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第7回  スポーツビジネスの今る目標を掲げました。その ために、経済産業省と共同 で 年2月にスポーツ未来 開拓会議を立ち上げ、スポ ーツ産業の活性化の方策に取り組みです。サッカーに留まらず 全スポーツ界に貢献政府、球団巻き込み 人材育成機関が創設日本の強みを生かす 育成機関の特徴  世界に目を向けますと、 国際サッカー連盟(FIF A)が同様のコンセプトで 通称「FIFAマスタープ ログラム」というものを2 000年に設立、同様にレ アル・マドリーMBAをエ ウロペア大学とレアル・マ ドリードの提携で開講して います。  日本では「スポーツを通 じた社会の発展」を目指 し、2015年 月1日に スポーツ庁が創設されまし た。あれから 年が過ぎ、Jリ ーグ、Bリーグ、プロ野球な ど日本のプロスポーツに対 する考え方が、ここまで飛 躍的に成長したことは喜 ばしいことです。  同 6 月 に は 、中 間 報 告 で、鈴木長官は、「これまで 訴えてきたのは、スポーツ にはビジネスとしての潜在 力があり、スポーツ市場を 拡大し、その収益をスポー ツ団体や環境の充実に再 投資する、という好循環を 生み出し、国民の健康増進 や地域の活性化を図るこ とができる、ということで す」と述べ、政府が「スポー ツの成長産業化」を戦略と して位置付けたことも発 表しました。はまねできない大きなこと がいくつかあります。一つ目 は川淵三郎キャプテン、村 井Jリーグチェアマン、岡 田武史氏、大河正明Bリー グチェアマンなど、スポーツ 組織を率いる豪華な講師 から、高い視座のもとでの 選択や判断の裏側を教え てもらえます。決してきれ いごとだけではない裏側の 苦悩などに触れられるのは このコースの特長です。  同庁は関係省庁の中核 となりスポーツ行政を総 合的・一体的に行うことを 使命としています。創設に 当たり、鈴木大地初代長官 がスポーツ政策の課題の一 つとして、「スポーツビジネ スの拡大」を標榜したこと は、私自身にとっても非常 に感慨深いものでした。日本政府が主導で スポーツ産業発展  JHCでは私は「国際事 業開発」を任されており、 JHCの運営から、営業マ ーケティング、そしてUM ASSやISDE、MLS など海外主要機関との提 携をすることでゲスト講師 や教材など海外の秀逸な コンテンツの仕入れ、監修、 展開を手掛けています。  私がスポーツビジネスを 学ぶため、発祥の地アメリ カに来たのが2002年の ことです。当時、日本では実 践的に学べる場所がなかっ たために選んだ道でした。  「これからはスポーツで 稼ぐ時代だ」と言う鈴木長 官は、同庁の1周年記者会 見で、スポーツ市場規模を 現在の5・5兆円から20 25年までに 兆円にす  三つ目に米国内のスポー ツマネジメントでトップを 走るマサチューセッツ州立 大学アマースト校(UMA SS)、スペインISDE 法科大学院との提携をベ ースにした質の高い講義と インターンシップなどが展 開されます。  この通りJHCはここま ではJリーグを中心に運 営されてきましたが、冒頭 に出て来たスポーツ庁との 連携が深まる中で、Bリー グや、プロ野球などとも連 携し、昨年よりサッカー界 だけにとどまらない、競技 の枠を超えた、将来のスポ ーツ経営を担う人材の開 発と育成を行い、社会に大 きく貢献していくスポー ツ・ヒューマン・キャピタル  産業が成長するために は言うまでもなく、従事す る人材が必要です。日本で はまだそこまで手が回って いない状態でした。  そんな中、Jリーグが日 本でのスポーツビジネスに 携わる人材育成の将来を 見据え、村井満チェアマン 主導の下、 年から立命館 大学と連携してスポーツク ラブの経営人材育成プログ ラム「Jリーグ・立命館『J HC教育・研修コース』J リーグ・ヒューマン・キャピ タル(JHC)」を開講しま した。  二つ目はヤフー! ジャパ ンや、経営共創基盤などビ ジネス界のトップランナー に協力を仰ぎ、経営に欠か すことのできない知識やリ アルを教えてもらうことが できます。ついて議論を行っています。   このプログラムには他に  スポーツマネジメントを 大学の学科として備えるこ とは一般的ですが、プロス ポーツ団体が自らのノウハ ウや、アクセスを用いてこ のようなプログラムを始め たのはアジアでは先進的な  四つ目にモジュールごと にテーマを設定し、実際の Jクラブ社長やスポーツ組 織のマネジメント経験者に 対してプレゼンテーション(SHC)として独立しま した。これは今年の5月よ り開講予定です。を行い、その場でフィードバ ックをもらえます。  五つ目に成績優秀者と 条件が見合う卒業生を対 象に、希望を勘案したうえ でスポーツ界へのキャリア デザイン支援を行っていま す。  六つ目にクラブやリーグ の実際のデータや資料、実 際に今起こっているスポー ツ界での課題やテーマをも とに進められ、そして机上 の空論にならないように実 際のスポーツ現場に出向い て参加するフィールドワー クなど一般的な講座ではま ねできない構成です。Photo by 一般財団法人スポーツヒューマンキャピタルスポーツヒューマンキャピタルは、将来のスポー ツビジネスを担う人材育成を行う15151015Friday, January 13, 2017|Vol. 898|16 BUSINESS中村武彦の プロスポーツから見る世界でも一歩進んだスポーツビジネスが展開さ れるアメリカ。多くのプロスポーツの本部がある ニューヨークでは日々、新たな考えやビジネスモデ ルが生まれている。最先端のプロスポーツビジネ スの現場に携わっている中村武彦が解説する。中村武彦マサチューセッツ大学アマースト校スポーツマ ネジメント修士取得、2004年、MLS国際部 入社。08年アジア市場総責任者就任、パン パシフィック選手権設立。09年FCバルセロ ナ国際部ディレクター就任。ISDE法科大学 院国際スポーツ法修了。FIFAマッチエージェ ント。リードオフ・スポーツ・マーケティングGMを 経て、15年ブルー・ユナイテッド社創設。16


































































































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