Page 16 - NY Japion
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第5回  デジタルコンテンツタブレットなどの端末での 視聴が多数派です。年に立ち上げ、専属のスタ ッフは約 人。メジャーリ  最近日本では「サカチャ ン」というサイトが注目さ れています。デジタル化は 最初にお金が掛かる事で すが、一旦整えればそこか未来見据え若者層狙う  これに呼応した動きとし てナショナル・フットボーーグベースボール(MLB)などは自前のデジタル会社であるMLBアドバンス ら先への広がりは大きなも ト・メディア(MLBAM) のが見込めますし、意義の発信手段が変革のカギル・リーグ(NFL)では初めて試合の中継をツイッターと契約して実施したのです。これは「トライキャスト」と呼ばれる戦略の一環で 、1 地 上 波( C B S など)、2ケーブル(NFLネットワーク)、3オーバー・ザ・トップ=OTT(ツイッター)という三段構えの中継(トライキャスト)です。 「サッカー不毛の地」と言わ  今年7月、日本のプロサ ッカーJリーグが、動画配 信大手の英パフォームグル ープと結んだ放映権契約 は、日本国内のスポーツ界 では過去最大の 年総額 2100億円という金額料金は月額1750円。テ レビ、スマートフォン、パソ コンなどで利用でき、中継 を見逃しても、オンデマン ドでの視聴が可能です。発展に設備投資になりました。  このパフォームグループ  従来の「テレビ放送」とは 異なることが多く、日本人 にはなじみが薄い点も多く ありますが、昨今の若者層 のデジタルコンテンツの利 用傾向がプロスポーツ業界 にも大きな変革をもたら しているということでもあ ります。若者層では、テレビ よりも、スマートフォンやれ続けてきました。しかし、 言ってきました。ゆえに、大 すでに生まれた時からM 金を手にしたとたんにスタ LSが存在している若年 ー選手獲得にぱっと使って 層がおり、彼らをターゲッ しまい、その選手がけがを ト化し、このデジタル戦略 して、お金がパーになって が功を奏していて、1試合 しまうギャンブルでは意味 の平均観客動員数は伸び がありません。リターンが (現在はNFL、MLBに 見込め、成長するために、が展開するスポーツに特化  地上波とケーブルは一般的ですが、OTTとはNFLの試合などのコンテンツサービス、あるいはそれを提供する事業者のことを指します。かつては「7時になったから野球中継を観るか」、と居間に移動しテレビをつけるのが一般的でした。 次いで3位の約2万20 インフラや人材への投資はしたライブ中継サービス 「DAZN(ダゾーン)」が 話題です。現在、日本はじ めドイツ、オーストリア、ス イスで視聴が可能で、13 0以上のスポーツ、年間6 000試合以上が楽しめ るサービスです。日本でのしかし、現在は自分の時間 がある時に好きな場所で 観たいだけ観る、というオ ンデマンド方式に急速にシ フトしています。00人)、放映権も急伸し 従来のビジネスでもスポー てきました。MLSデジタ ツのビジネスでも同等に重 ルではそれゆえ、テレビ業 要です。 界や映画業界よりも最近   さらに深い所まで書くに のデジタルトレンドに鋭い は文字数の制限がありま 映像制作スタッフをリクル すが、Jリーグが、今回手 ートするのがキーと言って にしたお金をどれほど投若者に合わせ変革  M L S は 、ア メ リ カ が  ユーチューブは平均2〜3分、フェイスブックは1分弱が平均視聴時間だといわれています。プロスポーツ   冒頭のJリーグとDA 業界もこの流れを急速に取 ZNの大型契約はこのよう り入れていて、各プロリー な潮流から来ていると言っ グは自前のデジタル部門を ても過言ではありません。 保有するようになってきま もちろんNFLのような した。例えばメジャーリー トライキャストまでは発展 グサッカー(MLS)では、 していませんが、確実に次 デジタル部門を2010 世代の観客動員を見越しを2000年ごろに立上 げ、今ではMLBにとどま らず、他のスポーツや映像 制作まで行なっています。ある「投資」です。MLSのデジタル戦略  本コラムでもプロスポー ツはビジネスであり、投資 が非常に大事だと繰り返 してきました。また勝敗は コントロールできないともいます。資し、クラブに配分するの か。その配分金を受け取っ たクラブはどのような投資 をするのか。今後Jリーグ が益々発展するための意 味を考察してみると、改め て非常に注目される大型 契約であったと感じます。た契約であることは間違い ありませんし、Jリーグの 未来への活路となる歴史的 な一歩と考えられます。同 時に初の試みゆえに楽観 視できる事ばかりでは当然 ありません。  まずはOTTに対応す るためのさまざまなデジタ ルコンテンツ対応、人の雇 用、システムなどの整備と 早急に行うべきことも出て きます。試合そのものの映 像のみならず、ロッカール ームの様子や、試合以外の 様子など、その周辺映像の コンテンツ化もカギとなり ます。© bikeriderlondon/ shutterstock.comプロスポーツは、テレビで見る時代から、スマートフォンやデジ タル端末で見る時代にシフトしている10Friday, October 14, 2016|Vol. 886|16 BUSINESS中村武彦の プロスポーツから見る世界でも一歩進んだスポーツビジネスが展開さ れるアメリカ。多くのプロスポーツの本部がある ニューヨークでは日々、新たな考えやビジネスモデ ルが生まれている。最先端のプロスポーツビジネ スの現場に携わっている中村武彦が解説する。中村武彦マサチューセッツ大学アマースト校スポーツマ ネジメント修士取得、2004年、MLS国際部 入社。08年アジア市場総責任者就任、パン パシフィック選手権設立。09年FCバルセロ ナ国際部ディレクター就任。ISDE法科大学 院国際スポーツ法修了。FIFAマッチエージェ ント。リードオフ・スポーツ・マーケティングGMを 経て、15年ブルー・ユナイテッド社創設。50


































































































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