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第2回 投資期間とスタンス相場が動けば、リスクヘッ で触れますが、われわれ人 過去を振り返ると、米国 株式市場は私が生まれて から現在に至るまで 年 以上もの間、上昇を続けて います。しかし、平坦な道の 中で上昇してきた訳ではな く、1987年にはブラッ クマンデー、2000年に はITバブル崩壊、 年に は金融危機といったさまざ まな危機的状況を経てい ます。長期的な価値を投資 家に還元できている企業に投資期間で違う考察 市場左右するイベントジのために動く必要もあ り、即座にロスカットも迫 られます。一方で、短期的な 変動が出るということは、 当てれば儲かるということ で、瞬時に相場がどちらに 動くか、という判断ができ ればチャンスともなりま す。間という生き物は、本能と してリスクを回避する傾 向があります。金融市場に おいては、予期せぬイベン トが発生した場合、過剰に リスクを回避すべく反応す るケースが多くみられま す。 今回は投資をする上で一 つの基準となる、投資期間 (タイムスパン)についてひ考え方の違いを考える上で 参 考 に な り ま す 。6 月 日、英国では、EUの離脱 判断を国民の判断に委ね た国民投票を実施しまし た。前日まで「英国のEU 離脱(以後、ブレグジット) はない」というのが大方の 予想でした。しかし、実際 にはブレグジットが支持さ れ、それに伴い英国通貨ポ ンドが急落、株式市場も大 きく下落しました(現在米 国株は下落から反転、過去 最高水準)。ついては、そういった危機的 な状況の時ほど、買い場に なっていたとも言えます。も解いていきます。 短期で株式売買を行う 投資家は今日、明日、来週 といった時間軸で市場を考 察、想定します。一方、長期 投資家は 〜 年といった 長い期間で市場を見て判 断を下します。期間の違い は当然ながら、市場を左右 するイベントに対して、ど ういったアクションを取る 一方で長期投資家は株 式市場が大きく荒れた場 合、自分が買いたかった銘 柄を安く買うチャンスとな ります。しかし相場が大き く下落したからといって、 やみくもに買いに向かうと 痛手をこうむるのもまた事 実です。長期投資家は基本 的に、長い時間をかけて投 資対象企業の価値が上昇 するのを想定しています が、前記のように大きなイ ベントが起こった場合は、 その企業にとって、それが どのようなインパクトを与 えるかという点を慎重に考 察する必要があります。ま たブレグジットそのものの 影響にとどまらず、欧州の 各国の今後の動きなど、想 定できるリスクに対しても 同様の観点から見ることに なります。 今回のブレグジットに対 しても、「明日から英国が この世から消える」といっ た印象を受ける報道も垣 間見られました。さらにイ ンパクトの大きさで言えば 2009年の金融危機が ありましたが、あの時も連 日、暗いトーンのニュースが 続き、株式市場不要論まで 出て、まさにこの世の終わ りといった様相でした。も ちろん影響を受ける人は いますが、金融市場が大荒 れになっても世界が終わる わけではありません。です から過剰な反応の連鎖に 不安を増長させ、考察を鈍 らせないようにしないとい けません。 今回は投資スパンによっ てその時々の投資判断が 変化する、という点につい て解説しました。短期、長 期という議論ではなく、株 を買う際には保有期間に よってさまざまなリスクイ ベントの想定をしておく必 要性があると知っておいて ください。特に長期投資家 は市場が厳しい状況になっ たからといって下を向く必 要はなく、石ころの中に混 ざったダイヤを見つける絶 好のチャンスとも考えられ ることを知ってください。 そういった意味では現在過 去最高値まで来ている米 国の株式市場は逆に石こ ろがダイヤに見えてしまっのかも変わってきます。ブレグジットの捉え方 短期で売買を行う投資 家の場合、短期的かつ大き な変動はピンチにもチャン スにもなり得ます。自分が 想定していた方向と逆に 先日の英国のEU離脱 表明が短期、長期投資家の働く本能的な心理 株式投資には人間の心 理も大きく影響します。詳 しくはまた後日このコラム 長期投資家にとっては、 ている状況ともいえるでし このように金融市場と日常 ょう。の間で起こる「ギャップ」の 感覚が重要です。前回お話 した通り、株価は必ずしも 企業価値を正確に示して いるわけではありません。 ですからブレグジットしか り、瞬間的に不安が噴出 し、リスク回避的に市場が 動いた局面ではミスプライ シングが発生しやすく、投 資を考える絶好のタイミン グにもなります。© Nerthuz / Shutterstock.com先月23日、国民投票により英国のEU離脱が支 持された。それを受け翌24日は各国の株価が下 落。日経平均は-7.9%、NYダウは-3.2%だった今週のキーワードブレグジット(Brexit) 英国(Britain)と離脱(Exit)を合わせた造語。先月23日、英 国ではEU離脱の是非を問う国 民投票が行われ、51.9%で離 脱が支持された。これを受けデ ービッド・キャメロン首相が辞任 し、7月11日、テリーザ・メイ内務 大臣が首相、および与党の保 守党党首に就任した。メイ新首 相は国民投票では、経済的な リスクが伴うという考えからEU 残留を支持したが、国民投票 のやり直しはしないと明言し、 EU離脱を推し進める考えを示 している。ただし離脱手続きは 年 内 に は 開 始 し な い とし て い る。2320 30Friday, July 22, 2016|Vol. 874|16 BUSINESS 見過ごされている、見えにくいポイントを知 れば、複雑化する現代の金融市場も見え てくる。最新の情報を分析する専門家が 分かりやすく米国金融市場をひも解く。三浦洋平野村ホールディングス傘下のノムラ・ セキュリティーズ・インターナショナル のニューヨークオフィスで、米国株式 セールスとして勤務。テレビ東京「モ ーニング・サテライト」、東京MX「スト ックボイス」などに出演。慶応義塾大 学経済学部出身。大学時代は体育 会テニス部に所属。0832

