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15|Vol. 916|Friday, May 19, 2017 BUSINESS阪本が選ぶ読めば分かる この一冊流されるな、流れろ! 川崎昌平「巧みであるより鈍くあ れ。(」本文から引用)洋泉社今週の教訓全ては変化します阪本啓一■ブランディングコンサルタント。大阪大学 人間科学部卒業後、旭化成入社。2000年に独立し 渡米、ニューヨークでコンサルティング会社を設立。 06年、株式会社JOYWOW創業、現在取締役社 長。地球と人をリスペクトする、サステナビリティ経営 の実現に取り組む。『ブランド・ジーン~繁盛をもたら す遺伝子(』日経BP社)などの著書・訳書、講演活動 も多数。www.kei-sakamoto.jp 電子メディア開店!www.orange-media.jp13020共 感 マ ー ケ ティン グは流れ、変化し続ける。現 カフェは「たった一人くら 在の繁栄も永遠ではない」 い」という思いがあるはず〝共感〞をキーワードに独自のマーケティング理論を 展開するブランディングコンサルタント・阪本啓一のという真実です。今の繁盛 が永遠に続くものとカン違 いしてしまうのです。です。しかし、たった一人を 敵に回せば、その後ろに1 00人います。さらに10 0人、さらに100人。3 回マイナスの口コミをされ たらあっという間に100 万人を失います。「マーケティング力アップ講座」。第 回 一人を大事にする 「予約? 人?めんど くせーなー。今ちょっと忙 しいから、後にしよう」 「たった一人を確実に振り向かせると、100万人に届く」。私の書いた本のタイトルにしたように、私が提唱しているフォーカス・マーケティングは「広く、浅く」ではなく、「狭く、深く」 る人気店。 一人の顧客に刺さることが   商売人としてはそこまで結果として広がりを見せの繁盛の秘訣が気になるも の。主宰する勉強会の懇親 会場にいいなと思い、予約 をするため店に入り、スタる、という考え方です。  一人の後ろには100人 います。100×100×100、つまり三人にプラ ッフに希望の日時と人数を スの口コミをされたら、1 伝えました。彼女はメモし 00万人に届く計算です。 ていましたが、最後に「すみ一人に届かないのに、多数に届くものではありません。まずは一人の濃いファンを作りましょう。今日はその逆も成立するという話。 ので、携帯番号を残しまし 一人を「アンチ」にしてしま た。 ったら、100万人を敵に   私の仕事スタイルは、原 回してしまいます。 稿を書いているか、コンサルティングをしているか、セ 早朝から行列のカフェ ミナーで講師をしている 人気が出てカン違い? か、読書をしているか、考え ているか...このいずれかな   私は運動不足解消のた ので、電話は好みません。思  それは「諸行無常、全てめ徒歩通勤しています。そ の途中にある、橋の中ほど まで行くと、対岸にテラス の突き出たカフェが見えま す。早朝7時開店なのです が、開店前から行列ができ考が中断されるからです。 それでもその日はカフェか ら電話が掛かってくるの で、携帯電話を肌身離さず 持っていました。くだんのカフェにはもう行 くことはないでしょう。ち なみにカフェから折り返し 電話があったのは、翌日の 夜でした。電話には出ませ んでした。たい真実です。  一人を、大事にしましょません、今、担当の者がいな いので、後でご連絡させて いただいてよろしいでしょ うか」。もちろんオッケーな  「あ。カン違いしちゃった かな」と思いました。人気の 飲食店によくあるのです が、雑誌やテレビに取り上 げられ、お客さんも朝から 行列。すると、飲食店に限 らず、商売全てに言える真 実をつい忘れてしまいま す。  「いつ電話がかかってくる のかわからない」。ストレス に耐え切れず、午後2時ご ろ、こちらから電話したと ころ、「まだ担当者が出て 来ていないので、夕方ごろ になりますが、それでもよ ろしいでしょうか」。もちろ んオッケー、待ちました。待 ちました。待ちました。結 局その日、折り返しの電話 が掛かってくることはあり ませんでした。う。あなたの商売を支えて くれるのも一人、いざとい うときに救ってくれるのも 一人なのです。一人おろそかで 100人失う  「目の前のお客さんをい つ失うか分からない」「行列 なんて、あっという間に消  私はその日の午後、別の店に予約を入れています。 れは、日々肝に銘じておき  顧客を一人失いました。  荘子を現代の働く人向 と共感します。これが現役 けにかみ砕いて解説する一 引退して悠々自適な老人の 冊。「がんばる」「役に立つ」 書いたものなら「そりゃ、好「才能を伸ばす」「やる気 きなこと、言えるわな」とシ 満々」...という、現代ビジネ ラけてしまいますが、本書の ス社会では「良いこと」や 一番の共感ポイントは、著者「常識」とされている指標 の立ち位置かもしれませ が、ストレスの元凶になって ん。 いることを教えてくれます。   私は知識を増やすことが  著者は現役の編集者。週 善であると疑うことなく生 末を利用して書いた由です きてきましたが、どうも、違 が、ときどき彼のホンネが うようです。かえって自分を 垣間見られます。彼も悩み 窮屈に縛ってしまっている ながら働いているんだなあ、 のかもしれません。える」「全ては変化する」。こ


































































































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