Page 24 - NY Japion
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第 回 安倍首相の真珠湾訪問面下には、いまだに真珠湾 攻撃の最大のターゲットだ った戦艦アリゾナが沈み、げ、真珠湾の日米首脳訪問は、世界平和を訴える米国首脳として、任期を終える前の仕上げのイベントだ。 戦略的経済連携協定(TPオバマのトランプ包囲網 レガシー守るのは市民 トランプ氏が、環太平洋 これを書いている 月 日、ハワイの真珠湾を訪れ ている。安倍晋三首相とオ バマ大統領が翌 日、日本 軍による真珠湾攻撃の地 で、慰霊の合同訪問をする のを取材するためだ。「真珠湾訪問を、二度と戦 争の惨禍を繰り返しては ークに彼が来ると「渋滞」 ならないとの決意を、未来 を意味するが、ハワイでは に向けて示すとともに、日 「雨」だ。 米の和解の価値を発信す る歴史的に意義ある機会 日米関係の邂逅 とすることに、思いを共有 「オバマは雨男」 と、ハワイアンは笑って言相の慰霊訪問としては初 解説した。 となるアリゾナ記念館は、 真珠湾を訪れていた米 真珠湾に浮かぶ白い架け 国人観光客に安倍首相の 橋のような慰霊施設だ。水 訪問について聞いてみる。 訪問に先立ち、日米の歴 史学者ら約 人が 日、首 相の歴史に関する認識を 問う公開質問状を発表し た。 こうした状況を考える と、オバマ大統領と安倍首 相の真珠湾合同訪問は、ト ランプ新政権に対する強 力なアンチテーゼといえう。ハワイ出身の彼が休暇 でオアフ島に滞在中は、雨 ばかりだそうだ。ニューヨ米市民は好意的 したいと考えている」 これが、安倍首相の思い 両首脳が訪問し、日本首 と、日本政府幹部は 日に 安倍首相の訪問に、批判 がないわけではない。海水でさびた船体の中に、 死者が眠る「墓場」だ。核兵器削減の政策につい て、特に強力な主導権を発 しなかったという批判はあ る。しかし、平和のメッセー ジとしては、世界中に広が り、広島訪問は、「多くの日 本人を感動させた」(日本 政府幹部)のは事実だ。P)離脱を表明するなど、 米国人の雇用や利益を守 るために、保護貿易主義を 訴えた選挙戦からみると、 簡単に戦争を宣言すると いうことはなさそうだ。し かし、このツイートからは、 好戦的な姿勢が読み取れ、 各国は、緊張感を高めてい る。 「素晴らしい。機が熟し たのだ」 質問状をまとめたのは、 る。オバマ大統領が築いた 「オバマが広島に行った のだから、安倍がここに来 て、日米関係がさらに強化 された」映画監督オリバー・ストー ン氏や、米プリンストン大 学のリチャード・フォーク 名誉教授(国際法)、アメリ カン大学教授で核問題研 究所長のピーター・カズニ ック氏ら。書簡は、日本が攻 撃したのは真珠湾だけでは ないとし、「中国や朝鮮半 島に慰霊に行く予定はあ るか」と問うている。精神的な「平和」への世界 と、それに同調してきた日 本の同盟関係の強固さを 訴えた真珠湾訪問は、日米 関係の歴史的な道標にな るだろう。 「ここに来る決断をした 安倍を評価したい」 それを、トランプ新政権 がどう取り組んでいくの か、変えていくのか、市民が 監視していかなくてはなら ない。 など、ポジティブな反応 が多い。 オバマ氏の広島訪問時も そうだったが、「謝罪」があ るかどうかということを騒 いでいるメディアとは一線 を画して、米市民は、日米 関係の将来を見ていること に感心した。 一方で、オバマ大統領と しては、核兵器廃絶を訴え た「プラハ演説」、そして「被 爆地広島訪問」を成し遂核強化を宣言する 好戦的なトランプ 一方、2017年1月 日に大統領に就任するド ナルド・トランプ氏は、奇し くも 月 日、こうツイー トした。 「世界が核に関して良識 を取り戻すまで、米国は核 戦力を大幅に強化、拡大す る必要がある」 何を根拠にして、「世界 が良識を取り戻す」べきと 判断し、「大幅に強化」とい うのは、実際に何を意味す るのかが、極めて不透明だ。 が、このツイートで、トラン プ氏が核武装強化の方向 に傾いていることは、世界 が学んだ。ハートPhoto by Keiko Tsuyamaオバマ大統領と安倍首相が訪れるアリゾナ記念館。真珠湾攻撃で沈没した戦艦アリゾ ナの上に施設がある【今週の用語解説】アリゾナ記念館 ハワイ時間で1941年12 月7日に起こった、旧日本軍 による真珠湾攻撃で沈没し た戦艦アリゾナの上に作られ た施設。1962年に建設され た。死亡したアリゾナの乗組 員1102人を追悼するものだ が、真珠湾攻撃全体の犠牲 者を追悼する施設ともなって いる。日本の現職の首相とし ては過去に3人真珠湾を訪 問しているが、同施設を訪問 するのは安倍首相が初めて。 同施設は沈没したアリゾナを またぐように架けられた橋状 の建物で、犠牲者の名前が 刻まれた石碑がある。2650 2527122642津山恵子の に刺さるニュース解説米国で起きているさまざまなニュースは、市民 の生活にも深く関わっている。ニュースの背 景や深層、そしてわれわれの生活への影響 を、気鋭のジャーナリストが解説する。津山恵子ジャーナリスト。「アエラ」などに、ニューヨーク 発で、米社会、経済について執筆。フェイス ブックCEO、マーク・ザッカーバーグ氏などに 単独インタビュー。近書に「教育超格差大 国アメリカ」(扶桑社)。2014年より長崎市 平和特派員。元共同通信社記者。12 2220Sunday, January 1, 2017|Vol. 897|24 BUSINESS

