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NY対談10 5010Friday, June 16, 2017|Vol. 920|14 INTERVIEW気になる二人の二人だからできる話がある。 気になるあの人たちが、 一つのテーマについて対談する。テーマおもてなし久下香織子(くげ・かおりこ)神奈川県出身。1998年に来米し、同年より FC(I Fujisankei Communications Inter- national, Inc.)日本語放送のキャスター。ニュ ース情報番組「FCI News Catch!」でキャス ターを務めている。ジャーナリストの夫と息子の3人家族。www.fujisankei.com/blog-kuge木村啓(きむら・あきら) 10 東京都出身。東京大学経済学部卒業。1982年に日本航空に入社し、那覇空港支店、日本長期信用銀行、企画室、客室業務部 、ジ ャ パ ン ツ ア ー シ ス テ ム 、商 品 開 発 部 、 J A L プ ラ ザ 大 阪 、C S 企 画 部 な ど の 勤 務 を 経 て、2015年より米州地区支配人兼ニューヨ ーク支店長に就任。www.ar.jal.com日本航空米州地区支配人てということですね。 押し付けることなくアピー ――おもてなしに大切なこ ルができるかが課題です。木村啓とは何でしょうか?木村  アメリカはアピール を上手に活用する文化で、 日本人は周りに気付いても らえればいいという感じで す。でも相手がどう思って いるかを察知する能力を 磨いていけばいい。自分が いい仕事をした時に、上司 の態度を見て、分かってく れていればいいし、そうで ないと感じたら自分を少 し出した方がいい。海外で は察知能力とアピールが 必要だと思います。FCIキャスター木村  常に「Why?」という 思いを持つことが基本で、 例えば ドルのワインがお いしかったら、安いのになぜ こんなにおいしいのかと好 奇心を持って暮らしていま す。久下香織子久下  日々自問自答されている努力を表に出さないで、お客さまにさり気なくおいしいワインを出すといったことがおもてなしの心だと思います。大変な思いが見えると、おもてなしではなくなってしまう。木村  お客さまから「このワインはどこで作っているの?」と聞かれた時に答えられるように、社員も勉強していないといけないです。 仕事をしていて、日本にい ――日米での違いは? た時のように一歩下がって 久下  アメリカはアピール いたらみんないなくなって  日 本 航 空 米 州 地 区 支 配 用 さ れ て い る 松 井 秀 喜 さ ん っ て い て 、仕 事 を 離 れ た 人の木村啓さんと、FCI などの著名人の皆さんが、 日々の暮らしの中でも、お キャスターの久下香織子さ 「心に残るおもてなしを受 もてなしを考えていらっし んが「おもてなし」をテーマ けた」というスピーチをさ ゃって素晴らしいです。 に語り合った。 れたのが印象的でした。 木村  物事は徹底的に極久下  日本の美しさを損 なわずにいかにアピールし ていくかですね。日本人に は不得意な部分ですが、良 さは知ってもらわないとい けない。私もアメリカ人と木村  日本航空は201 ■□■ 0年に経営破綻を経験し ています。ですから一層お ――お二人が出会ったのはい 客さまの心に響くおもてな つですか? しを考えなければいけないめたいと思っています。例 えば機内の座席の開発に 携わった時には会議室に設 置した模型で、実際の飛行 時間を考え、 時間以上横 になって寝てみたり。寝返 りを打った時の状況など木村  昨年 月にJAL と常に思っています。ニューヨーク線就航 周年 久下  木村さんはワインのの記念パーティーを日本ク ソムリエや日本酒の勉強、 は、開発する自分がお客さ ラブで開催し、久下さんに 自分で米作りまでされてい まが使う状況を体感しな 司会をお願いしました。 ると聞きました。それも機 いと分からない。久下  日頃日本航空を利 内で提供するお酒とつなが 久下  お客さまの身になっした者勝ちというところが あるので、おもてなしの心 を大切にしながら、いかにしまうと気が付いた瞬間 がありました。かといって、 しゃしゃり出ていく行く人 間にはなりたくない。自分を高める努力がおもてなしにつながる ―木村木村  常に探究心を持って 自分を高める努力を怠ら ないことがおもてなしにつ ながると思います。人の心に触れる温かみが大切 ―久下久下  知識や時間の余裕 も必要です。木村  余裕が持てるとい うのは自分の仕事に自信が あるということ。経験や勉 強をしておかないと、お客 さまに突っ込まれた時に答 える余裕も生まれない。 久下  完璧にできなくて も、人の心に触れる温かみ があれば、「ありがとう」と 言ってもらえると思いま す。逆にアメリカの良さは サービスもビジネス化して いて、需要と供給がうまく 合致し、お互いがハッピー になること。そこに学ぶべ きものもあると思います。 木村  アメリカの良いとこ ろと日本人のおもてなしの 心がうまく合体したら、付 加価値が高まるはずです。 まさに、今JALはアメリ カン航空ともそのような 相乗効果を極めることに 努力しています。


































































































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