝子(』日経BP社)などの著書・訳書、講演活動 も多数。www.kei-sakamoto.jp 電子メディア開店!www.orange-media.jp今週の教訓