Page 14 - NY Japion
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ペイントアーティストアートも、元々は権威主義 に反抗するストリートの表 現。抑圧からの自由を表現 するアートだからこそ、ア ートの表現自体も自由に できる。し、彼特有のアートを確立 しましたね。伝統とポップ カルチャーの使い方の感性 が本当に鋭い。さとうたけしCMディレクターさとう  日本には芸術と アートは違うという感覚 がある。カタカナのアート だね、とちょっとバカにした ような。先生に何十年も師 事して、日展や二科展で入 賞してやっと芸術として認 められる。芸術家になるた めには順番待ちが必須で す。さとう  彼が評価された ことで、日本も概念が少し 変わってきているので、基軸 を作ってくれた村上さんを 含め先輩たちに感謝して、 その動きをさらに進めてい きたい。でも日本人として のアイデンティティーはな くしちゃいけないと思う。 矢作  そこですね。 ――その日本人としてのア イデンティティーとは? さとう  日本人として何 を伝え表現すべきなのか は、海外に出ると客観的に 見えます。なんで日本人な のに作品で漢字を書かない んだ、と言われたり。矢作耕志  不定期でニューヨークで 事で、矢作さんはそのクル 買うとか、日本代表といっ ライブペインティングを行 ーで参加していました。そ た感覚は日本的ですよね。っているペイントアーティス のときは撮影日が2日し アメリカ人の仕事に対するトのさとうたけしさんと、 かなくて、下地塗りだけで 感性の本質は、精神論より当地で活動するCMディレ も時間がかかって無理だ、 も自由競争と結果主義で 矢作  卵焼きを何年も作クター、矢作耕志(やはぎ と言ったら、じゃあ今から すね。 こうじ)さんが、「感性」を 塗ろうとクルーたちが言 さとう  そんな仕事のやってから握るすし職人と同 じですね。料理でも工芸で も、日本は一つの道を極め た人がたくさんいる。でも アメリカは割と簡単にキャ リアチェンジできて、お金 もいいし、やりたいこともテーマに語り合った。い出して、一晩で壁に下地 り方に、美学はあります を塗っちゃったんです。しか か? も音楽かけながら楽しそ 矢作  あまりないですね。 うに。完全に負けだと思い 日本では伝統を重んじ、一 ました。で、売られたけん つの道を極める職人的美学■□■――お二人の出会いは?さとう  CMの撮影です。宮古島で僕が壁画を描くシーンをニューヨークから来たクルーが撮るという仕 矢作  売られたけんかはがあるのに対し、欧米は抑 できる。 圧からの解放の歴史の中で   村上隆さんは日本の画 磨かれた感性があります。 壇の中心にあった狩野派と さとうさんがやってる壁画 現代のアニメ文化を把握矢作  映画を作っていて も、日本人なのになぜ日本 で撮らないのかと。日本人 であることが足かせになる し、同時に利点にもなる。 さとう  僕は剣道をやって いるので、絵のライブパフォ ーマンスで無意識にその動 き方が出ているようで、海 外の人が見て「クールジャ パン」と言われます。自分で は気付きにくいけど、そう いう自然に、無意識ににじ み出る日本人の部分を海 外の受け手が評価してく れることを知りました。そ こがかっこいいんだ、斬新な んだと気付く。かは買わないと、と日本代 表みたいな気持ちで描き 上げました(笑)。無意識に滲み出る日本人の部分を大切にしたい ―さとう日本は道を極め、欧米は解放を求める ―矢作  それが日本人にしかない 感性で、海外でも武器にな ると気付かせてくれます ね。矢作  意識せずに出るそ の部分が、独特な表現とし て国際的に評価されます ね。さとう  クオリティーやプ ロ意識は日本のほうが高 い。矢作  道を極めるっていう 面では、確実に日本のほう がすごい。さとう  どっちが楽しそ うかは別(笑)。矢作  どっちが儲かるかも 別ですね(笑)。矢作耕志大阪府出身。CMディレクター。ロチェスター大 学文学部卒業。日本のフランス映画社などで 勤務後、渡米。イタリア、カナダ、ドイツ、フラン スを経て、現在はBBDO NYでプロデューサー 兼ディレクターとしてCMを製作する傍ら、自作 のショートフィルムや写真を発表。ニューヨーク 滞在3年目。www.kojiyahagi.comさとうたけし宮城県出身。ペイントアーティスト。ロサンゼル スで壁画職人の技に魅了され、独学で壁画 技術を習得。帰国後はライブペイント活動をス タート。ローラーだけで描かれるスピード感とパ ワーあふれるタッチは、国内外で多くの人々に 感動を与え続けている。www.livepaint.jpFriday, July 22, 2016|Vol. 874|14 INTERVIEW気になる二人のNY対談二人だからできる話がある。 気になるあの人たちが、 一つのテーマについて対談する。テーマ感性


































































































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