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15|Vol. 869|Friday, June 17, 2016 BUSINESS阪本が選ぶ読めば分かる この一冊小さな会社のための世界一わかりやすい会計の本 ウェスタン安藤86共 感 マ ー ケ ティン グマが香り。味付けは押し付 けることなく、また、変にギ ラギラ修飾することもな く、直球勝負で、懐かしい おいしさでした。 スポーツウェアレンタル 無料。靴も靴下も、ウェアも 新品かと思うほどに美し い。 時間いつでもオーダ ー可能なルームサービス。 キッチンにある軽食や冷蔵 庫の中のドリンク全て無料〝共感〞をキーワードに独自のマーケティング理論を 展開するブランディングコンサルタント・阪本啓一の「マーケティング力アップ講座」。適正サイズを知る第 回 丁寧に向き合えるサイズ(ワイン、ビール、ソフトド リンクなど)。 登大路ホテル奈良に滞 が、このところさっぱりお 在し、これまでの仕事観が 目にかかれなくなってしま 覆されました。会員制で、 いました。客室数は 室しかありまもう、こちらが恥ずかしくい」は長くビジネスの基本 文法でしたが、どうも違う ようです。せん。近鉄奈良駅を出て、 効率化で失うもの 興福寺に向かう登り坂をスしてくださいます。 総支配人とは旧知の間 柄なのですが、仕事が本当 に楽しそうに見えました。ほんの少し上がったらすぐ にあります。看板もないの で、知らなければ通り過ぎ てしまいそう。玄関に入っ てすぐにフロントとロビー があるのですが、まるで誰 かの別荘におじゃました感 じです。 ラグジュアリーホテルは 年々、ビジネスホテル化し ています。一人につきハンド タオルとバスタオル各1枚 だけ、とか。ルームサービス 廃止とか。あっても時間が 決められていたり。そもそ も海外からのお客さんが 時差ボケでおかしな時間 におなかがすくのを満たす ためのルームサービスなの に。「効率」「生産性」の文字 が浮かびます。 「正倉院は、料理人にとっ ても宝物で、野菜栽培文献 以外にも、葡萄紋、宝飾太 刀等がございます。今月 は、皆様の記憶に残る『香 り』をテーマに組み立てま した」書斎風のロビーに座り、チ ェックイン。春日大社さんに 行きたいと話すと、地図を 広げ、分かりやすく説明し てくれます。ランチにおす すめの店も紹介してくれま した。何よりスタッフが年 配の男性で(後で副総支配 人と分かりました)、安定 感がハンパないです。近隣 を知り尽くした感じ。この 感じは、本来ならばホテル やレストランスタッフが持 っていていいものなのです 正倉院は、朝食のメニュ ー解説にも出てきました。 そしてビジネスホテルは無機質な箱化しています。 葡萄紋を取り入れた「鯛の チェックイン、チェックアウ カルパッチョ」。それはそれ トという最も大事なタッチ は美しかった。そして、ミネ ポイントを機械化してし ストロンスープに添えてあ まっているのです。言うまで る「絹の道」シルクロードで もなくコスト削減が目的。 運ばれたペッパーという仕 このホテルはオーベルジ 立てで、軽くこしょうの香 ュ、食事が楽しみです。夕食 りがするのです。そう、テー「奈良に来たなー」という 思いがあふれます。そして、 コース終盤に、総料理長があいさつに来てくださいました。おいしさにお礼を言うと「まだまだ修行に励みます」との謙虚な言葉。 されました。「大きければいのメニューは「食前のお楽しみ 鯛のカルパッチョと紅ずわい蟹の葡萄(ぶどう) ソムリエも気取ることな紋見立 キャビア添え オ マール海老のミネストロン スープ〜絹の道〜...」総料 理長が毎月テーマを決めて 練り上げたメニュー。言葉 を引用します。く、フレンドリーにサービ わたしの仕事観を覆さ れました。お客さんに丁寧 に向き合えるサイズ。この 見極めこそが、重要なので す。なる姿勢でした。ベテラン 「日本で唯一のカウボーイ 税理士ウエスタン安藤」を うたい文句にしているとの ことで、イロモノかと思いき や、「中小企業が使える会 計実学」をモットーに分か りやすく解説してくれます役に立つアドバイスが満載 実務に必要ないものは徹 底して捨て去り、最低限必 要な知識だけを伝授してい ます。だから意味のない比 較「同業他社との比較」は やめて「自社の過去五年比 較」をしよう、など、非常にそれぞれを大きく捉える方 法など、中小企業の会社会 社経営者だけではなく、商 売人としてはぜひとも押さ えておきたいところも解説 しています。 登大路ホテルの滞在で、 「事業の適正なサイズ」とい うものをしっかり思い知らです。 貸借対照表、損益計算書 「流れないお金は腐ってい く」といった、風水を使った 財務分析も本書のユニーク な魅力です。資金繰りっていうのは、 お 金 が 足りなくなる時 期がわかるかどうかが 最 大 の ポ イント な ん で す。(本文より引用)日経ビジネス人文庫今週の教訓大でも小でもなく、適正阪本啓一■ブランディングコンサルタント。大阪大学 人間科学部卒業後、旭化成入社。2000年に独立し 渡米、ニューヨークでコンサルティング会社を設立。 06年、株式会社JOYWOW創業、現在取締役社 長。地球と人をリスペクトする、サステナビリティ経営 の実現に取り組む。『ブランド・ジーン~繁盛をもたら す遺伝子(』日経BP社)などの著書・訳書、講演活動 も多数。www.kei-sakamoto.jp 電子メディア開店!www.orange-media.jp2412