Page 16 - NY Japion
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第 回 FBI長官解任劇を加えたかどうかを捜査 中だった。解任するなど独善的な大 統領の姿勢を「ニクソニア ン」と呼ぶ。ニクソン元大統 領は、ウオーターゲート事 件の捜査の最中、陣頭指揮 に当たっていた特別検察官 を解任している。「ニクソニ アン」という言葉が、大統 領に就任してから、メディ アにこれだけ多用されるこ とは、かつてなかった。 トランプ氏が信頼する 閣僚も、かつてはなかった 独裁的態度をとっており、 連邦議員に問題視されて いる。トランプ氏独裁的決断 自由主義旗手の座陥落感情的・突発的な トランプ氏の決断 例えば、セッションズ司 法長官は、自らがロシア政 府の幹部と接触があったこ とが就任後に暴かれたた め、いわゆる「ロシアゲー ト」には、関与しないという 声明を出した。しかし、これ を書いている最中に行われ ている新FBI長官の面 接を、セッションズ長官が 行なっている。そのFBI 長官が、ロシアゲートを監 督するにもかかわらずだ。 ニューヨーク・タイムズ 「米国は、世界の自由主 例えば、5月9日のジェ は、解任の瞬間をこう伝え義(Free world)のリーダー イムズ・コミー連邦捜査局 た。 ではなくなった。今は、ドイ (FBI)長官の解任劇だ。 「コミーFBI長官は9 ツがリーダーだ」という声 自由主義に反するのは、第 日、西海岸のロサンゼルス を最近よく聞く。 一に、捜査権を委ねられた に出張し、職員に話をして どういう意味だろうか。 国会最高の司直当局であ いた。その瞬間、後ろにあっ 背景は、トランプ大統領の るがために、独立と中立が政権が発足したものの、ト 保証されるべきFBIのトランプ氏の決断が、あまり ップを、透明性のない理由 独裁がまかり通らず、政 治の場で自由と独立が守 られる、さらに司法、言論、 報道の自由も保証される というのが、「自由主義」で ある。米国は、その旗手ではに常識を外れて、自由主義 で解任した。第2に、FB に反し、独裁的だからだ。 Iは、トランプ氏の選挙陣 自由主義と独裁は、相容れ 営とロシア政府が共謀し ない。 て、昨年の大統領選挙に手 トランプ氏が独裁的な 決断をするのは、いくつか たテレビに〝FBI長官、 の理由がある。1上下院の 解雇〞のフラッシュが流れ 共和党議員の信頼・サポー た。長官は笑って、面白いい トを得ていない2ホワイト たずらだな、と言った。する ハウスの幹部スタッフや顧 と彼の側近が、背後をウロ 問を信頼せず、親しい外部 ウロし始め、隣の事務室に の人間の意見を聞く傾向 移るようにと長官に耳打 が強い3産業界も、トラン ちした。長官は話を切り上 プ氏の政策に懐疑的なたげ、職員らに握手をして、 め、サポートしていない̶ なくなった。隣の部屋に移り、正式に自 分が解任されたことを知っ た」「コミー氏に、ホワイト ハウスのトランプ大統領か ら電話はなかった。ワシン トンで、トランプ氏のボデ ィガードが、7ブロック離れ たFBIに、解雇を告げる 書簡を届けた。しかし、受 取人は、いなかった」。などだ。このために、トラン 市民の生活にその影響 「こんなことは、長い議員 生活で見たことも聞いたこ ともない」と、ベテラン議員 が口々にコメントした。 トランプ氏は1月にも、 サリー・イエーツ司法長官 代行を突然解任した。法の 番人である司直当局者をプ氏は、感情的で突発的な 決断に至りやすい。は出るのか。間違いなく、じ わじわとダメージが広がる だろう。移民や女性、弱い 立場の市民の「自由」が奪 われないように、私たちも 油断してはならない。議員も問題視する 閣僚の独裁的態度 トランプ氏は、コミー元長官解任についての批判が 収まらない2日後の 日、 昨年の大統領選や連邦議 会選の不正に関し調査し、 報告する大統領諮問委員 会の設置を定める大統領 令に署名した。不法移民な どがクリントン民主党候 補や民主党議員に「何百万 人も投票した」というのが、 トランプ氏の言い分だが、 これも独裁的である。さら には、自分の当選の正当性 すら疑われる可能性があ る。それでも、大統領令を 打ち出した。ハートPhoto by Keiko Tsuyamaブルックリンのトランプ氏の壁画には、最近ペンキが投げつけられた【今週の用語解説】コミーFBI長官解任 9日、トランプ大統領は、ジェイ ムズ・コミー連邦捜査局(FBI)長 官を解任した。解任理由は、大統 領選を戦った、ヒラリー・クリントン 元民主党大統領候補のメール 問題に関して、取り扱いが不適 切だったというもの。コミー氏は解 任された後も機密情報や捜査内 容について発言を制限される。民 主党は解任に至る経緯について 同氏の議会証言を要求していた が、16日に同氏は出席を見合わ せると議会に伝えた。大統領は、 FBI長官を罷免する権限、後任を 決定する権限を持つが、トランプ 氏が選んだ候補は、上院で過半 数の承認を得る必要がある。津山恵子ジャーナリスト。「アエラ」などに、ニューヨーク 発で、米社会、経済について執筆。フェイス ブックCEO、マーク・ザッカーバーグ氏などに 単独インタビュー。近書に「教育超格差大 国アメリカ」(扶桑社)。2014年より長崎市 平和特派員。元共同通信社記者。51津山恵子の に刺さるニュース解説米国で起きているさまざまなニュースは、市民 の生活にも深く関わっている。ニュースの背 景や深層、そしてわれわれの生活への影響 を、気鋭のジャーナリストが解説する。Friday, May 19, 2017|Vol. 916|16 BUSINESS11

