大学進学を考える 日本と米国、二つの国で学び暮らす選択
コロナ禍を経験して社会は大きく変わった。日本社会も例外ではない。未来を見据えて、グローバルな大学進学の選択肢の一つとして、米国と日本で自分たちのルーツを生かす学びについて掘り下げる。
普段は知られざる若手アーティスト育成の裏側。今回スポットをあてるのは、ニューヨークの松山スタジオで働く鈴木拓良さんと鈴木勁さん。仕事上、上司と部下という関係で日々アートと向き合う二人。いちアーティストとして、そして社会人として、彼らの仕事へ対するまっすぐな思いとは。
──最初の出会いは?
拓良:昨年の2月にシカゴで松山さんの展示があり、そこへ、勁が「僕、ここで働きたいです」と訪ねてきたのが、彼との最初の出会いです。展覧会後にスタジオ関係者でのディナーが予定されていて、松山さんが、遠方からはるばる来てくれたのだからから、良ければ参加しないかと声をかけ、参加することになりました。その時、自然に「拓良、彼の面倒を見てあげてよ」という流れになり、話せば年も近く、お互いの大学もイリノイと、インディアナでさほど遠くなく、親近感が湧いたのは今でも覚えています。
その後、勁が正式にこのスタジオへ入り、それと同時に僕が彼を育成するというポジションにつくことになりました。僕も社会人経験がない状態で入ったので、彼の気持ちが理解できるのと、僕自身もこのスタジオの先輩に色々な事を教えてもらい、時には叱れられたりもして、成長することができたので、自分も受けた分、しっかり彼に教えてあげられたらと思っています。
──若手アーティストを育成する上で意識していることは?
拓良:上からなんでもかんでも指示を出すというよりかは、彼には「自主性」を大切にしてもらいたく、自らが成長できるよう、自分で考えて行動してほしいなと思っています。自立、能動的に動くということは、今後にも繋がると思っているので、そういったことを意識しています。
勁:拓良さんが僕のスーパーバイザーになってから、合計すると半年ほど経ちますが、最近は拓良さんの言葉の意味を前よりも深く捉え、自分なりに考えられるようになった気がします。
──日頃の働きぶりで思うことは?
拓良:僕と勁は境遇が似ていて、大学を卒業してこのスタジオが初めての職場になります。まだまだ僕らは、他の先輩方からすると、社会人経験が浅く、子供のように見えると思います。僕も働き始めた頃は、出来ないことづくしで、自分の未熟さを痛感しながら仕事を進めていました。
最近の彼の仕事ぶりを見ていると、勁は自分の中で、一人前の社会人として仕事をする上での設定値というものが徐々に変わってきている時期に入ったのではないかなと思っています。
──拓良さんはスーパーバイザーとしてどのような存在ですか
勁:最初は親近感を持ちましたが、自分が持ち合わせていないものがあり、堅実なところがある方なので、身近に感じる部分がありつつも、自分が目指す目標として、とても尊敬しています。一年後、僕も拓良さんのように力を発揮できるようになれたらと思っています。
──コミュニケーションを取る上で大切にしていることは?
拓良:たまに、「仕事のことで話があるから、帰りに軽く飲みに行こうよ」ということはありますが、僕と勁は性格が全く正反対なのでプライベートでの絡みはないです(笑)。
勁:きっと、僕の仕事ぶりに対して、色々と思っていることがあると思うのですが(笑)、仕事場だと、それを全て毎回指摘されているわけでは無いようで…。しかし、二人で飲みに行ったりすると、もう少しフランクに話してもらえるので、そこで「本当はこんな風に思っていたんだ…」と気付けることもあって嬉しいです。
拓良:仕事場だと二人とも緊張感があるので、肩の力が抜けた時のコミュニケーションも大切だなと思います。
──今後の取り組みについて互いに思うことは
拓良:勁は、自身の作品で鉄の上に錆を使ってポートレートを描いています。最近仕事でも人物作品を描くことが多く、描き慣れているなと見える場面があり、後輩ながら感心しています。そして、今後は徐々に大型の作品を担当するようになるのですが、彼がどんな作品を作っていけるようになるのか楽しみです。
勁:絵を描く経験が少ない状態でここへ来たので、日々、拓良さんから指導を受けながら、作品制作に取り組んでいます。
拓良:絵の経験がある人とない人では、実はない人の方が早く吸収すると思います。他の人と比べると勁は経験がない方で、今、彼はスポンジのようにすごい勢いで、色々と吸収しているのではないかと思います。今彼は、以前僕が経験したように、自分の技術が上達していくのを実感出来る楽しさを経験しているのではないかと思います。
勁:今はひたすら毎日描いているので、まだ実感ありませんが、客観的に見たら、もしかしたら上がっているのかもしれないです。だとしたら嬉しいですね。
(左) 鈴木拓良 Takura Suzuki
1996年、東京都生まれ。ニューヨーク在住。2019年にインディアナ大学ブルーミントン校で油絵専攻を卒業。21年にセントルイス・ワシントン大学芸術大学院を卒業。現在ブルックリンにある、松山智一さんの運営するMatsuyama Studioで絵画/制作スタッフをしながら作品制作に励む。Instagram: @takurasuzuki
(右) 鈴木勁 Tsuyoshi Suzuki
1998年、東京都生まれ。ニューヨーク在住。2021年にイースタン・イリノイ大学でスタジオアート3D専攻、グラフィックデザイン副専攻を卒業。現在、同スタジオで作品制作アシスタントとして働きながら、錆を使ったアートの作品制作に励む。
Instagram: @244_birthbuki
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